面へし前提鶴面俺は鶴丸国永。持ち主を転々としていたせいかあまり執着がない。そんな俺を物足りなく思う主も中に入るらしい。こればかりは個体差だから仕方ない。ただ「俺」は執着が強い個体らしい。自分ではそう思わないんだがな。出陣を終え奥の間に行けばそこには見覚えのある髪の色。彼とは強襲調査で一緒になった。面影。
「おかえりなさい。鶴丸。」
俺は面影の向かいに座りその目に巻かれた布を解く。彼はずっとここにいる。俺がそう言ったから。別に監禁してるわけじゃない。逃げようと思えば逃げられる。俺には悪癖がある。その悪癖は決して許されるものでは無いが、この面影はそれを受け入れた。面影は長谷部と仲が良く俺も最初は微笑ましく見守っていたが一緒に過ごすうちに欲しくなってしまった…そう俺の悪癖は。罪悪感に押しつぶされそうになって心が乱れた時こいつは俺を見据えて言った。
「鶴丸、私はどうしたらいい?仲間の望みは私の望みだ。だからお前の願いを…」