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    utusetu4545

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    utusetu4545

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    オルシュファン×自機(ミコッテ♂)、ヒカセンの尻尾に触れようとするオルシュファンさんと頑張って触らせてあげるヒカセンのお話。

    #オル光♂
    #うちのこ
    myChild
    #オルハク
    olhak

    ああ触りたい、その筋肉2雪の家に盟友たる光の戦士ハクたちがやってきてから3ヶ月が経った。氷の巫女率いる異端者の動向や暁の血盟の面々の失踪、クリスタルブレイブの暴走など、問題は山積みではあるのだが、オルシュファン自身は今の生活の充実感をとても気に入っていた。

    ハク達が毎日ドラゴン族との戦いや周辺調査などに手を貸してくれているおかげで、日々の業務は至って順調である。
    しかし、順調すぎる日々は長くは続かなかった。


    「オルシュファンさん!怪我したってホントッスか!?」
    オルシュファンの自室にハクが駆け込んできた。頭の雪も落とすことなくやって来た彼に、「少しは落ち着いてくれ、我が主の傷にさわる」とそばにいたコランティオがいさめた。
    「おお、見舞いに来てくれたか。気遣いに感謝する。なに、心配は要らん。このとおりピンピンしているぞ」
    頭に包帯を巻き、入院着に身を包んではいるが、オルシュファンは鷹揚に手を振った。
    「ドラゴン族と戦って大怪我したって聞いてすっとんできたッスよ」
    「はは、多少油断しただけのこと。傷はそう深くは無い」
    伊達に何年もドラゴン族相手に戦っていないからな!とオルシュファンが笑った。
    そばで見ていたヤエルがため息をついた。
    「もう、こちらは気が気じゃなかったんですよ。部下を庇ってドラゴン族の体当たりを受けて、壁にたたきつけられた時には肝が冷えたんですから」
    心配したんですよ、とヤエルからいわれ、オルシュファンは気まずそうに笑った。
    「ともかく、オルシュファン様はしばらく安静ですからね。幻術師からもよくよく言われてるんですから」
    「わかったわかった」
    釘を刺すコランティオに、オルシュファンは肩を竦めた。何度も念押しされているのだろう、耳にタコができたと言いたげである。その様子をハクは微笑ましく見ていた。
    心配されるのは、慕われている証拠だ。アドネール占星台のデュランデル家お抱え占星術師たちなど、貴族の家の中でも一枚岩になりきれていないところに比べ、キャンプドラゴンヘッドはオルシュファンを中心に温かい一体感がある。余所者にも門を広く開けてくれることも心地よかったが、彼らが互いを思いやる様子が見れるのもまた、ハクがこの拠点を気に入る理由の一つだった。
    「ああそうだ、これを機にたまっていた書類仕事を持ってきましょう」
    「なに!?」
    善は急げ、と慌てる主をよそにコランティオは書類を取りに戻った。
    「そうね、それなら隠れて筋トレすることもなさそうだわ」
    それじゃ、オルシュファン様がちゃんと安静にしてるか、見ておいてくれる?とハクにウインクをして、ヤエルもまた部屋から出ていった。
    「やれやれ、やつらにはお見通しか…」
    慌ただしく出ていった部下たちを見送ると、盟友を前に苦笑した顔を見せた。
    「にゃはは、愛されてんスねオルシュファンさん」
    「はは。イイ部下たちだろう?」
    「そッスね〜、イイ騎士様が上にいるからじゃないっスか?」
    「ほう、お前も世辞が言えるようになったか」
    「お世辞じゃないスよ?俺ホントのことしか言わないんで」
