老後も仲良くね「なあ、兄ちゃんはさ、六十代、七十代、八十代のジジ──おじいちゃんって見分けつく?」
ある日の夕暮れ。物干し竿から外した洗濯物を手渡していたときに、突然そう言い出した。
「見分け……」
近所の高齢者や芸能人の顔を思い浮かべてみる。当然顔の造型に違いはあるが、年代の違いとなると難しいかもしれない。
洗濯物の最後の一枚を手渡し、縁側にいる悠仁の隣へ座る。そうして顎に手を当てうーんと頭をひねったところで再度悠仁が口を開く。
「俺はつかん。みんな同じに見える」
悪びれることなく言い切った。
「同じではないだろ……。顔のシワとか……服装とか」
そうは言っても、納得して挙げているわけではないそれらは、これといった決め手に欠けていた。俺の様子をじっと見ていた悠仁がピンと人差し指を立てた。
1706