我爱你 「この国の言葉は難しいことだな…物書きもそうだな、発音も中々…」
「なあに、義経様は平泉にいた時もそうだが真面目な人だ。きっとすぐに覚えていつか俺よりも喋れたり書けるようになるんじゃないか?」
「そんなことはないと思うが…」
「いいや、ある!義経様のことが大好きな俺が言うんだからな!」
そう自信満々に言う忠信の姿に思わず義経は吹き出すように笑う。
「…俺、おかしなことでも言ったか?」
「いや、おかしなことじゃない。そうじゃないが…お前があんまりにも自信満々だから…ははっ、おかしくて……ふふ……」
「ん~…なんか納得いかないが殿が笑ってくれるならそれでもいいか」
そう言って眩しそうに忠信は義経を見つめ目を細めた。
「あ、そうだ義経様。この言葉は知っているか?」
そう言ってすらすらと忠信は髪に筆を走らせた。
「…なんだ、これは?この国の言葉か?」
「ああ、そうだ。何だと思う?」
「何だ、と言われても……」
忠信の字で書かれた【我爱你】という言葉にむむ、と義経は頭を悩ませる。
「…………悪い、降参だ」
悔し気に両手を挙げて降参する義経に笑うと忠信はそっとその耳に唇を寄せた。
「この言葉はな――【愛してる】という意味があるんだ、義経様」
「…愛してる?」
「ああ。ちなみに、ウォーアイニーと言う」
「うぉー、あい、にー……」
たどたどしい言い方に忠信は笑った。
「義経様――……我爱你?」
耳の辺りに唇を寄せ囁く忠信に顔を真っ赤にして義経は距離を取る。
「たっ、ただ…たっっっ……」
「ははっ、顔が真っ赤だぞ?」
「誰のせいだと思っている!?」
「ん~…俺?」
「貴様は…!」
そう言ってじゃれるように義経は忠信に抱きつきそれに忠信は大きな声を上げて笑うのだった。
-了-