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    死に戻りの二話ができたよ。じごく

    呪術高専と、俺が通う高校は離れた位置にある。なるべく呪術高専には近寄らないようにしているし、この東京で偶然にも遭遇することなんてないだろうと楽観して生活していたら、そんなことはなかった。
    「ね、君」
    スマホで目的の映画館への地図を見ながら歩いていた俺は、声をかけられて顔をあげてから目を瞬いた。
    行手に立ち塞がるように夏油傑が立っていた。
    「飴食べる?」
    指に挟んで見せるようにした夏油に俺は思わず笑ってしまう。
    「何それ悟用?」
    俺の言葉に夏油も笑い、そのままマックへ行くことになった。

    「夏油傑。呪術高専一年生」
    「佐神雪璃。……高校の名乗りを入れるやつは柄が悪いって聞いたことあるよ」
    「初対面で言うね」
    苦笑した夏油に、俺は慌てた。つい知っている気分で話してしまったが、確かに初対面だ。こんな初歩的なミス最近ではしていなかったが、と思ったけど、最近は悟に絡んでいなかったせいだと思い至る。
    「ごめん。不愉快だったかな。悟の知り合いだと思ってつい気が緩んじゃったんだ」
    「別に構わないよ。それくらいの方が私も話しやすい。でも、どうして私のことを知っているのかは聞かせてもらいたいな」
    そう切り返してくるあたり、さすが夏油傑だな、と思う。
    「……俺は五条悟の遠縁だから」
    「駄目だな。何も説明してないだろ、それ」
    うまく行けば誤魔化せる訳あり口調だったのだけど、夏油は許してはくれなかった。困った表情をすれば、夏油は面白がるように口元に笑みを浮かべていた。
    「君は非術師だと悟は言っていたけど」
    「その通りだよ。五条の家に連なる人間だけど、呪力はない」
    「でも悟の幼馴染なんだろ?」
    呪力がないと関われないだろ、と遠回しな呪術界をよく知った夏油の言葉に、俺は少しだけ詰まる。
    「……平凡さが珍しかったんだよ。多分ね」
    どんな顔をすればいいかわからず、小さく笑った俺の顔を眺めて、夏油はコーヒーを口にする。高校生らしくおやつにハンバーガーくらい行けるので、俺たちのトレーの上には、ドリンクとバーガーが乗っていた。
    「でも、それじゃ足りなくなったんだろうな。悟とは10歳の時に……喧嘩してそれから会ってない」
    どう説明したらいいのか難しく、そう言った俺に夏油は意外そうに言う。
    「喧嘩? 悟と君が?」
    まるでその単語を信じていないような口ぶりの夏油に、どういう意味だろうと思いながら尋ねるのはちょっと怖かった。夏油傑と会ったら、今友達である夏油に嫉妬とかするのかなと思ったけど、そうでもなくてほっとした。むしろ、悟と親しげな夏油の呼び方を聞くと、悟にそう言う人がいてくれるのが嬉しいと思う。まあ、寂しいけど、それは我慢できるものだ。
    「で、結局教えてはくれないのか?」
    「え?」
    「君が私を知っている訳を」
    「それは」
    言い淀む俺に、夏油はさらに続ける。
    「それと、この前の交差点の呪霊の件。どうやって知った?」
    畳みかける夏油の表情は真剣というよりも、余裕のある笑みが浮かんだむしろ追い立てるようなものだ。性格が悪い……と思いながら俺は首を横に振った。
    「……夏油。悪い。話せることじゃないんだ」
    素直にそう告げれば、夏油は少し考えるように顎に拳をあげるようにする。
    「なら連絡先を交換しよう」
    そう言って携帯を取り出した夏油に俺は目を瞬く。
    「悟の近況を知りたいだろ?情報交換ということでどうだ?」
    断ろうとしてふと気付いた。夏油と情報交換ができるのなら、悟の死を防ぐことがもっと簡単になるかもしれない。俺が携帯を取り出したのを見て、夏油はにこりと笑った。
    「じゃあ、これからよろしく。雪璃」
    前置きもなく夏油に名前を呼ばれて驚いた。絶対親しみから呼び捨てにした訳じゃないだろうけど、でも、そちらが距離を詰めてくるなら、少し楽だ。
    「ああ。よろしく、傑」
    いつか俺も彼に殺されることがあるのだろうか、なんて思いながら俺はコーラを啜った。でも多分、また俺だけが巻き戻る。


