Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    ryo9chaaa

    @ryo9chaaa

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 8

    ryo9chaaa

    ☆quiet follow

    酷い男4(読ロド)
    あともう少しで終わりにする予定。話し合おうね。
    ※相変わらずモブ女性の存在出てきます。ご注意。

    酷い男4(読ロド)連れられてやって来たのは新横浜ハイボールというお店だった。一見、普通のバーに見えるが、新横浜では有名なハンターズギルドらしい。これから私は敵陣とも呼べる場所に足を踏み入れるのかと思うと、自然と体に力が入る。
    「なに、そんなに緊張せんでも大丈夫じゃ。事前に事情は説明しとるき。血の気は多いが話のわかる奴らだから安心しろ」
    「……顔に出したつもりは無かったのですが、よく分かりましたね」
    「まあ退治人は人気商売じゃし、人の機微に疎くちゃ女の子と遊べんからな」
    「えっと…?」
    「なんちゅーかな、好きな子ほど困らせたくなるというか……あいつ、あれでいて初恋もまだだからのう。だから許してやれって訳じゃないが、とにかくお前さんらは話し合え。今はそれしか言えん」
    話を通しておいたというのは本当だったようで、中に入ると穏やかな雰囲気で迎え入れられた。それどころか「よく来てくれた!」とまで言われてしまった。しかもギルドマスターだという壮年の男性には「今度是非貴方のレシピ教えてください。ロナルドさんの居ないところで」と耳打ちされた。
    「あの、なんでこんなに歓迎ムードなんです?」
    「あー……それもロナルドから聞け」
    お店のスタッフルーム抜けた先にある非常用階段を使って二階に上がる。ギィと少し錆び付いた音をたてて扉が開かれると中は幾つかの事務机とバインダーのぎっしり詰まったキャネット棚が並び、部屋の奥には扉が1つ。
    「それはもう病院に行くのを嫌がってな。最初は意地でも事務所に戻ろうとしたから、この部屋に押し込んでな。これでも大分譲歩してくれたんじゃ」
    「……」
    「ここに来る前も言った通り怪我は大した事ないんじゃが、まあココ最近のロナルドの調子が絶不調でな。一発活を入れてやってくれると有難い」
    「活だなんて、そんな……私は彼にとって大層な存在ではありませんよ」
    「あんたのその謙虚過ぎる態度もロナルドのせいか……お兄ちゃん複雑……」
    「え?」
    「あんたはもっと自信もっていいぞ」
    トンと背中を軽く小突かれ、私は【仮眠室】と書かれたプレートの下がるドアの向こう側へと押し込まれた。

    部屋の隅の簡易ベッドから小さな寝息が聞こえ、なるべく気配を消して近づく。毛布にくるまって顔は見えないが、ゆっくり膨らんだり萎んだりする体を見て、ずっと詰まっていた呼吸が漸く楽になった気がする。
    退治人くんの怪我は所謂、痴情のもつれだ。退治が一段落し気を抜いた瞬間に後ろからナイフで襲われたようだ。咄嗟に避けたお陰で傷は脇腹を掠める程度で済み、刺そうとした女性は周りのハンターが取り押さえ一応話をしたので、もう大丈夫だとレッドバレットさんは言っていた。それでも随分取り乱してたことだろう。仔細は分からないが、ナイフを振り回しながら「どうして」「別れたくない」と始終叫んでいたとか。自業自得だよ退治人くん…………でも、でも。
    「よかった……」
    命に別状は無い怪我だと分かっても、彼の血を嗅いだだけであんなに我を忘れてしまいそうになった。こうして君の姿を見るまで、生きた心地がしなかった。よかった。よかった。君が無事で。生きてて良かった。
    我慢してた涙が溢れ、もう自分では止められなかった。レッドバレットさんには話し合えと言われたけど、こんな状態じゃとてもじゃないけど無理だ。そもそも退治人くんに嫌いと言ったあの瞬間から、彼と私の間に話す事なんて、もう無いのだから。
    帰ろう。そっと踵を返して部屋を出ようとした時、マントの裾が引かれた。
    「泣いてんのか……?」
    低い、嗄れ声がする。振り向くと、青い瞳が私を捉えていた。

    「泣かせてばかりだな、俺」
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😭💘💴👏👏💖💖💖🙏🙏🙏🙏🙏🙏🙏🙏🙏🙏👏👏👏😭🙏😭🙏🙏🙏🙏🙏🙏🙏💖💖🙏😭💖💖💖💖🙏🙏🙏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works