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    バイラ

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    バイラ

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    ★12/25かきかけ追加
    いつもどっちか目線で書いちゃう髭膝を第三者目線で書き切ってみよう!と思ってたら秋口ぐらいからびっくりするぐらい止まっててびっくりしてるんですけど、びっくりすぎるので今度の正月休みに書き上げるのを目標に書きかけを先出しします。書きかけの更に前半をひとまずあげますm(_ _;)m

    #刀剣乱舞
    swordDance
    #刀剣乱腐
    swordCorruption
    #髭膝
    #膝丸
    #髭切
    beardedMan
    #源氏兄弟
    genjiBrothers
    #源氏
    theMinamotoFamily

    タイトルまだ付けてない…テン泊遠征の髭膝の話遠征、戦場、万屋街。それらのどの場所でも、他本丸の男士達とかち合うことは常である。
    だから、今この遠征先で、野営中の膝丸がよその自分達を見かけたのも、どうということはないはずだった。
    …よその自分が、その兄に、両手を大木に付かされていなければ。


    弟を斥候に出して野営の仕度をしていた髭切は、簡単に組み立てられる上に丈夫で目立ちにくいからと最近本丸に備えられた現代式の天幕に、ようやく勝鬨をあげたところだった。
    簡単は簡単だけれどコツがいる、これは皆で一度稽古をしたほうがいいと主に言おう、と額の汗を拭った矢先、小枝を折る足音と共に頼れる弟の気配がした。
    「やあ、おかえり。周りはどうだった?」
    皆が皆、何十回何百回と繰り返してきた問い掛けに、聞かれた弟は何故か息を呑んで押し黙る。
    どうしたのだろう。
    「どうしたんだい?何かまずいことが起きてるの?」
    それなら黙ることはなくむしろ即座に報告してくるはずなのに、次は伏せた視線を彷徨わせ、そして大きく頭を振った。
    「いや、いや特に何も問題はない。宵の口になってきて夜目が利かなくなってな、少し気を張っていた。すまない兄者、さあ火を焚こう…」
    様子のおかしい弟が、何かまずいこと、を振り払ったのは明白だったが、髭切も問いただすことはしない。本当は心にある何でも、どんなに些細なことでも伝えてほしいのに、そうされないもどかしさと言われなければ分からない苛立ちが髭切の矜持を蝕む。双剣なのに、以心伝心にならないなんて。

    そんな兄の心は露知らず、気持ちを切り替えてぱっと顔を上げた膝丸だが。兄が苦労して張った天幕に、大きく大きく目を見張った。
    「弟?目玉が落ちるよ?」
    「…あ、兄者…?この天幕は…?あ、俺の分を張る時間がなかったのだな…?」
    「ううん、これ一張りだけだよ。どうせ交代で不寝番をするんだから、一振寝られればいいだろって書いてあった」
    「主……!!!」
    交代で不寝番、それはそうだがそれならせめて三振体制にして欲しかった。ではなくて、
    …勝手に思い出されてしまう、つい先ほど目に入ってしまった、他本丸の俺と兄者…もしあの二振りの野営がこのような天幕だったなら、きっと不寝番など途中でうやむやになって、…
    任務中に何を考えているのだと、膝丸は己を叱咤する。けれどこの目で見てしまった光景はもう消えてはくれず、一層鮮やかに己の渇望を浮き上がらせる。
    人の子の、心というものが、簡単に相手に伝わらないもので良かったと思う反面。言わずとも伝わって、繋がってくれたらどんなに良いだろうとも思ってしまう。

