毛繕い 雲深不知処には、綿毛のような真っ白なウサギが生息している。
いまは全部で何羽いるのか、途中で数えることを諦めてしまうほど多くいるが、そのはじまりは魏無羨が藍忘機に贈った二羽だということを知っているのはごく僅かだ。
ウサギたちは藍忘機のことがそれはもう大好きで、彼の姿を見るや否やわらわらと集まってくる。
一羽一羽代わる代わる抱き上げ、ゆったりと撫でては白い綿の塊の機嫌をとる藍忘機を、魏無羨は草むらに横たわって眺めていた。
いつまでこの光景を見続けていればいいのか、三羽目ですでに飽きてしまい欠伸をしていた魏無羨の視界に、二羽のウサギの姿が映った。
一羽はほかの個体と同様に白いが、もう一羽は黒い。
雲深不知処に来て随分と経つが、黒いウサギを見たのははじめてのことで、魏無羨はそのウサギに興味を持った。
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