無題 冷たい風の夜は否応なしに彼のことを思い出す――フォドラ統一王国の女王ベレスは執務後、バルコニーに出て遠い存在を想い描いた。
彼はもうこの世にはいない。遥か遠いところへ旅立った。嘸かし、無念だっただろう、愛する国が死に、守りたかった民が崩れ落ち、なによりかけがえのない仲間を失って。
ベレスは彼を想う度に考える。もしも、自分が彼と――彼らと寄り添える道があったなら、と。しかしそれでもベレスは彼の属した「青獅子の学級」の教師ではなかった。だから彼を想う資格も無いのではないか、そうも考える。
もう少しで、このガルグ=マクにも冬が来る。ベレスの唇から彼の名がこぼれ落ちた。
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わたしはやっぱり銀雪ルートのディミレスが好き。救えないけど好き。切ないですね。