酷い男(読ロド) ピロンッ
RiNEの着信音で目を覚ます。画面を見なくとも、送信者は分かりきっていた。無視、してしまおうか。今日は昼更かししてしまい、二時間ほど前に寝たばかりだからまだ眠たい。しかし、そんな私の思考を見透かしたように、間髪開けずメッセージが送られてくる。どうせ｢早く来い｣とか｢返事しろ｣とかだろう。いつもいつもそうだ。私が誘いを無下にする可能性など彼の中には一ミリもないのだろう。ふんだ、私だってやる時はやるのだ。舐めないで貰いたい。引きこもりになったって元は由緒正しき高等吸血鬼！誰が吸血鬼退治人の言葉になんぞ耳をーーーピロンッ。
うっかり画面に目を向けてしまった私は、渋々と起き上がった。
【待ってる】
ずるいよ退治人君。そんなこと言われたら行くしかないじゃないか。


送信されたリンクの地図に従って着いた先は、小綺麗なラブホテル。その門の前で退治人君が待ち構えていて、目が合った瞬間中に引きずり込まれた。そして為す術なくマントも服も靴下も何もかもひん剥かれてた私は、全身を隅から隅まで舐められ、激しく揺さぶられる。一度で済んだことは今の所ない。退治人君はかなりの絶倫だった。意識を飛ばしても強制的に起こされ、彼が満足するまで終わらない。じゃあ途中で死んで逃げようにも、退治人君が私の死なないギリギリのラインを攻めるのが上手すぎて死ぬに死ねないのだ。全く、今までどんだけ遊んできたんだ。彼なら相手に困らないだろうに。どうして毎回私を呼ぶのか。
｢そりゃお前、相性が良いからに決まってんだろ。何分かりきったこと言ってんだよ｣
相性が良いなんて、あの事故が無ければ分からなかったじゃないか。良いワインが手に入ったからと夕食に振舞ったあの夜。私達は互いに珍しく軽く酔っ払っていた。暫くゲームや依頼の話で盛り上がってたんだけど、ふと彼の顔が段々近づいてきて、私も何となく受け入れてしまった。それだけなんだよ。あの1回で終わるはずだった。あれはちょっとした事故。だと言うのに君はこうして度々私を呼びつける。付き合ってもないのに、どうかと思うよ。
｢んだよかまととぶりやがって。別にこういうのは200年生きてるお前にとっちゃ、初めてでもねーだろ｣
君、絶対何回か女性に背後から刺されそうになった事あるだろ。……初めてだよ。初めてなんだ。人を好きになるのも、誰かとこういう関係になるのも。
｢は、｣
あの日の夜の事だって本当は、嬉しかったよ。酒の力があれば私でも抱いて貰えるんだって。でも、そんな奇跡何度もあるものじゃないから、あの一回で諦めるつもりだった。
それを、君は平気な顔して、私の体も心もぐちゃぐちゃに踏み荒らしていった。相性がいい、ただそれだけで。も、いやだ。いやなんだ。君になら何されても構わないと思っていたけど、限界なんだ。


｢たいじくんなんて、きらいだ……｣

初めて彼の前で泣いた。