Issue&Evidence&Profit「みーつけた」
玄関扉に貼られたメモを前に、ユウキは嫌な記憶を思い出す。
大学時代に頼りにしていた先輩と疎遠になった頃、ユウキはストーカーに悩まされていた。警察に連絡しても、「男だから」という理由で真面に取り合ってもらえず、当時は相談したシロナ先輩の助言の元、夜逃げる様に素早く引っ越しをして、どうにか振り切ることができた。
以来、ストーカー被害らしきものに遭遇することはなかった……はずだったのだが。
「気のせい……だよな……?」
誰かの悪戯にしては性質が悪い。ユウキは剥がしたメモを握りつぶし、自分の部屋へと戻った。
* * *
「副社長秘書への就任、おめでとうございます、ユウキさん!」
「あ、ありがとうございます……」
ユウキは今まで配属されていた部署で祝福の言葉を受けていた。
「ユウキさんなら文句なしの能力ですもんね!」
「どこにでも行って仕事しまくる様な人のスケジュール管理って大変そうだけど、きっとユウキくんならできるよ。」
「そうそう、あの人とっても有能だけど、無理が祟って倒れられたら一大事だし。お目付け役ですね!」
「あはは……が、頑張ります。」
ユウキは曖昧に笑って受け答えをする。全くもって寝耳に水な事態に、どうにも心臓が変な風に鼓動している気がした。
多分、これからしばらくは大変だぞ、という予感がしている。
そしてその予感は、様々な形で的中することになるのである。
* * *
「公私混同……じゃないですよね?」