災難 とんだ災難に巻き込まれたものだ。
物価が安いという利点と、ホテルから見える海が最高だという評判を聞き、ここでなら景色を楽しみつつ試験勉強ができると思っていたのに。滞在一日目で私の予定が台無しになりそうで笑えない。
『アルハイゼン……いいだろ?お互いにご無沙汰なんだから』
『駄目だと言っている。ここは性処理目的の施設ではない。盛るなら家に戻ってからにしろ』
『そんなことを言って君、全然スメールに帰って来ないじゃないか!だから僕がわざわざオルモス港まで』
『補助金をバラ撒きに来たのか』
『その件は改めて話し合おうって言った』
『っ……!だから、盛るなと言っている!』
お手頃な値段で広い室内。新鮮な果物もテーブルに用意されサービスも完璧。部屋の大きさに対してベッドは少々小さいものの、シングルならば妥当だろう。スメールからの移動の疲れを、先ずは癒してから試験の対策に着手しようと寝転んだ矢先だ。
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