小さな欲を満たす シンジはゲームが好きだ。昔のゲームから話題のゲームまで気になるものはやってみたいと買っている。まあ、いくつかは時間がなくてなかなかやれずに積みゲーとやらになっているようだが。
俺はと言うとあまりゲームには興味を持たなかった。動物とともに暮らすゲームやパズル系のゲームは少しだけやったくらいであとは見ているだけだった。見ているだけで暇ではないかと思われるかもしれないが、俺としてはゲーム自体よりもシンジがゲームをやっている姿を見るのが好きだった。
冒険をするゲームではストーリーに泣いたり、対戦ゲームでは勝敗で一喜一憂したり、謎解きゲームでは唸って考えたり、いろんな表情を見られるのが良かった。
けれど少しだけ不満に思う事はある。ゲーム中はどうしてもそちらに集中してしまうので構っては貰えなくなるという事だ。別に少しくらい構われなくとも、家事をしたり動画を見たりして自分の時間を過ごしたりしていればいいのだが、それでも俺に構えと思ってしまうのは独占欲の強さからだろうか。
そういった独占欲が高まってくるとゲームをしているシンジの傍によってシンジの膝を叩く。
「ん? はい」
そうするとシンジは体勢を変えて膝を差し出す。俺は横になってその膝に頭を乗せる。いわゆる膝枕という状態だ。膝枕はよくしてもらう。テレビや動画を見る時が多いが、なんとなしにしてもらう事だってある。こうすればシンジの体温を感じられるし、シンジの様子も見ていられるので好きであった。それに……。
「よし勝った!」
どうやら対戦ゲームで勝ったらしく大げさに喜んだ。
「そうかよかったな」
「よかったよー負け越しだったから、ランク下がるところだったから焦ってたんだー」
シンジが機嫌良く俺の頭を撫でる。膝枕をしてもらっている時、シンジはよく俺を撫でてくれる。ゲームをしている時でもこうやって対戦の試合が終わったときや、ロード時間などに撫でてくれる。それが嬉しくて傍にいてしまう。そうやって俺は小さな独占欲を満たしているのだった。