幸せの蜂蜜トースト幸せの蜂蜜トースト
「お嬢、頑張ってるか?」
「五右衛門!」
妖鬼楼での仕事中、お昼のピークを少し過ぎた頃にひょっこりと彼、石川五右衛門は姿を見せた。
「どうして…」
「お嬢、もう少しで上がりだろ?一緒に昼食でもどうかと思って」
「…そう、いいわね」
「仕事はもう少し?」
「ええ」
「なら待ってる」
先に食べてくれていいのに、と続けようとした言葉を遮るようにのの先生が間に割って入る。
「閻魔さん、もう上がっていいですよ。お昼のピークも過ぎましたし」
「え」
「お七の変わり、非常に助かりました。石川くんといっしょに食べていきなさい」
「あ、ありがとうございます!」
深くお辞儀をすると私は退勤手続きをし、そそくさと着替えるのだった。
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