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    oburuta14

    オブルタの絵の練習置き場

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    oburuta14

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    現パロでアイドルパロで作中劇のカイアサ

    『夢歌う蝶のハルモニア』「へへへ、俺たちもカインの映画に出れて嬉しいな」
    「俺たちの歌が主題歌ですから」
     リンゴと血しぶきの楽屋内。
     俺たちは魔法使いの約束と言う名前の事務所の所属タレントだ。所属するメンバーはいつだって21人でそれ以上もそれ以下もなく年齢もおばあちゃんから学生まで幅広い層が活躍しており、知名度も世界に名を轟かせるモデルのオズからドラマの名死体役など縦に横にと広かった、カインが所属した1年目までは。2年目に大幅に人員の入替がありクロエを含むカインの歳の近い層が所属することなり、今まで完全個別に動いていたメンバーがユニットを組んで活動するようになったのだ。
     担当マネージャーも新人の晶へと変わり、今までとは違う活動の幅に自分の未熟さを思い知らされることも多々あるが、それでも仕事は楽しかった。自分を応援してくれるファンに喜んでほしくて日々修行をするかのようにスキルアップを目指している。
     今から音楽番組が控えていると言うのにカインの頭の中は映画の事でいっぱいだった。なにせアーサーとのダブル主演の映画を飾った主題歌だからだ。 



     渡された台本を読み終えたカインは本を閉じ、腕を上へと伸ばす。
     オファーが来た時は驚いた。演技などしたこともない自分に主演の依頼だ。しかもどうやら内容はボーイズラブと呼ばれるものらしい。初めは断ろうかと思った。けれどもう1人の主人公がアーサーだと教えられて俺は即決でそのオファーを受けた。




    『夢歌う蝶のハルモニア』
     ギター1本だけを持ち歌手になることを夢見て都会にやってきたレイと、大企業の御曹司アーティーの二人の物語。
     夜の駅前でレイは路上ライブをしているが急に雨が降ってくる。それまでレイの曲を聞いていた観客たちはただの通行人へと変わりレイの前から足早にいなくなってしまう。強くなる雨に打たれながらそれでも最後まで歌い切ったレイは誰もいなくなった客席に向かい深く頭を下げる。そんなレイの元に傘を差し出す人物。
    「ねぇ、もう1曲歌って」
     レイの歌声に惹かれたアーティーは、自分の住む邸宅にレイを招いた。
     レイとアーティー二人が出会い物語がはじまっていく。 
     


    ―映画撮影を終えた率直な感想を教えてください
    カイン:率直に言うと寂しいですね。映画の撮影ってこうギュっと濃い密度で何日も続くからさ、毎日顔を会わしてたアーサーやスタッフたちともう当たり前のように会えなくなるんだと思うと寂しかったです。楽しかったから余計そう感じるんだろうな。
    アーサー:私も同じ気持ちです。カインの歌をずっと聞いていたかった。
    カイン:ははは、それは光栄だな。

    ―お二人がそれぞれ演じたレイとアーティーについて教えてください
    アーサー:レイはカインに似た誠実な人物で、人にはもちろん夢にも誠実で応援したくなる人物ですね。
    カイン:それはアーティーとしてのコメントか?
    アーサー:アーティーとアーサーからのコメントだ
    カイン:ははは、ありがとうな。アーティーもアーサーに似てるよな。目を離せない可愛い年下って感じな所が。アーティーは素直でいい奴だから家からの期待に押しつぶされて不安定なっている所をどうにかしてやりたって思うんだよな。
    アーサー:詳しくは映画を観ていただければわかるかと思いますがそのシーンのカインとってもかっこよかったです。





     レイはアーティーに手を引かれるまま車に乗り込んだ。誰もが一目見てわかる高級車。アーティーは白銀の髪に、青い瞳はどこまでも澄んでいて、目を奪われてしまうほどに美しい造作をしている。紺のブレザーだと思っていた服はスーツで、レイは流されるままにこの綺麗な青年の手を握り返したが、まぁ、大丈夫だろうとおおらかに考えていた。
    「私の名前はアーティー。突然の申し出にもかかわらず私の願いを受け入れてくれてありがとう」
    「俺はレイ。俺の歌気に入ってくれた?」
    「あぁ、一目惚れだ。レイは、本当に歌が上手いな」
     アーティーが笑う。
    純粋に素直に尊敬する眼差しを真っすぐにぶつけられて、レイはすぐにアーティーの事が好きになった。
     連れていかれたのは大きな邸宅だった。門から玄関お入口まで車が必要なほどの邸宅である。
     玄関の入り口でポカンと口を開けるレイの手を取り、アーティーは階段をあがる。風邪をひくといけないから先に風呂に入るといい、風呂からあがったらこちらの談話室にきて欲しい。と背中を押され浴室に通されるのだった。
     