    また黙り込んだ弟が、そんな事を考えているとは露知らず。髭切は手際よく火を起こし小さな鍋に水を張る。鍋と同じ色をした袋をいくつか詰め込んで、そうしながらも項垂れて座り込んだ弟の様子に気遣わしげに目をやっていた。
    「…弟、ほらもうご飯が温まるよ。まずは食べよう。おまえ、張り切って歩き過ぎたんじゃないのかい?いったいどこまで見回ってきたの」
    本丸を出発する前の、いやそれよりも前、昨日の夜…いやいやこの遠征を言いつけられた時から、この弟は、兄者と一緒に遠征だぞ!!とまるで非番に遠出でもするかのような喜びようで、到着してからも拠点探しに斥候に、とにかく一息もついていなかったから。何があったのか分からないけど、座る気になったのなら少し落ち着いてほしい。…できれば、何があったのか教えてほしい。
    「……兄者は…」
    「うん?」
    袋に匙をつっこんで、ひとくち食べればついついその味に意識を奪われてしまっていた。ぼそりと呟かれた弟の声は、とても仕事中とは思えない音色だった。
    いくら浮かれていても任務は任務、しかも最も警戒するべき夜間に、この生真面目な弟がこんなに気弱な声音を出すなんて。
    どれほどのとんでもない報告があるのかと、髭切は柄にもなく身構える。最後の一口は飲み込んだけれど。

    膝丸は恐ろしかった。今、自分が何を問おうとしているのか。言わなければこの優しい兄は自分を心配するし、誤魔化しが利くような神ではない。誤魔化されてはくれるだろうが、それはお互いを苦しめる澱になる。
    だが、言うのか?あの俺達のことを。問うのか?あなたは俺をどう思っているかと。
    「……兄者は、」
    「うん、」
    「………た、食べ終わったのなら先に休んでくれ!野営の仕度を全て任せてしまってすまない、あとは俺がやるから、どうぞ先に寝てくれ。疲れただろう」
    「………うん。ありがとう。…任せるよ」
    誤魔化されてくれて、でも落胆した顔は隠さずに、そうじゃないだろう、という無言の不満が膝丸を包む。もう温くなった白湯をあおって、髭切は本当に匙も袋もそのままに天幕に入っていった。
    「「………っ…クソっ…!!」」
    同じ悪態を内と外で、兄弟揃ってついたことなど二振りには知る由もない。

    あの俺達のようにしたいのではない、と膝丸は小さな灯を見ながら考える。
    番をしなくてもこの篝火は消えないが、闇を見通せない太刀の目にはこの小さな灯だけが見える光になる。
    俺はあの俺達のようにしたいのではない、それは、俺の心はあの俺と同じだが、だが俺は、ただ兄者と、兄者に、気持ちを知ってもらって、そうかあありがとう、と言ってもらえればそれでいいのだ。その他に何も望まない。それだけでいい。
    けれど、ありがとう、と言ってもらえるとは限らないから、自分は恐怖に負け兄を誤魔化した。
    と、
    「交代だよ。弟」
    「え!?」
    いつの間に出てきていたのか。髭切がすぐそばに立っている。
    「交代。次はお前の番。寝ておいで」
    「え、い、いや、だって、四半刻も経っていないぞ…!?」
    狼狽える膝丸に、髭切の声音は容赦がない。
    「そうだよ。そんな僅かの間に、お前、全く警戒心を解いてしまっているじゃないか。不寝番が何なのか、分かっているのかい?」
    「!!」
    「…ほら、早く寝てきなさい。ゆっくりするといい。この天幕、見た目より案外居心地がいいよ」
    ふわりと笑って、逆らう産毛を撫でつける。
    兄の優しさで視界が水に覆い尽くされる前に、膝丸は逃げるように天幕に潜った。
    端が捲れたままの寝袋にくるまって小さな引き手を首元まで引き上げると、残った兄の体温と香りが膝丸の全身を包み込む。
    …いつもなら、自分を安心させ奮い立たせてくれる兄の気配。だが今は、己の情けなさばかりを突きつけるものになっている。それでも、それでも膝丸は寝袋を掻き抱いた。外にいる兄に縋れないのなら、せめてこの僅かな気配だけでも、と。

