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    ritk版深夜の60分勝負演目【ひまわり】

    #類司
    Ruikasa

    ひまわりひまわり。

    毎年この時期になると僕はひまわりを持って彼の元に訪れる。ここは都心から離れた郊外の街で人も疎らだ。仕事上ここには季節の変わり目にしか来れなくて。僕にとってここは季節を感じるところでもあり同時に彼の存在を感じるところだ。

    ひまわりの束を持って彼の部屋をノックして入る。返事はない。もう何度もしてる行為なのにその度に期待をしてしまう。彼が目覚めてるのではないかと。

    「司くん、来たよ。今日はひまわりを持ってきたんだ。」

    そう言って僕は寝ている彼に語り掛ける。司くんはずっと眠り続けている。あの日からずっと。あの日僕らは会う約束をしていた。いつも通り他愛のない話をして楽しむはずだったのに何故かその日はいつもと違っていて。

    司くんが芸能界入りしたのは高校を卒業してからしばらくのことだった。たまたま司くんの舞台を芸能界の大御所が見に来ていてそこから司くんは芸能界入を果たした。なんでも光るものを感じたらしい。司くんも当初は嬉しそうにしていたけれどほんの少しだけ影を持つようになった。

    「司くん、何か仕事であったのかい?」

    「仕事なら問題ない。今日もCM出演の依頼が来てな、人気者は辛いな!」

    何か話してくれるのではと切り出してみたけれど司くんは笑うばかりで。何かあるなら話して欲しい。昔彼はそうだった。肝心な時に抱え込んで僕たちを頼ってくれなかった。どんな彼でも僕は受け止める覚悟でいたのに彼は弱さの欠片すら僕らに見せることはなかった。そんな時だった。事故が起きたのは。自動車同士の衝突事故。原因は後から追ってきた車にあった。そしてその車に乗っていたのは悪名高いゴシップ誌の記者たちだった。話に聞けば彼らはパパラッチという行為を司くんにしていたらしい。これが司くんに影をもたらしていた原因だった。司くんはそれこそ清廉潔白を絵にしたような存在でそこにマスコミはつけ込んだのだと思う。司くんのような存在は彼らからしてみれば都合の良い餌だ。だからこそ目をつけられた。綺麗な彼の汚い部分を見つけ出すために。

    あの日なかなか来ない司くんを僕はずっと待っていた。事態を知ったのは彼の妹からの電話だった。そして次に見た彼は機会に生かされていた。一命は取り留めたものの意識が戻る確率は低いと言われいわゆる植物状態と呼ばれる状態になっていて。その日の事はショックか大きすぎてあまり覚えていない。ただ覚えてるのは泣きながら彼の名前を呼ぶ彼の妹さんと今すぐにでも起きそうな彼の穏やかな表情。

    「起きてよ、司くん」

    何度呼びかけても彼は起きてはくれなくて。眠っているだけだとわかっていても呼びかけずにはいられなかった。それからしばらくして彼はここに移された。時々妹さんもここに来て彼と話をするらしい。回復の見込みは絶望的なほどにないはずなのに彼女から聞く話は回復を感じさせるものばかりで。彼女自身も気の所為かもしれないといいつつももしかしたらと可能性に縋っている。僕もそのうちの一人だ。なかなかここには来れないけれど来た時は話しながら彼がどんな反応をするか目を離すことは出来なくて。

    いつも通り持ってきた花を花瓶に入れ彼の手を握り彼に話しかける。彼が繋いでる機械はいわゆる生命維持装置と呼ばれるもので必要最低限のものだ。体はあの時に比べればだいぶ痩せてしまっていて筋肉が無くなった事が素人の僕でもわかるほどで見る度に心が傷んだ。

    「司くん、僕ね、君が好きなあの劇団の演出を任せられたんだ。寧々は歌が認められてオーケストラで歌うことが決まったんだ。えむくんは実績を認められてフェニックスワンダーランドの全権を任せられることになったんだよ。みんな、君が眠ってる時にたくさん頑張ったんだ。あとは君が起きてくるのをみんな待ってる。スターは遅れてやってくるものなんだろう?いいよ。それでもずっと僕らは君が起きるのを待ってるから。大丈夫。ずっと待ってるから君が僕らの元に戻ってくるのをずっと。」

    そう言って僕は彼の額に口付けてその場を後にした。僕はその時彼の些細な反応に気づかなかった。彼が目覚める万が一の可能性を信じて反応を見逃すつもりなんてなかったのに。何故かその時僕は彼の小さなサインを見逃した。