    軽口を挟みながらハクはベッドの近くに座ると、盟友の手を握った。
    「はぁ〜〜〜〜…、生きてる……マジで無事で良かった………」
    ハクはうなだれて長く息を吐いた。
    「すまん、心配をかけた」
    「ほんと、マジ生きた心地しなかったッス」
    うなだれたまま、ハクは続けた。
    「また知ってる人がいなくなるんじゃないかって...」
    痛いほどに手を強く握られ、項垂れたまま微かに震えるハクを見て、如何に彼を酷く動揺させたかをオルシュファンは悟った。
    「…本当に、すまなかった。お前を、傷つけるところだったな」
    ウルダハの戦勝祝賀会において、次々と懇意の人々が傷つけられ、消えていった様子を見ているしかできなかったハクが、どれだけ心を削ったか。普段は明るく振る舞う彼だが、やはり心に深く傷を負っていたのだ。
    その傷をさらに深くしてしまうところだったと、オルシュファンは心から反省した。
    思うところはあるのだろう、しかしハクはなにも言わず、長い長いため息をついてから、苦笑いをして顔を上げた。
    「…ま、隊長さんだし?部下守らなきゃだし?戦ってる以上怪我すんのは当たり前だし?こういうことも覚悟しなきゃっスけど」
    ずい、と顔を近づけてハクは真っ直ぐとオルシュファンの目を捉えた。
    「無茶なことはしないで欲しいッス。あと今度は俺も一緒に連れてってください。ぜってー死なせないんで」
    俺こう見えて白魔道士なんで。怪我したって即元気にすっから。俺の知らない間にオルシュファンさん傷ついてたとかもう勘弁ッスよ。とハクは言った。
    「ふふ…それはイイな。お前がそばにいるのながら、どんな敵とも渡り合えそうだ」
    「上等!ほんで無茶もさせねーし。やろうとしたら無理やりにでも連れて帰るんで!」
    「はは、お前のたくましい筋肉に背負われるのもなかなかそそるが、やはり背中を預けあって共闘したいものだ」
    「にゃへへ、そうっしょ?」
    「そして出来ることならお前の筋肉のしなりがよく見えるようなジョブで共闘したいものだな!」
    「例えば?」
    「モンクはもちろんのこと、竜騎士で逞しい太腿とふくらはぎで跳躍する様もイイ!ナイトで逞しく一撃を耐え鋭い攻撃を与える姿も、戦士で逞しい大振りな一撃を繰り出すさまも見たいものだ!」
    無論他のジョブのお前の逞しい技の数々も見たいぞ!とわくわくとした表情でオルシュファンは続けた。
    「いいっスねえ!んじゃ、一刻も早くそうなるようにキチッと怪我治してくださいッス!」
    興奮のあまり前のめりにハクに迫ったオルシュファンをベッドに縫い付けるようにハクは押し戻した。
    「むう…確かにお前の言う通りだな…」
    距離が離れたことに多少残念がりながらも、ベッドに収まったオルシュファンは、はたと気がついた。
    「そういえば、お前白魔道士と言っていたな。お前の技で早く怪我が治るように出来ないか?」
    「ん?いや、もう十分処置受けてるっしょ。無闇に治癒魔法かけた所で結局自然治癒力頼みなんで」
    むう、そうか…と腕組みをしたオルシュファンは、しばらくしてなにか思いついたようだった。
    「それはつまり、私次第で早く怪我が治るということだな?」
    「んー、まあそういうことッスね」
    「それ即ち、私が生きる力を漲らせればイイということだな?」
    「んん?んーまあ、そうなる、んスかね?」
    「そうか!では、お前に是非手伝ってもらいたいことがあるぞ!」
    「お、俺で出来ることあんなら手伝うッスよ!」
    「そうか!お前ならそう言ってくれると思っていたぞ、友よ!」
    「もちもち!なんでも言ってくださいッス!」
    では早速!とオルシュファンは続けた。
    「お前の逞しい筋肉を触らせて欲しい!」
    「…」
    先程まで盛り上がっていた空気が嘘のように凍りついた。
