人の姿の、龍の王黄昏を背にして飛んできた、対の龍。片方は黄金の、もう片方は白銀の……御二方を象ったような、威厳ある龍の姿が見えた。大きく翼を広げる彼らは雄大な大地と空を支配する御伽噺の龍そのもので……いや、実際そうなのだが、改めて目にすると威圧感がすごくて……
優しく俺の目の前に降り立った御二方のお姿はそれはもう凄かった、こんな光景二度とは見られないのだろうと思うほどに幻想的で力強かった。翼は伸び伸びと開かれていたりバサバサとはためかせていたり……その翼の中に所々に血脈と思える黒い線が入っていたり、くの字に曲がっている翼の出っ張り部分には大きな棘が着いていた。頭部には普段つけているような冠のような角や細かな鱗がびっしりと生えていて、本当にかっこよかった。爪は鋭く曲がっていて、尾には大きな棘が楔のように穿たれているように見えた…実際は違うのだろうけれど
本当に姿形はそっくりなのだが、所々パーツの大きさや位置が違ったり、そもそも色が違ったり……兄君であるシャルル様は黄金の月のように優しく勇ましく佇んでおられて、弟君であるシャル様は白銀の太陽のように眩く暖かく構えておられた
二対の龍が黄昏を背に佇んでいる姿は、さながら幻想的な物語の絵画のようで、俺の魂に最期まで刻まれることとなった…無理もない、こんな美しい光景、今まで1度たりとも見たことがなかったのだから
ぼうっと御二方に見とれていたら、シャル様と思わしき白銀の龍が俺の頬にすりすりと顔を寄せてきた。鱗が刺さるかと思ったが、不思議とそんなことは無かった…