愛してもいいかな「気分はどうですか?」
と問うと、彼はぼんやりとしたまま「悪くない」と言って、ベッドから起き上がったその足でまっすぐソファの上の犬用ベッドに向かい、静かに眠る愛犬に「おはよう」と挨拶をした。
ブランケットの上から撫でるその手は優しくて、俺はその瞬間いつも釘付けになってしまう。
彼が洗面所で顔を洗っている間、俺はソファに座って秘密の会話をする。
おはよう。
今日は雨だね。
昨日は君のご主人様を独り占めしてごめん。
君は俺のことどう思ってる?
俺たちきっと仲良くなれると思うんだ。
フラスコの中で静かに眠る君を、俺も愛したいんだけど、駄目かな?
俺はソファから立ち上がって、弱火で温めていた玉子粥をお椀によそう。最近は消化の良いもの限定で朝食を食べてくれるようになったから嬉しい。
そういう嬉しさが彼にも伝わって、大事なもののひとつになればいい、なんて。
俺の、ただの願望だけど。