浮奇が床に落ちている。
どうしても仕上げなければいけない作業を終えてやけに静かな階下に降りたファルガーが見つけたのは、すっかりと傾きかけている陽が当たるカーペットの上で猫さながらに身体を丸めて眠る浮奇だった。すぐそこに使い慣れたソファがあるのに昼寝をするには妙な場所で丸くなる姿は、眠っているというより「落ちている」と言った方が正しいような光景だった。
近寄ってみれば浮奇へ身を寄せたKatとCatがこちらを見詰めてくる。まだファルガーに慣れないらしい彼女たちが普段なら一目散に逃げ出しそうな距離なのに、視線を向けるだけで動かずにいるのは浮奇が傍にいるからだろうか。まるで母猫に寄り添う子猫のように見えて、お互い親と離れた身であることを思い出して胸の奥が切なくなる。だが、本人が気に留めていないことを他者がつつくことでもないとすぐに頭を振った。
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