sweet dream 「みんなと一緒に見なければよかった…」
リビングで見ていたホラー映画があまりにも怖く、私は中々眠れない夜を過ごしていた。
「はあ…どうしよう…」
そうしているとコンコン、と2回ノックが鳴り思わずびくついてしまう。
「は、はーい…?」
恐る恐るドアを開けるとそこにいたのは…
「やあ、ユウキ」
なんと伊吹だった。
「伊吹…どうして?」
「ええっと…『さっきの映画が怖くて一人だと夢に見そうだった』から?」
あからさまな嘘を棒読みで言う伊吹の優しさに思わず笑ってしまう。
「ふふ、そうなんだ」
「うん…まあ、本当は君が怖がってそうだったから…なんだけど、やっぱり慣れないことはするものじゃないね、うん」
「…誰かに言われたの?」
「ユウキのところに行こうとは思っていたんだけどリョウがさ…」
「富司さん?」
「行くならそういう嘘くらい吐いて気でも使ってやれ、ってさ」
「ふふ、でも私は伊吹が私を思って来てくれたことが嬉しいから嘘は吐かなくても大丈夫だよ」
「そうなの?じゃあこれからはやめとこうかな」
「うん、そうして」
そうして話していると少し落ち着いてきていてもう大丈夫だと伊吹を帰そうと思っていた私だけどいつのまにか伊吹はベッドの中に入り私を手招いていた。
「い、伊吹…?」
「ほら、ユウキ。おいで、一緒に寝よう」
こういう時の伊吹は頑固であることを知っている私は仕方がなくベッドの中に入った。
「一緒にいてくれるの?」
「君が望むのならいつまでも」
「もう、調子のいいこと言っちゃって…」
そう言っていると伊吹に手を握られどきりとしてしまう。
「大丈夫、僕が君を悪夢から守るよ」
「…うん」
その頼もしさに思わずときめいてしまうのを感じながら瞼を閉じれば、額に温かなものを感じそれがますます私に眠気を誘う。翌朝、リーゼに伊吹が私の部屋から出るところを見られてしまい揶揄われてしまうのだがそんなこと気にならないくらい今の私は伊吹に対して安心感を抱いていた。
-Fin-