    幼い頃の悟はいたずらが好きで、よく大人たちをからかっていた。タチが悪いのは、どうするとどう大人が困るか、と言うことをわかった上でやっているところだ。そのころの俺は悟がやることの手伝いをしたり、一緒に企んだりと同罪だったから何も言えないが、それにしても悟のいたずらの引き出しは多かった。
    阿鼻叫喚だったいたずらは、悟と一緒に虫取りをした後のことだ。カゴにいっぱい蝉やとんぼを詰めるように入れた俺たちは、家に上がり、人が一番集まる今で遠慮なくそれを──。
    「開けちゃったの? ほんとに?」
    目を丸くしてからくつくつと笑う夏油に俺も思わず笑いながら頷く。
    「そう、虫が苦手な人もいたんだけど、部屋中に蝉とトンボが放たれてもう大合唱。その中で悟は楽しそうに網振り回してるしで、大騒ぎだった」
    「そんなことしてたのか悟は……」
    仕方ない奴だとでも言いたげに感想を述べた夏油に、懐かしいと目を細める。
    「でも、今もそんなに変わんないよ。すぐ人のことを煽るし、危ないことも好きだし、わざと空気を読まないしね」
    呆れた声音の夏油に、俺は笑う。夏油と会うのは3回目だったけど、もう意気投合している。主に会うたびに話す悟の話題のせいだが、それ以上に物腰の柔らかい夏油は話しやすく、常識的な感性を持っていて、俺も夏油の話には共感しやすかった。常識な感性を持っているというか、どちらかというと知っている、と言う部類なのだろう。
    「ん? 何?」
    俺が笑った理由を問いかける夏油に、俺は口を開く。
    「傑はいい人だね。悟の隣にいるのが傑で良かった」
    「君は人を見る目がないな」
    即座にそんなことを言われてしまって苦笑する。
    「傑は自己分析が確かなんだね」
    人を見る目がない、を遠回しに肯定すると夏油は相変わらずのブラックのコーヒーを飲んでからいう。
    「結局君の私の評価はどっちなんだ?」
    「いい人だよ。でもあなたが自分が良くない人間だと思っているのも知ってる。それに、悟に付き合える人間は多分、いい人なだけじゃ無理だと思うから」
    夏油は頬杖をついて俺を見る。その口元は相変わらず笑っていた。
    「なるほど。……悟が君を遠ざける訳が少し分かったよ」
    「え?」
    何かまずいことを言ったかな、と思って夏油の表情を見ても、気分を害した様子はない。
    「それで、君がそんな正確に私のことを知っている訳は?」
    毎回聞かれる質問に、でも今回はちょっとだけ違う返事をした。
    「…………そんなに、大した訳じゃないんだよ」
    ただ、限定的なこの世界の情報を持っているだけだ。
    「気になるね」
    「……そのうち話せるかも」
    「期待してるよ」
    話したくなってきているのでまずいな、と思う。呪術に絡む話題ができる友達なんていなかったし、悟のことを話せる同い年の相手もいなかったから楽しかった。


    四回目に会った時、傑に聞かれたことがある。
    「君は呪術師をどう思う?」
    唐突な問いかけに、目を瞬いて、俺は特に戸惑いもせずに答える。
    「世界だよ」
    「世界?」
    「そう。俺たちにとってなくてはならなくて、でもどれだけ大切なものか、みんな知らないんだ」
    「ヒーローとでも言うと思ったよ」
    俺は小さく笑みを浮かべる。
    「ヒーローだとも思うよ。でもそんな言葉じゃ表しきれないと思ってる。大多数の人間は、自分が世界に守られていることに気付いてないし、俺はそれがとても……」
    悔しいとか、悲しいとか言葉にするのは簡単だ。でも、抱いている感情が大きくてうまく声に出せずに詰まらせた俺に、夏油もいつもの腹の読めない笑みではなく、微笑んでいる。
    「俺は無力だから、世界には携われないんだ」
    「そうでもないさ。今の君の話を聞いて、君みたいな非術師がいると救われると思ったよ」
    夏油の言葉に目を見張る。夏油からそんな言葉が出てくるとは思わなかったが、この頃の夏油は本当に非術師を守るべき相手だと思っていたのを思い出す。そんな彼の言葉の重みに、俺は息が詰まった。ずっと抱えていた無力さを、夏油は和らげてくれたのだ。
    「……今救われたのは俺の方だよ」
    彼が選ぶ道が俺とは別たれていても、確かに俺は今、彼に救われたのだ。
    「ありがとう。傑」
    俺の言葉に、傑は驚いたように目を見張って、それから笑ってくれた。


    帰ったその日の夜、夢を見た。
    それは悟が死ぬ夢で、俺は夏油に連絡を取る。死ぬ現場には行くつもりだけど、もしかすると、今回は死なないかもしれないなんて、期待をした。