    息を殺して啜り泣く嗚咽が聞こえる。
    髭切は弟と同じように篝火の前に座り、しかしその目は弟が逃げ込んだ天幕を見ていた。
    「……」
    本当にどうしてしまったのだろう。斥候の前と後でこの弟はまるで別個体になってしまった。
    いや、こういう気配を漂わせることは今までもあった。その度に、まあ言いたくないのなら…と思ってそのままにしてきたけれど、もしかしたら言いたくないのではなく言い出せなかったのではないか?伝えてほしい、教えてほしいと思っていたけれど、自分から食い下がって聞きはしなかった。相手が口を切るのを待つばかりで、なんだい弟どうしたの、何でも言ってごらん、恐れることはないよ、いい子いい子…と優しく促すことはしなかった。
    自分達は双剣で、同じ太刀で、歴代の主はちょっと違うときもあったけど基本は二振とも惣領刀で、兄弟と言っても双子みたいなものだ。助け合いはするが、刀種の違う兄弟達のように明確な上下があるわけではない。
    …そう思うからこそ、髭切は自分の弟を『いい子』扱いしてこなかったし、膝丸も兄を頼ろうとはしなかった。
    けれど、よくよく考えれば巷で見掛ける自分達は、弟は良く兄に付き従い、兄は鷹揚に弟を愛でている。それはごくたまに自分もやる弟の頭を撫でることなどではなく、慈愛に満ちて、全てを許し、ほうら皆よくご覧、僕の弟はどこの膝丸より凛々しく強く、そしてとびきり可愛らしいだろう?こんな自慢の弟に愛し愛されている僕は、どこの髭切よりいっとう幸せだよ、と言わんばかりの空気を惜しげもなく漂わせているのだ。そんな髭切に付き従う弟も、満面の笑みで余すことなくその兄の寵愛を受け取り、この目に映るのは兄者の他にないぞと、黄金の瞳をこれ以上なく輝かせている。
    「……」
    もしかして、もしかしたら。
    「………っ」
    髭切は、そっと腰を上げた。


    固く固く目を閉じて、寝袋の中に頭までうずめ、膝丸は狭い天幕の中で身体を丸める。
    息が苦しいのは窮屈に身を屈めているからだ。吐く息が熱いのは寝袋が暑いからだ。そうでなければ困る。早く眠らなければ、ちゃんと休息を取って、兄と交代しなければ。野営に戻ってからずっと兄に気を遣わせている。こんな遠征がしたかったのではない。
    「………っ」
    せめて、と縋った残り香もすぐに消えてしまった。
    すぐ外にいる愛しい兄は、自分が想う愛しさを向けられているとは思っていない。自分の兄が自分を気遣ってくれるのは、双剣で、兄弟で、背を預け助け合う物同士だからだ。
    だから早く、いつもの自分に戻らなくては、と膝丸が一層強く目を閉じた途端、
    「ちょっ…何やってるのお前!お腹が痛いの!?」
    明るい篝火に背を照らされた、いつも冷静沈着な兄の、酷く狼狽えた声が降ってきた。
    落とさんばかりに目を開き、熱はないのかと額をさする。そんな様子の兄を見るのは初めてで、膝丸は寝袋から兄を見上げたまま、弱々しく首を振るのが精一杯だ。
    「違うの?大丈夫かい?」
    体調不良ではないことが分かると、髭切はほっと息をつき狭い天幕の入口を閉めた。篝火を枕元に置き、強張る弟の身体を抱き起こす。
    「…ねえ弟、聞かせてほしいんだ。おまえが今日、何を見てきたのか。ずっと何を思っていたのか」
    「兄者…」
    「教えておくれ、僕に。僕はおまえが大切なんだ。おまえのことは何でも知りたい。寒くないか暑くはないか、苦しくないか寂しくはないか、嬉しいか楽しいか、幸せか…」
    「ぁ…に…っ…」
    「僕達は二振一具なのに、僕はおまえをちゃんと知ろうとしなかった。二振一具だから、わざわざ知ろうとしなくたって分かるはず、伝わるはず、いま分からないのはきっと練度が上がりきってないからだ、って、そう思って慢心してた」
    「兄者ぁ……っ」
    「弟、膝丸、僕の弟。ねえ、僕はおまえを、おまえが好きだ」
    「!!」

