ワンドロ【好み】「君の体格ならこの服の方が似合うだろう」
「小物くらいこだわったらどうだ? 長く使うなら良いものがいい。今度一緒に見に行こう」
「……よく使っているから、傷んだだろうと思って選んだだけだ。今日は君の誕生日だろう。お祝い。……あ、ちゃんと僕の稼ぎだからな! なんだその顔は!」
「アルハイゼン?」
かけられた声に意識が浮上した。
目を開けば、視界には金色。
休日の夕刻はいつもよりも空気が澄んでいるように感じる。
「起きたか。そろそろ夕食にしようと思うんだけど」
リビングのカウチで読書をして、知らぬ間にうたた寝をしていたらしい。
カーヴェは夕陽の差し込むステンドグラスを背景に身を翻す。エプロンの紐がいつもの外套のようにふわりと舞って、その動きに釘付けになった。
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