    雪璃から夏油に連絡が来たのは初めてだった。これまでは夏油が誘っていて、そして断られたことは一度もなかった。いつものマックに行くと返事をしてから、帰ろうと席を立つと、がっと肩に腕が掛けられる。
    「すっぐるくーん」
    「悟……」
    力をかけて圧をかけてくるような悟に、失敗したな、と夏油は思う。承諾したメールを送っておいてなんだが、これはすぐに断りの連絡を入れておいた方が良いかも知れない。
    「何?この前からカノジョでも出来た?」
    「そんなんじゃないよ」
    気付かれているかも知れないとは思っていたが、やはり誰かと会っていることを五条は気付いていたらしい。厄介なことになった、と思った夏油は、もったままの携帯を思いがけず五条が奪ったのに眉を顰める。
    「悟。携帯を返してくれ」
    「俺と会わせない気だろ。お見通しだって。ほら、会わせろよ」
    せっかく雪璃の信頼を得てきたところだったのに、これはまずいな、と夏油は思案する。五条の興味が思ったより強いことと、振り解くにはそれなりの力をかけなければいけない状況にため息をついた。ここで無理に断っても同じことだ。この様子なら、いくら隠しても五条はすぐに雪璃にたどりつくだろう。
    「分かった。でも」
    夏油は五条に牽制の視線を向ける。
    「あばれるなよ」
    「え?そんなに美人なの?」
    サングラスの向こうで目を瞬く五条に、多分修羅場になるな、と夏油は思った。せめて店外で会えるように連絡をしたかったが、五条はスマホを返してくれない。困ったな、と思いながら、雪璃がどんな表情をするのかと考えて可哀想になる。多分雪璃は、五条のことをまだ友達だと思っているのだ。でも五条は知り合いですらないと言う。何があったのかは分からないが、話していればわかる雪璃の平凡な感性と、平凡故の苦しみは、確かに自分たちの殺伐とした世界に寄り添うものに思えた。非術師の友人はいる。呪力について知っている者はいない。その中に夏油を理解しようとしてくれる人間はいない。でも彼は。と考える。自分も手放すべきなのだろうかとふとマックへの道を歩きながら思った。彼が喪われることは、つまり世界にとって損失なのだ。
    五条が暴れないようにバーガーとドリンクを買ってトレーを持たせると、飲食のできる二回の階段をのぼる。店内を見回して、雪璃がも座っていることを見つけた夏油の背後で、トレーを落とす音がした。やっぱりトレーを持たせても無駄だったか、とため息をついた夏油の視線の先で、音に反応した雪璃が顔をあげ、五条を見つけたらしく目を見開いてから、夏油に視線を合わせる。責められるかと思いきや、仕方ないね、とでも言うような表情をした雪璃に向かって、五条はずかずかと歩んだ。
    「どうしててめぇが傑と会ってる」
    恐ろしいほど冷たい声に、夏油は近寄りながら代わって返事をする。
    「私がナンパしたんだよ。悟」
    「っんでだよ……!」
    怒りの声音に夏油は五条を通り過ぎて、雪璃の前にトレーをおくと、席に着く。
    「あばれるなら帰ってくれ。私は友達に会いに来たんだ」
    「っ」
    「……傑……」
    小さな声で煽るなと言いたそうに名前を呼んだ雪璃に、五条は雪璃の顔を見やる。迷ったように立ち尽くした五条に、雪璃は曖昧な笑みを浮かべた。
    「……君の望み通りに、会わないようにしてたんだけど、ごめん」
    「…………」
    「この前も、……」
    何を口にしたら良いのか分からないと言わんばかりの、途切れ途切れの言葉を言ってから、雪璃は首を横に振った。
    「ごめん傑も」
    「君が謝る話じゃない」
    「五条、ごめん」
    はっと顔を上げた五条は、信じられないという表情で雪璃を見据えた。
    「お前…………なんで」
    言いかけて、ぐ、と歯を噛み締めるようにすると五条は身を翻す。そのまま立ち去っていってしまった五条の背を見送ってから、雪璃は深々とため息をついていた。
    「……本当に嫌われてるとわかるとちょっとショックだね」
    動揺を隠しきれない様子で、むしろ傷ついた表情を隠すように小さく笑んだ雪璃に、夏油は他にも言いたいことがあったが問いかけた。
    「五条って呼んでたけど、どうして?」
    「……知り合いじゃない相手に名前呼ばれるの、嫌だろ」
    あの時の悟の言葉を聞いていたのか、と納得した夏油は、はあ、と流石にため息をついた。悟のあの様子を見るに、雪璃に名字で呼ばれたことが堪えたようなのだが、自業自得だともいう。どう言う事情で雪璃を遠ざけるのか直接確認してはいないが、言葉にしなければ何も伝わらない。
    「困ったな」
    「そうだね」
    コーラを飲んで黙ってしまった雪璃は、それから俯く。
    「明日」
    「ん?」
    言いかけて雪璃は結局首を横に振った。
    「なんでもない。……ごめん、傑。巻き込んで」
    「さっきも言ったけど、君が謝ることじゃない。どちらかというと察していて悟を連れてきた私が悪い」
    「仕方ないよ。悟は一度言い出したら聞かないから。……悪いものがあるとすれば、タイミングだろうね」
    言ってから雪璃は立ち上がる。
    「今日は帰るよ。良かったらまた誘って」
    その言葉が出たことにほっとしながら、夏油は頷いた。お節介を焼こうかとは思っているが、今はまだ時期尚早だ。
    「じゃあまた明日」
    動揺していたのか、そんなことを言って雪璃は帰っていった。