    「お前の逞しい筋肉を触らせて欲しい!」
    「あ、いや、聞こえてるッス」
    もう一度言ってみるとハクから返事が返ってきた。
    「そうか!では…」
    「いや、あの」
    「…やはり、ダメか?」
    「いやあの、どういうことか教えて貰って良いスか?」
    自己治癒力が高まることと、筋肉を触らせることとどう繋がるというのか。
    「ああ、すまん。私ばかりが納得していても仕方ないな。順を追って説明しよう」
    「おなしゃす」
    「生きる力を漲らせるということは、生きたいと強く願うことだ。エーテルはそれ即ち生きる活力そのものだ」
    「それは分かるっス」
    「生きたいと願うのは、生きる目的があるということだ。生きる喜びを謳歌することだ。生きる喜びとは、好むものを堪能することだ。違うだろうか?」
    「いや、間違ってないと思うッス」
    「うむ、それは良かった。今私が生きる活力を増す程好み願うこと、それは、筋肉に触れることに他ならん」
    「はあ…」
    一瞬納得しかけたハクだったが、すぐさま「はあ?」と首を傾げた。
    「え、それで俺の筋肉?」
    「そうだ!」
    すぐ実現可能でかつ私が生きる喜びを強く得られるものといえばこれしか思いつかん!と勢いで押せば、はあ、まあそうなんスかねえ…とハクが流されつつあった。
    ハクを無理やり納得させようとしていることは百も承知だった。怪我人であることに託けて盟友に無茶を強いていることもオルシュファンは分かっている。ここで盟友が嫌がるようなら大人しく引きさがろう。だが、押せる時には押す。この盟友はある程度それを許してくれると分かっているからこそ、オルシュファンは我を出した。
    「あー、まあ、筋肉触るだけならいつもやってることッスもんねー…」
    仕方ねえなあ、とハクが上着を脱ぎ始めた。ここまではイイ。ならば、とオルシュファンは賭けに出た。
    「ハク、無理を承知でもうひとつ頼みたい」
    「ん?なんスか?」
    「お前の…その逞しい尻尾、触らせては貰えんか」
    ハクが一瞬固まった。さすがにこれは不味かったか。
    「やはり…いかんか…」
    「え、えー…」
    「いや、今まで以上に生きる喜びを昂らせるのならば、今まで触れたことの無い部位に触れるのがイイと思ってな、以前は触れること叶わなかった尻尾ならば、うってつけかと思ったのだが…」
    お前が嫌がった所だからな、無理にとは言わん。と付け加えた。
    ハクは唸っている。ここは正念場だ。互いの希望を言い合い、どこまでなら妥協できるのかを探る。これは戦いなのだ。
    普通の家庭ならば、このようなやり取りはごくごくありふれたことなのだろう。自分と相手の希望の間の妥協点を探ることは。だが、オルシュファンはそうではなかった。貴族の私生児として生まれた彼には、己の希望を発し、それを受け止めてくれるものは、極々限られた人間のみであった。
    だからこそ、フォルタン家の影響のない一介の冒険者である盟友が、今まで己の個人的な希望を汲んでくれることが嬉しかった。一人の人間として、向き合ってくれることが心地よかった。故に、こうしてついつい無理を押してしまうのだが…。
    ハクが長く唸っている。流石に無理が過ぎたか。尻尾は今回諦めようとした時だった。
    「うー…ん、まあ、その、ちょっとだけ、なら…」
    最後消え入りそうな声だったが、しかとオルシュファンの耳に届いた。
    「本当か!?」
    「…うっす」
    「いや、お前が本当に嫌なら構わんのだぞ?」
    「…まあ、出来ればあんま人には触って欲しくないスけど。今回は俺いなかったとこでオルシュファンさん怪我させちゃったし…」
    特別ッスよ!と言われ尻尾が手元に来た。
    コレが…いつも揺れる尻尾か…と手を伸ばしたら、軽く、ほんの軽くタッチでおなしゃす!と念を押された。