    「カット!」
     撮影されるのは国指定の歴史ある邸宅である為シャワーシーンは別撮りとなっている。次の場面の撮影はレイがアーティーのために歌うシーンなのだが、何かトラブルがあったのか先ほどからスタッフが慌ただしく、俺たちもずっと待機状態となっている。スタジオと違って待機場所もなく、次のシーンの為のグランドピアノのある部屋で俺とアーサーは豪華なソファに座っていた。
    「歌って」
     アーサーが拳一つ分ほどしかなかった距離を埋めるように近づいて横から俺の顔を覗き込んだ。見つめてくる青い瞳はキラキラと輝いていてとても美しい。
    「それはアーサー、アーティーどちらの言葉だ?」
     次のシーンの始まりもアーサー演じるアーティーの「歌って」から始まる。
    「私であり、アーティーからだ」
    「なら、リクエストに応えないとな」 
     足元に置いていたギターを手にとり、アーサーのために1曲披露する。実際の撮影の時と同じ曲だ。
     この映画のためだけに作曲したアーサーのための曲だ。夜空に輝く星のように、しっとりと静かでいながら明るい明日を夢みる唄。
     お行儀よくソファに座っていたアーサーが膝を抱える。スーツを大人のように着こなしながら、子供のようなちぐはぐさ。アーティーは生まれた時に将来が決められた人間だ。好きなことは出来ず、夢を見ることだって許されない。家を継ぐことが決められており、本人もその期待に応えようとしながらも、心がまだ完全に追いつかない。家を継ぎたくないわけではない、それでも、と揺れ動く繊細な心が自由に夢を追うカインことレイに惹かれてしまうのだ。 
    「あんたの夢は?」
    「カインの夢が叶うこと」
     カインを見つめるアーサーの宝玉がトロリと溶けて濡れている。
     名前が違うだけでここまでは台本通りであった。そしてこの後の流れではレイはアーティーにキスをするのだ。初め台本を読んだ時にどうしてここでキスをするんだ?突然すぎないか?まだあったばかりで?と思ったがこんな瞳に求められたらキスをしたくなる。
     ギターをそっと脇にやり、アーサーの方へと顔を近づける。
     
    「すいません。お待たせしました」
     スタッフの声で俺たちは、互いの呼吸を感じながら微笑みあった。



    ―お二人とも初めてのキスシーンはどうでしたか?
    カイン:アーサーが可愛かったな
    アーサー:カイン!
    カイン:アーサーが顔を真っ赤にするから、俺もつられて真っ赤になって。それがいいって監督が言ってくれたんだよな
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    oburuta14

    DONE純粋で、純真無垢な王子様の話
    純真無垢な王子様 私とカインは両想いだ。
     お互いに「好き」と気持ちを伝えあって、手を繋いで、それだけで私は満足だった。
     けれど、満足していたのは私だけだったようだ。
     そう思ったのは、城から魔法舎へと戻る夜空からカインが私以外の誰かと腕を組んでどこかの建物の扉へと消えたのを見てしまったときだ。
     魔法使いか否かは魔力でわかる。空から見下ろした城下街、親しみ慣れたカインの気配を感じ飛ぶ高度を降ろせばカインが知らない人物と街を歩いていた。金の髪が美しい人だ。カインが私の知らない人と歩き、私の知らない建物へと消えた。頭がその事実を認識した途端に箒から落ちてしまいそうなほどに心臓が痛み、涙が零れていた。
     カインが私以外の誰かと一緒にいることがこんなにも胸が痛む。私の好きとカインの好きは違ったのかもしれない。本当に好きだったのは私だけなのかもしれない。そもそも、好きだと伝えあっただけで私たちの関係はそれ以上でもそれ以下でもなく、今までと変わらない、中央の国の王子と中央の国の騎士、同じ賢者の魔法使いで、それだけだ。私とカインの関係が変わらないからこそ今こうしてカインは私以外の人と一緒の夜を過ごすのだ。カインは優しいから私を傷つけまいと私の言葉にあわせてくれただけなのかもしれない。私は中央の国の王子で、カインが中央の国の騎士だから。
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