    何を聞いているのだろう、この耳は。膝丸は抱き起こされたまま兄の腕の中で、信じられないとばかりに目を見張った。さっきからずっとまともに吸えてなかった息が、余計に止まる。
    おまえが好きだ、その兄の言葉は兄弟として双剣として、そう思って通じる。だが、そんなことではないと兄の全身が言っている。
    「僕の膝丸。僕はおまえを、他のどの本丸のおまえより、どの髭切より、一番に恋い慕っている」
    「……っ…ぁにじゃぁぁ…」
    膝丸は、もう、身体中の水分が全部目から出ているようだと思った。強張る腕を恐る恐る持ち上げ、震える指で兄の襟元を摘む。掴んで縋る勇気はまだなかった。
    「教えておくれ。僕に。おまえは今日、急に別刃になってしまった様子だったから、僕はずっと心配なんだよ」
    優しい兄の目に促され、膝丸は何度も何度も飲み込んできた心を口に乗せる。
    「兄者を…ずっとずっとずっと恋しく思っていて…」
    「うん、」
    「だがそれは、伝えられない想いだと、諦めていて…」
    「うん…どうして」
    「双剣で、兄弟で、俺達は…」
    「うん…」
    「今日、見てしまったのだ。木に隠れて、む、む……っ、睦み合うどこぞの俺達を…」
    「……っ」
    兄の襟元を摘む指が、無意識にその襟を掴んでいた。
    「いや!違う俺はそういうことをし、したいのではなくっ…!ただ、ただその俺達は…心が繫がり合っているのだと思ったら…」
    急に、兄が視界から消えた。
    「ぁ、兄者…っ」
    「ごめん、ごめんよ弟。ずっとそんなに、苦しい思いをさせていたなんて」
    兄の声が、左耳の後ろから聞こえる。
    「悲しい思いをさせてしまって」
    せめてもと縋ったのと同じ香りが自分の全身を包んでいることに気付いて、膝丸は息を呑んだ。
    「…僕はお前を…そうだ、ずっと可愛く思っていた。弟だから、庇護したいと。でも、そう、お前も言うとおり、僕達は双剣だから、それは違うと思っていたんだ。そんなのは、共に源氏の重宝で二振一具の対等な惣領刀であるお前を、侮辱する感情だって」
    「兄者ぁ……っ…そんな、そんなっ…!!」
    ぎゅうっと、いっそう固く体が絞まる。
    「…違うんだ。違ったんだよそれは」
    「そ、う、、そうだ兄者、そんな、侮辱などっ…!」
    「違う。そうじゃなくて、僕がおまえを可愛く思うのも守りたいのも、僕がおまえを…おまえに、惚れているからだったんだ」
    「……ぁ…ぁ…っ!!」

    ★★続きます、、、、、
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    タイトルまだ付けてない…テン泊遠征の髭膝の話遠征、戦場、万屋街。それらのどの場所でも、他本丸の男士達とかち合うことは常である。
    だから、今この遠征先で、野営中の膝丸がよその自分達を見かけたのも、どうということはないはずだった。
    …よその自分が、その兄に、両手を大木に付かされていなければ。


    弟を斥候に出して野営の仕度をしていた髭切は、簡単に組み立てられる上に丈夫で目立ちにくいからと最近本丸に備えられた現代式の天幕に、ようやく勝鬨をあげたところだった。
    簡単は簡単だけれどコツがいる、これは皆で一度稽古をしたほうがいいと主に言おう、と額の汗を拭った矢先、小枝を折る足音と共に頼れる弟の気配がした。
    「やあ、おかえり。周りはどうだった?」
    皆が皆、何十回何百回と繰り返してきた問い掛けに、聞かれた弟は何故か息を呑んで押し黙る。
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