痛みと慣れの話/ディアミリ戦争をしているし、前線で戦うモビルスーツ乗りなんだから当たり前といえば当たり前なんだけど、ディアッカはしょっちゅう怪我をする。それは集中していて手の平の皮膚がパイロットスーツと擦り合って赤くなっていたり、衝撃による打ち身だったり、または単純に整備班の手伝い中にうっかり火の粉が皮膚を焼いたり、そんな感じだ。本人の中でも日常的にあることだからか、私が指摘をしても「ああ、気づかなかったぜ」と肩をすくめるぐらいしかしない。
そういう小さな怪我に見慣れてしまったというのもあって、大きなガーゼを包帯で適当に巻いた額が目に入ったとき、一瞬驚いてしまったのだ。今はまだ戦闘中で、私が一瞬目を開いたのを見ていたのかいなかったのか、ディアッカは私の座る椅子に手をかけてぐっと身をよせる。
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