出汁まで愛してその日の朝、目覚めた時から月島基にはことごとくツキがなかった。
無意識にスマホのアラームを止めていたようで、気付いた時には家を出る時間になっていた。急いで髭を剃ろうとしたら、手が滑って剃らなくても良いところまで剃っていた。
揃いの靴下が見つからず、やっと家を出たら出たでエレベーターがどこかの階で止まっていてなかなか来ない。月島はイライラしながら非常用の階段を駆け下りるはめになった。
駅までダッシュをキメ、これで始業時刻にはギリギリ間に合うはずだと胸を撫で下ろしたのも束の間、前にいたサラリーマンが改札で何度も引っ掛かる。何とか改札を通過し、ホームに駆け込んだ時には無常にも目の前で電車は駅を出発していった。
6412