神様、もう一度だけ秋の空に、もうすぐ冬になる気配を感じた。
夕暮れが澄んで冷たい空気になって、染まる空がツンッと冴えた色を濃くする。
また巡ってきた千冬のいない季節を数えて、あれから何年経つだろうって、生きていたらどんな姿になっていただろうって、思い描いて……描けなくて、失敗して。そんな事をあと何度繰り返せば、体中が痺れるほど苦しくなる事が無くなるのだろう。
( 千冬 )
思い出せば寒い季節の名前をしたヤツだった。
千の冬なんて、冷たそうな名前なのにオレにとっては人肌ぐらいの小さな温もりをずっとずっと分け与えてくれた存在で、たぶん唯一あの頃のオレを照らしてくれた光だった。
『 場地さん、場地さん 』
オレの何を気に入ったのか、犬ころのように後ろを着いて回る奴だった。
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