亡くした一部ナタリーがドレッサーに目を向けると、ネイビーに金色の星が散らばる陶器が目に入った。小さな淡いピンクの化粧品達に囲まれているそれは、大きさもあり少し異質に感じた。
「わぁ、綺麗な瓶ね。お化粧道具を入れているの?」
「違うわ。…でも綺麗でしょ?忘れないように飾っているの。」
「なるほど、インテリアってことね!素敵だわ」
「…ありがと!それよりこの前ね…」
-----------------------
忘れないように。毎日目に入るように。
化粧品なんて可愛らしいものは入っていない。
これは骨壷だ。
この中にはシルバの脚が入っている。
焼かれて脆くなり、ボロボロの白い塊と粉になった私の家族の一部が。
あの時、燃やされて無くなってしまう筈だったそれを、私はどうしても残していて欲しかった。
862