想う弟の小噺貴方と手を取り歩いた道
同じ景色を見て声弾ませた空
屋敷の奥から連れ出され
社殿と伽藍に分け置かれ
人ならざる力の人の子の呼ぶ声に
新たな意識、刀剣男士
人の子として日々を過ごし
人の道具として技量を磨き
貴方と手を取り歩く道
同じ景色を見て声弾ませる空
あの頃は、本当に手を取れはしなかった
太刀を二差、共に佩くことはない
共に同じ戦場を、共に並んで駆けることはなく
付喪神の朧気な姿は戦世の終わりと共に消える
今、人の子の確かな姿は脈を打ち温もりを伝え
鋼は傷つかずとも些細なことで血は流れる
貴方と手を取り歩く、畑道、街の往来、偵察の獣道
同じ景色を見て声弾ませる、実り、喧騒、有利の確信
そして、帰る本丸
貴方となら、なにを、なにをどうしていても
心が
朧気な頃から確かだった
心が
この幸せを、どうか、どうかと。
、、どうか、貴方も同じであるように、と。
願い祈る俺は、神になれぬ付喪神
願い祈るのは、人の子の行いで
神はそれを叶えるもの
願い祈る俺は、神になれぬ付喪神
、、どうか、人の子の姿を借りた俺を人の子として
俺の、ただひとりの、神に
成就を
希う。