    ハクの尻尾は他のミコッテ族に比べ短く細い。本人はそれがコンプレックスのようで、尻尾の話題には触れたがらない。そうでなくとも、彼らにとって尻尾は大事な部位らしく、強く握られることはとても嫌がられるらしい。とてもデリケートな部分らしい。
    そもそもミコッテ族の男は他者から触れられることをひどく嫌うそうだ。そんな中、己に身を預けてくれるハクは非常に貴重な存在と言える。
    もしや無理に付き合わせているのではないかと心配になったが、タタル曰く、
    「ハクさんがそこまで許すということは、オルシュファンさんは凄く信頼されてると思うのでっす!」
    との事だった。
    ハクの信頼の上で成り立っているこの「おさわり」。辛うじて手にした機会、存分に生かさねば。
    軽く毛先に触れる程度に撫でてみた。ハクは身体を固くしているのか、じっと耐えている。
    機嫌を損ねないようにゆっくり慎重に触れてみる。根元から先にかけて、すり、となぞってみると、ぶるる、とハクが身動ぎした。大丈夫か?と声をかけると、う、うっす、ヘーキっス、と返ってきた。
    もう少し、触れるぞ。と声をかけ、今度は手でしっぽを握るようにしてそっと触れてみた。温かい。手の中で揺れ動く尻尾を感じ、ああ、ここもまた意志を持って動く彼の一部なのだと思い知らされる。
    「おお…動いている…確かにここも体の一部なのだな…エレゼンは持たぬ部分だからな、不思議だ…」
    「うー…、も、もういいスか?」
    「すまん、もう少しだけ付き合ってくれ」
    ぎゅっと唇を噛み締め耐えている友の姿は少々気の毒だ。自分のわがままに付き合わせているせいなのは重々承知しているのだが、二度とない機会かもしれないため、もう少し尻尾の感触を味わいたい。
    先の部分からもう少し太い中間部分まで手を滑り落とす。より手の中でふっくらとした尻尾の感触を感じられてイイ。尻尾がどくどくと脈打つ様を手のひらで感じ、オルシュファンは感動した。
    「おお…イイ…!実にイイぞ、友よ…!!お前の逞しい、命の脈動を感じるぞ…!お前の体の隅々にまで行き渡った血が、筋肉が、確かに脈打つのを感じるぞ……!!」
    今度は尻尾を扱くように上下させてみた。冬毛特有のふわふわの毛が立つ感触が心地いい。まるで日に干したてのふかふかな毛皮のコートのようであった。もう一度やろうとしたら流石にハクから止められた。
    「あー!はい!もうおしまい!これ以上はもうナシ!!」
    ぱっと傍から離れられてしまい、尻尾を追う手が空を切った。ハクの頬が気持ち赤い気がするのは気のせいか。
    「おお…そうか…もう、おしまいか…」
    「んな残念そうな顔しないでくださいよ、これでも大分俺サービスしたんスから」
    「うむ、そうだな。実に、実にイイ時間だった…。お前には改めて感謝を」
    私のわがままにだいぶ付き合わせてしまったな、すまん。とオルシュファンが頭を下げると、まあ…これで元気になるんなら…。と友は頬をかいた。
    「てか!コレでほんとに早く治るんスかぁ?治らなかったら俺触られ損なんスけどぉ!」
    「む!ふふ、そこは心配してくれるな!このオルシュファン、騎士の名にかけて二言は無い!お前の逞しい命の拍動に触れたのだ。友として、その命の輝きに負けぬしぶとさを見せてやろう!」
    「なんかよくわかんねーけど、気持ちだけでも元気になったんなら何よりッス」
    オルシュファンさんが復帰するの待ってるんで。とニッとハクは笑った。
    「そうか!ところで、さらに治りを早くするために提案したいのだが」
    「なんスか?」
    「復帰した暁にはまた尻尾を触らせて貰えんか」
    「ナシで」
    気の置けない友を持った、一人の騎士と冒険者の密かな攻防はいつまでも続いた。

    おしまい
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