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    kadekaru_kaname

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    kadekaru_kaname

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    半にストーカーをさせているロナの半ロナです。

    未必の故意となれ人に見られる、ということを意識したのは退治人見習いになってからだった。だが、ショットやサテツには「ロナルドってそういうの慣れてる感じがしてる」と言われ、ひとり心の中で「ああ」と思い起こす。その時はまだロナ戦もブログでしか執筆していなかったし、ロナルド吸血鬼退治事務所にやってくる人も少なかった。
    「慣れてるっていうか、見られるにはコツが居るんだよ」
    「でもそれって結局ロナルドの見た目が派手だからじゃねえのか」
    「退治人の見た目なんて派手しかねえだろ、なあサテツ」
    「え、あ、うん……まあ、個性的だよね」
    会話の合間に温かいミルクを飲んで喉を潤す。カウンターではなく、窓の近い大通りが見渡せる場所を位置どって。こういうことなんだよ、と二人には告げないけれど内心職務を終えたであろう友を思う。今も見てるんだろ。窓の外は見ない、あくまでもバレないようにしてる友──半田にバレないように動く。今日の常夜町は平和だった。特に何も急ぎの依頼がないと思ったのでミルクの代金を払って、マスターとサテツとショットとあと途中で来たヴァモネさんに挨拶をして夜の道を歩く。外は静かな空気が流れていて、鼻腔を擽った。まだ、春にもなれない後を引く冷たさに息を吐けば、白く靄となる。家に帰って暖を取るか、それともヴァミマに寄って雑誌の立ち読みでもするか。やることを頭の中に描きながら、信号待ちをするように十字路に立つ。ただ、行き場は決めていない。彷徨う脚が、何方へ向かうか惑っていると、業を煮やしたのか後ろから声が掛かる。
    「こんな時間に何をしている」
    ああ、やっぱり半田だ。分かっていたよとは言わなかった。見ていたんだろ、見せてんだよ。そんな一生を経ても言うことのない言葉を飲み込んで、あくまで偶然を装う。
    「急に、声掛けんなよ。びっくりするだろうが! ギルドに用事が特になかったから、これからどうするか悩んでんだよ」
    「帰れ」
    「公務員さんはやることがいっぱいあるかもしれませんが、退治人見習いの俺はまだ夜しか仕事がねえの。あとは自主鍛錬とか日記を書くとかそれで一日が終わるんだよ」
    「暇人め、俺は休日にはお母さんから料理を教わっているぞ」
    信号が青から赤へと変わる。そしてまた青に変わって赤へと戻る。繰り返す電気信号の下で、俺達は特に派手な話ではない近況を語る。だが俺は聞かなかった、半田はなんで俺のことを追うのかと。それはきっと半田自身にも分かっていない心境なのだろう。分からないことに解は無い。答えのない道を突き進むほどに俺は愚かではなかった。だが、カマは掛けてみたかった。
    「あのさ、半田……一つ、相談してもいい?」
    「下らない用事だったら帰るぞ」
    「まあ聞けって、最近誰かにストーカーっての? 分かんねえけど見られてる気がするんだよな」
    敢えて、半田がストーカー行為をしているんだろう、と断定した言い方にしなかったのは、その意味を受け取ったコイツがどう動くのか見たかったからだ。半田は俺の醜態を見たいというが、俺だって半田の色んな顔を見たい。半田を、少し困らせたい。そんな細やかな意地の悪い俺が微笑んでいた。
    「……相手は分かっているのか」
    「全然、でも見られてんのは分かる」
    「根拠は?」
    「視線かな、俺のことを知ってる人か知らない人か分かんねえけど、ずっと見られているって罪になるのかな」
    別に罪なんて大きな単語を出すつもりは無かった。だが、正義感の強い半田ならこの言葉で迷ってくれるのが分かった。迷ったうえで、やめられないことも知っている。高校生活の時からずっとそうだったもんな。俺の通学路を知っていたし、下駄箱だって開けたし、テストだって勝手に持って行っちゃったし。
    「確固たる根拠があって、貴様がその人物を問い詰めたいのであれば……、警察に相談するべきだと思う」
    顔が僅かに赤くなり、知恵熱を出している半田を見て思わず笑みを抑えられなくなる。模範解答だな、やっぱ半田って『良い子』なんだ。でも俺は『悪い子』だから全部分かった上で、問い詰めない。それを、お前は知らない。
    「罪ってさ」
    空を見上げると新月なのか、光源は街灯程度しかなかった。だが、隣の半田の方を徐に振り向けば月よりも透き通った金が眠っている。
    「なんだ」
    「本人がしたくてやりたいワケじゃないこともあるじゃん」
    「やらされている、と?」
    「ちょっと違うかな、ストーカーだとしたら、本人がストーカーになるかならないか分からないギリギリのラインに足を踏み入れていて、そこから進むのは躊躇われるけど、戻れない。みたいな」
    「……何が言いたい?」
    俺は別に嫌じゃないよ、半田に追いかけられるの。そう言いたいのを飲み込んで、特に何も言わず一歩踏み出す。さあ、こっちを追いかけて来いよ。このボーダーラインを踏み越えて、何もかも分からないまま危険信号さえ無視して手を伸ばせ。そう思って顔を上げれば、信号は丁度青だった。白線を全て踏み越えて、何処にも行くつもりのない足で半田を振り向けば、アイツはまだ信号を渡っていなくて、俺の言葉に思うところがあるようで立ち止まっていた。半田が俺の言葉をどう咀嚼しても構わない、けれど。最後に伝えたいことがあって、道路を間に挟んで此方から声を掛ける。
    「俺は、共犯者だぜ!」
    噛み付くことも出来ずに此方を見る、半田の顔は俺の知らない表情で、ゾクゾクとした。これからも、お前の見つかりやすい場所に居るから、ずっと見つけろよ。別に、関係性に変化を求めている訳じゃない。けれど、お前が己に課している契りを無視してまでも求めるのは俺だけでいい。これまでも、これからも。それは誘いに近い悪魔の囁きだった。




