それから2日後、屋上での出来事からちょうど1週間後、尾形は何事もなかったみたいに登校してきた。
「なあ」
放課後、初めて尾形が僕に話しかけてきた。というか朝からずっと視線を感じていたので、何か用があるんだとは思っていた。だからわざと社会科準備室までちんたら歩いてやったんだ。
「廊下でいい? 中に入る?」
社会科準備室の方を顎で指せば、尾形は僕を差し置いて勝手に中へ入っていった。
「勇作さんと話しただろ」
いつも僕が使ってる椅子にどかっと腰掛けて僕を睨みつける姿はチンピラみたいだ。
「勇作さん? ああ、花沢のことか。なに、勇作さんって呼んでんの? 勇作でいいじゃん弟なんでしょ?」
「花沢ホールディングスの御曹司を呼び捨てにできるほど俺は偉くないんでね」
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