    次の日、とあるホテルのエントランスに、呪霊が出たという報告を受けて、夏油と五条は現場に急行していた。エントランスと完全に一体化していた呪霊の攻撃は、天井や床から遠慮なく攻撃の槍のようなものを突き出すものだった。五条たちはその速度も合間って苦戦していた。特に五条は昨日の件のせいか、動きが若干精彩を欠いていて、良くないな、と夏油は思う。
    「うっざ!」
    足元から出てきた槍を避けて薙ぎ払い、天井から狙ってくる槍をまた薙ぎ払って五条は苛立ったように言う。
    「悟、集中を切らすな」
    「うるせぇな分かってんだよ!」
    「呪力量が多い!末端じゃなくて本体を探して狙うんだ!」
    「分かってるっつってんだろ!」
    疾走しながら、見えているのかカウンターに向かう五条に合わせ、五条を狙う槍を防ぎながら夏油もカウンターへ向かう。
    「こっの、クソ野郎が!」
    苛立ちを込めて放たれた術式がカウンターを盛大に破壊し、エントランス全体が揺れる。咆哮のようなものを響かせて、消えていく呪霊を眺めていた夏油は、はっと顔を上げた。
    消えた呪霊を八つ当たりするように睨み据えていた五条の頭上から、かろうじて残っていた天井の呪力が五条に向かって鋭く落ちてくる。同時に、その背後から駆け寄ってくる人影があった。
    「悟!」
    はっと振り返った悟を突き飛ばし、落ちてきた槍に腹を串刺しにされたのを見た。
    「雪璃……?」
    目を見開いて突き飛ばされた五条が雪璃に手を伸ばす。そのまま地面に倒れ込むのを抱きとめた。腹を貫いていた呪力の槍が消えていくのに合わせて、ぼたぼたと血が滴り落ちていく。
    「なんで」
    呆然とその体を抱きすくめて座り込んだ五条と雪璃に夏油は駆け寄る。
    「悟!止血をしろ!悟!」
    動けない五条の代わりに服を脱いで破った夏油の耳に、小さく声が聞こえる。
    「よかった」
    掠れたその声は確かにそう言い、ぱたりと手が床へと落ちる。
    「雪璃……っ!」
    「悟!硝子に連絡をするんだ!まだ生きてる!悟……!」
    生きてるの言葉に弾かれたようにスマホを取り出した五条の気配を感じながら、夏油は止まらない血に歯を噛み締めた。



    雪璃の死に様は全部鮮明に覚えている。
    いつも雪璃は俺を庇って死ぬ。躊躇いなく、死に飛び込んでくる。
    病室の外で待っていた俺たちは、出てきた硝子に顔を上げた。
    「すごいねー、彼。普通あんな怪我した後、話せないよ。メンタル的な意味で」
    そんなセリフに、傑がほっとしたように息をつく。
    「というと、無事終わったんだね」
    「終わったよ。完璧。あの様子ならすぐ退院できる。意識が戻ってたのも信じられない。まるで大怪我に慣れてるみたいだね」
    その言葉に俺は視線を床に落とした。混乱した頭でなんとか思考をする。夢で見る雪璃の死はどんな暗示なのかと思っていたが、あれが夢じゃないとなると、話は変わってくる。最悪な夢は原宿の時以来見ていなかった。今回の怪我の瞬間を見たことはない。
    五条は呟く。
    「夢じゃないのか……?」
    脳裏に浮かぶのは、雪璃の数々の死に様だ。死んだ瞬間のイメージが俺から雪璃を引き離す。あのイメージは夢じゃないのだろうか。
    あり得ないと否定する自分の常識の中で、でも魂が正解だと告げているのがわかる。雪璃は確かに死んでる。俺のせいで。
    となると、雪璃は俺を庇って、過去に15回は死んでいることになる。今回死にかけた件を考えると、16回。
    とても正気じゃない数字に体が冷えていく。そんな目にずっと合わせていたのかと思うと、手が震えそうだった。雪璃がどうして俺を庇うのか、その理由は分からないが、ずっと守られていた。それを俺は知らずに。
    「……悟?」
    両手の拳を握りしめると、傑が声をかけてきた。
    「傑、後で話がある」
    「分かった。……悟は雪璃に会っていかないのか?」
    「行かない」
    立ち上がって病室を背に歩き出す。
    少し、頭を冷やす必要があった。
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