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    kadekaru_kaname

    DONE性癖のうちの一つです……、書くか迷っていると言ったら、書きなよ!と言ってもらえたので断片ですが……!半ロナです。
    貞盲ぷちん、ぷちん、と音もたたずに。ただ、微睡みの中でわずかな痛みが痴丘から取り除かれていく。脛とか、腕とか、たまに脇とか。そういうところから千切るように、陰茎を刺激しない程度にあまり自分で直視することのない白銀を抜く。ただ、別に悪いことをしてるつもりも、恥ずかしさもない。ぼんやりと眠気と、エッセンス程度のちくりとした感覚がなんだかほんわかと気持ちがいいのだ。誰にも言えねえよなあ、と今では思う。服を着てる方が珍しいと言われる退治人の仕事でも、流石に帰宅する前には局部程度は隠すので、まだ、きっと、おそらく、なんとなくだが、他人にはバレていないと思うのだ。朝になって、目が覚めて、覚醒した意識の後に待つ、生来の気質にうんざりするのは分かっているのだが、夢精をコントロール出来ないように、欠伸や鼾に原因があるように、俺にとっては不可逆の行為だった。陰毛抜毛症、それが多分一番俺の症状に近い名前なのだと思う。勝手に抜けるのではなく、何故か抜いてしまう。人によってはそれが頭皮であったり、それこそ指の毛とか腕の毛とかにもなるのだろう。ショットが聞いたら、何らかの冒涜だと嘆き悲しむだろう。人によってこの症状は様々だ。そこに毛があるのが気に入らないとか、落ち着かないから適当に抜いてしまうとか、人の数だけ抜毛症はある。俺の場合は、気持ちいいから以外の何物でもないのだが。何度もやめようと思って、それでも無自覚に繰り返すうちに、俺の痴丘は焼け野原のように疎らな銀しか残らなかった。だが問題ないと思っていたのだ、半田と付き合う前までは!
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