    「ここはどこだ?オレは」

    オレが今いる所は真っ暗で何も見えない。それどころか前にも後ろにも進めない。名前を呼んでもなんの反応もかえってこない。オレは一体どうなってしまったんだろうか。途方に暮れていた俺の前に一人の少年が現れた。その少年はどこか類に似ていて。少年は持っていたひまわりをオレに差し出し言う。

    「そのひまわりはこの闇を照らす光なんだ。それさえ持っていれば君はどこにだって行ける。だから絶対離しちゃダメだよ。」

    「お前は誰だ?」

    「僕はただの道案内だよ。君が迷わないように君が元の場所に戻れるように案内する道先案内人だよ。それにしても良かった。君が意識を取り戻してくれて。僕ねえ、ずっと待ってたんだ。君が目覚めること。君が戻ってくるのを待ってる人が沢山いる。だから戻ろう?君のいるべき所へ」

    そう類に似た少年はオレに言うと俺が持っているひまわりに手を添え言う。

    「君は僕のスターだよ、今までもこれからもずっとね。」

    目覚めた次の瞬間オレは知らないところにいた。目に映るのはオレと同じ金の髪を持つオレによく似た女の子で。彼女はオレが目を覚ましたのを見ると「お、おにいちゃん、わかる?」と問いかけてきた。わかるも何もオレは兄だからな。妹の姿を間違えるわけが無いだろう。声を出そうにも出ないのでこくりと頷けば慌てて彼女、咲希は飛び出していった。体が動かないので視線で当たりを見渡せばそこには花瓶に入れられた一輪のひまわり。あの暗闇にいた時はキラキラ光っていたのに今ではすっかりしおれていて。あの向日葵は多分役目を果たしたんだとオレは思った。

    「これで僕の役目は終わりだね。司くん、ずっとずっと待ってたよ。君が戻ってくるのを」

    ここまで連れてきてくれた彼に似た少年がどこかで微笑んだ気がした。

    おまけ

    「類、そのいやらしい手つきやめろ。」

    「いやらしいってただマッサージしてるだけだよ」

    「それがいやらしいと言ってるんだ!」

    目覚めてから今に至るまで色々あった。俺が目を覚ました日なんてそれはもう大変だった。そして今オレは類とルームシェアをしている。長年眠っていたせいかオレの筋肉は歩くこともままならないほど落ちていて。ちなみに両親はオレと咲希が成人したのと同時にセカンドライフだと言って遠い地方で第二の人生を謳歌している。ちなみにオレがいた病院は両親の住んでいるところの目と鼻の先だった。両親はオレが植物状態になったあとも毎日のように来てくれていたらしい。咲希も家を出て両親はセカンドライフを謳歌している。これはさすがのオレも空気を呼ばねばと思っていた時だった。類からルームシェアを提案されたのは。

    以来ずっとオレは類と一緒に住んでいる。類との生活はとても楽しくて心地がいい。外に出ることは出来ないけれど。類曰く外はオレが寝ている間にものすごく変わったらしくオレに悪い影響を与えるものらしい。よく分からないが。家の周りには夏になるとたくさんのひまわりが咲き、この時期になると縁側で類と見るのが恒例だ。体をいまだ動かすことが出来ないオレに類は言う。

    『司くんはずっとそのままでいいよ。僕が何でもしてあげる。だからずっとここにいて。ここは僕が作った君の箱庭だから。』
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    類のガレージにてショーの打合せをしていた2人。
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    自分がいるのに玩具などを使おうとしていた🎈にふつふつと嫉妬した🌟は検証と称して………

    毎度の事ながら本編8割えろいことしてます。
    サンプル内含め🎈🌟共に汚喘ぎや🎈が🌟にお○ほで攻められるといった表現なども含まれますので、いつもより🌟優位🎈よわよわ要素が強めになっております。
    苦手な方はご注意を。

    本編中は淫語もたくさんなので相変わらず何でも許せる方向けです。

    正式なお知らせ・お取り置きについてはまた開催日近づきましたら行います。

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    余談
    今回体調不良もあり進捗が鈍かったのですが、無事にえちかわ🎈🌟を今回も仕上げました!!!
    色んな🌟の表情がかけてとても楽しかったです。

    大天才小粒まめさんとの合同誌、すごく恐れ多いのですがよろしくお願い致します!
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