Reeling まあ多分、欲目を抜きにしてもだ。ドレスアップした菅原はさまになってる。色素の薄い瞳、柔らかな笑顔、整った横顔。でも襟元が少し乱れてて、どこか完璧じゃない。着崩しても自分が赦されてしまうって、この人は無意識で分かってるのだ。せっかくの衣装を台無しにしてしまう、そういう少しの傲慢さ。
月島はそんな恋人を見つめる。どうせならちゃんと前髪をあげて、もっと仕立てのいいスーツを着せたいなとか思ってしまうけど。でもそんなことしたら本人すら気づいてない、だらしない色香を楽しめない。だから別に、このままでいいかなって思う。
結婚式の後のパーティーは3次会まで続き、もうすっかり外は暗い。バーの窓から夜景を見て、月島はため息をつく。それですっかり酔った菅原の手を引き、2人でホテルのエレベーターに乗る。
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