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    月咲ひたき

    FEとか原神とか。推しカプと推しキャラを書いたり描いたりする予定。

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    月咲ひたき

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    原神 鍾離×甘雨(鍾甘)

    激しい雨が窓を打ち付けている。大地も執拗に責め立てられているかのよう。甘雨は冷たいそれを眺めながら、遠く過ぎ去った昔のことを考えていた。
    甘雨は数千年を生きている。外見こそまだまだ若い少女のものだが、半分だけ流れる麒麟の血が彼女に途方も無く長い時間を与えていた。
    そんな彼女が七つの元素が絡むテイワットで生きているのは、岩王帝君――岩神モラクスとの契約があった為。甘雨の生まれた意味、生きる意味、そしてこれからの人生のすべてが岩神に繋がっている。甘雨は璃月でも一番と言っていいほど岩王帝君を慕い続けてきた。
    「……」
    彼女は思いを巡らせる。テイワット大陸で最大の繁栄を誇る璃月という国。甘雨は、そんなこの国が産声を上げたその瞬間を覚えている。いつまでもこの繁栄が続くことを祈りながら、甘雨は「璃月七星」と呼ばれる者たちの秘書として働いてきた。それもまた、岩神との契約があったから。彼女の糸は彼と固く結び付けられている。この糸は何があっても途切れることは無い。甘雨には多くの時間があり、それは普通の人間とは比較にならないほど。
    雨の止む気配は無い。寧ろ、雨足は強まっているようで、音は更に大きなものとなっていく。今からずっと前、絶雲の間で打たれた雨を甘雨は思い出した。あの時も岩神のことをずっと考えていて、雨が上がるまでその思考は止まらなかった。今は室内にいるとはいえ――あの頃と大差無い。甘雨は思う。自分は永遠に岩王帝君を、岩神モラクスを、強く強く思い続けていくのだろうと。それは幼子が親に着いて回るのと少し似ていて、言ってしまえば植え付けられた本能のような、そんなものだ。
    「帝君……」
    落ちた言葉に答えはない。だが、彼女は彼を思うのだ。岩神への思慕。遺伝子にびっしりと書き込まれたこの思いだけは不変なのだ――この雨が上がろうとも。
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