初めての夜の後 「!」
ぱちりと目を覚ましてすぐ視界に飛び込んでくる黒髪に私は現実に引き戻される。
(そうだったわ…私は昨日……)
五右衛門に愛され、そして私も五右衛門を愛した。それを思い返すとこのまま部屋に戻るのも寂しい気がして頭の位置を枕へと戻すように横になるとそっと五右衛門に身を寄せた。
「…寝顔を見るのは初めてだわ」
大人っぽく見えるような五右衛門だけれどこう見ると幼い顔つきをしているように思える。そっと腕を伸ばし五右衛門の頭を撫でてみる。
「あら、ふわふわ…五右衛門の髪質はこういった感じなのね」
タマとはまた違った髪質になんだか楽しくなってしまい、そして知らない五右衛門をまた知ることができてうれしい気持ちもあった。
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