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    Hachiinoki

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    Hachiinoki

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    「桃の七伊にょ祭り」というタグで書かせていただいたもの

    #七伊
    sevenI
    #女体化
    feminization

    仁王立ちのお内裏さまと酔いどれ三人官女「どういう状況かご説明いただいても?」

    ふぅとため息をつきながら腕組みをした七海は、席に座りもせずにその場で仁王立ちしたままだった。
    目の前には、テーブルの上に雑多に置かれた数々のグラスと酒瓶、食べかけの料理と皿からこぼれて散らばったピーナッツやスルメ、そして、家入と歌姫と冥冥。その横には…。

    「歌姫が、今日はひな祭りだから女子ばっかりで飲み会をしたいと言うから…」
    「いえ、本日皆様方がお集まりの主旨をお尋ねしたわけではなく…」
    説明しようとした家入の言葉を七海が遮って、
    「伊地知くんが、なぜこのような状態になっているのかをお聞きしているのです」
    と、冥冥の横でぐでんぐでんに酔っ払って赤い顔でテーブルに突っ伏している伊地知を指さしながら憮然として言った。
    「私たちが無理やり飲ませたと思ってるの?違うよ!」
    一升瓶片手に歌姫が答えた。それを受けて家入が、
    「歌姫の言う通りだ。よほど鬱憤が溜まっていたのか、伊地知は自分からハイペースで飲み始めたんだ」
    と煙草をくゆらせながら言った。
    「お前たち、周りで見ててもイライラしてくるぐらい、お互い素直じゃないからなぁ」
    わざと七海のほうに吹きかけるように煙を吐いた家入がそう言うと、冥冥が寝込んでいる伊地知の身体を揺すりながら、
    「ほら伊地知くん、起きないか。キミの大好きな、格好良くて誠実で優しくて面倒見の良い先輩の七海さんが、迎えに来てくれたぞ」
    「なっ?!冥さん?!何を言ってるんですかっ?!」
    冥冥の言葉に焦ったように顔を赤くして七海が慌てると、
    「ほら、やっぱりこれだ。こんな調子で、このふたり、付き合ってないばかりか、自分の気持ちすら素直に伝え合ってないんだ」
    呆れたように家入が歌姫に説明した。
    「あ〜、それで伊地知ちゃん、あんなに荒れてたのか!」
    得心したように歌姫が一升瓶をラッパ飲みしながら言った。
    「ハイボールあおりながら叫んでたよ。七海さんは顔面国宝級だしいつも素敵だし親切だし、私みたいな地味で眼鏡で痩せっぽっちの女じゃダメなんです、釣り合わないぃぃ!って」
    その歌姫の言葉を受けて家入が、
    「泣きながら、それでも七海さんを好きなことを止められない、とも言ってたな」
    と、うんうん頷きながら言うと、
    「伊地知くんが恥ずかしがり屋で面と向かって言えないというのは理解できるが…、七海くん、キミまでこう奥手だとは、意外だったなぁ」
    冥冥がワイングラスを七海に向かって掲げながら、からかうように言った。
    「い、伊地知くんは酔っ払ってそんな戯言を口走ってるだけでしょう?本心かどうかは…」
    「まだそんなこと言うか…」
    家入が、はぁぁっと大きくため息をつきながら長い髪をかきあげ、ギロッと七海を睨んだ。
    歌姫が空になった一升瓶を振り回しながら、
    「一生に一度の恋だから、大切に育てたい気持ちはわからなくもないけど、こういうのはさぁ、女としてはやっぱり、男のほうからリードして欲しいよねぇ」
    と言うと、冥冥が、
    「そうだね。私や歌姫ならいざ知らず、伊地知くんは特に、おくゆかしい性格だからねぇ。そこは七海くん、キミの頑張りが必要なんじゃないかなぁ?」
    と加勢するように言った。

    七海は、グッと言葉に詰まって眉間に皺を寄せると、観念したようにはぁぁと息を吐いて腕組みを解き、
    「伊地知くん、起きてください」
    と膝まづいて伊地知を覗き込み、優しく呼びかけながら身体をそっと揺すった。
    「…ふぇ?な、なみ、しゃん?」
    「ええ、そうです。大丈夫ですか?立てますか?」
    「わぁ…ななみしゃんだぁ…」
    伊地知は酔っ払って呂律のまわらない舌で、はしゃいだように言いながら七海の顔をぺちぺちと叩いた。
    「ななみしゃん、かっこいい…しゅてき…、だ〜いしゅき…」
    トロンとした目でそう伊地知が言った時、
    「ぐはっ」
    と七海が赤い顔をして崩れ落ちるように手で胸を押さえた。
    「ほらほら、伊地知ちゃんもこう言ってるんだし、早く連れて帰ってあげなよ」
    歌姫が手に持った新しい一升瓶をドンッとテーブルに置いて言った。
    「伊地知の迎えを頼むなら、第一候補はお前だと思ったんだが、これでもまだお前が四の五の言うつもりなら、第二候補のほうに電話しようか?」
    と、指でつまんだ注文伝票をひらひらさせながら、家入がニヤリと笑った。

    家入の手から注文伝票を奪い取ると、
    「五条さんより先に私に電話してくださったことに深く感謝いたします。ほんのお礼の気持ちで、ここは私が支払わせていただきます」
    と早口で一気にまくし立てると、七海は伊地知を抱き抱えるようにして店を出て行った。

    残された女子3人は…。
    「やれやれ、やっとか…」
    「ほんっと、手がかかる後輩たちだねぇ」
    「まぁまぁ、これでここの飲み代が浮いたことだし、それでよしとしよう」
    三者三様に言ってから、
    「それじゃあ!ようやくくっついたお内裏様とお雛様のために、乾杯しなおそう!」
    と、3人揃ってグラスを高く掲げて、祝杯をあげたのだった。
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