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    omusub1_5656

    ☾︎.*·̩͙ 成人済夢女☾︎.*·̩͙  好きなように書いてます
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    omusub1_5656

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    女に不自由してるなんて思ったことはねえ。
    でも本当に好いた女にはなかなか相手にされねえ、世の中そんなもんだ。


    もうそろそろ夜が明けそうな空を見てスマホを取り出すと5時前だった。
    いい加減溜まってる書類なんとかしろよ、と九井に言われ取り掛かったのが2時。
    案外集中してやれば終わるもんだ、と思いながら椅子から立ち上がり大きく伸び上がった。
    腰と肩からバキバキと音がする。
    マッサージ行きてえな…と頭の片隅で考えながらジャケットを持ち事務所を出ようとすると、別の部屋で事務作業をしているあいつを見つけた。
    「おい、まだやってんのか」
    声をかけると驚いたのか勢いよく頭を上げた。
    「あ、三途さん…もう少しで終わります。帰られるんですか?お疲れ様でした」
    誰もいない部屋で一人だというのに相変わらずかっちりと着込んでいる。
    「お前ももう終われ、モーニング奢ってやるよ」
    ちょうど腹も減ったし一緒にいるいい口実になる。
    「いいんですか?じゃあ、お言葉に甘えて…」
    少し嬉しそうに笑うとパソコンの電源を落として帰る準備を始めた。
    「あー、車前に回してくっから準備できたら降りて来い」
    「分かりました、急ぎますね」
    パタパタと忙しなく動くあいつを横目に俺は駐車場に向かった。


    「ごちそうさまでした」
    「少なくねえか?」
    注文したモーニングを食べ終え、コーヒーを飲みながら少し眠そうなあいつは、そうですか?と首を傾げた。
    「いつも思うけど少食すぎねえか?もっと食えよ」
    「朝からそんなに入りませんよ」
    くすくす笑う顔が可愛くて何も言えず顔をそらした。
    笑った顔が可愛くて顔そらすとか中坊かよ、と思いながら未だ飯にしか誘えていないのだからガキと言われても何も言い返せない。
    「なあ、今度どっか行かね?」
    「どこか…?えっと、プライベートってことですか?」
    「当たり前だろ、買い物でもいいしドライブとか…」
    いつもならこっちから誘わなくても誘いが来るためどこに行くかのプランがさっぱり思いつかない。
    「ありがとうございます、でも仕事がなかなか終わらなくて…それに幹部の三途さんはもっとお忙しいでしょう?」
    「あ?予定くらいいくらでも開けれるわ」
    おい、こいつまさか俺がこんなに必死に誘ってやってんのに断ろうとしてんのか?ついつい眉間に皺がよる。
    「怖い顔しないでください、じゃあ予定が合えば行きましょう?」
    「言質とったからな」
    ガタリと席を立ち、近くにいたスタッフに後で請求書送っとけ、とだけ伝え🌸を連れて店を後にした。



    「次の取引だか、潜入捜査で先に数名あちらに行ってもらう」
    幹部会で次の取引の話が行われていた。
    いい契約を結ぶためにも女好きのエロジジイの所に何人か先に送り込もう、という話だった。
    自分たちが出るのは契約を結ぶ時くらいだ、誰が送り込まれ様が好きにしてくれと思いながらも一応資料に目を通す。
    何人か書かれている女の名前を上から見ているとあいつの名前があった。
    「なっ…!」
    とっさに大きな声が出て全員手が止まりこちらを向く。
    「なんだ、三途」
    話を止められたことにイラっだったのか首領がこちらをギロリと睨んできた。
    「首領、こいつ…🌸って事務処理担当じゃなかったですか?潜入なんてできるんですか?」
    「仕方ないだろ、あちらさんの趣味に合う奴がほとんどいなかったんだ」
    九井がため息をつきながら、続けるぞと会議を続行する。
    灰谷たちがニヤニヤこちらを見ているが今はそんなことを気にしている場合ではない。
    会議が終わってすぐにあいつのところへ行くといつもと変わらない様子で事務処理をしていた。
    「おい、ツラ貸せ」
    「あれ、三途さん?会議は…」
    「もう終わった、来い」
    近くにあった空いている部屋に放り込み内側から鍵を閉める。
    「え…鍵……あの、どうされたんですか?」
    おろおろしながら聞いてくる🌸の腕を掴んで壁際に追い詰める。
    「い、たっ…!」
    「お前、次の潜入の話聞いてんのか」
    つい掴んでいた腕を握る手に力が入る。折れそうなほど細い二の腕だ。
    いつもスーツ姿な上、ジャケットも脱がない。細い細いとは思っていたが俺が握ると余裕で指が回る。
    「痛い!痛いです、三途さん!」
    「っ…悪い…」
    慌てて手を離すと、少しだけ距離を取られた。
    「潜入の話なら聞いてます。先方の好みが変わってる方みたいで…」
    「お前はそれでいいのかよ」
    あまりに淡々と話す🌸に食い気味で次の言葉を投げかける。
    「いいも何も命令ですから。潜入捜査なんてしたことないですけど、九井さんに聞いたらお酌と少しお話するくらいだって」
    そんなわけがない、どうなるかなんて容易に想像がつく。
    「お前、それ信じてんのか?」
    「え、それどういう…」
    「もういい、仕事に戻れ」
    🌸を部屋に残し先に部屋を出る。
    何でこうも鈍感なんだ、潜入して酒が入って何もありませんでした、なんてあるわけがない。
    九井と話していたってことは俺より先に潜入の話も聞いていたのかもしれない。
    ついこの間も飯も行ったのに何で相談しねえんだよ!!
    廊下を歩きながら苛立ちを近くにあったゴミ箱にぶつけるように蹴り上げた。
    あまり中身の入っていなかったゴミ箱は思った以上にけり上がり遠くまで転がっていった。
    「クソッ…」
    あいつにありのままを伝えるべきか、それでビビってミスでもされたら梵天に被害が出るかもしれない。今回は首領も取引に同行するくらい大きな取引だ、個人的な理由で変更して欲しいなんて言い出せない。
    頼むからクソジジイの好みから少しでも外れていることを願うしかなかった。


    取引当日、幹部は裏で会場の様子をチェックしていた。
    「全員配置についたか?」
    インカムで別室にいる九井から最終確認事項が読み上げられる。
    「ターゲットはうちが送り込んだ女たちを大層気に入ってるみたいだ。おそらく誰かを連れて部屋に戻る。そこを押さえてこちらで準備していた部屋に移動、契約させる」
    「了解、護衛は全員始末していいんだよな?」
    「構わない、ただし静かにやれよ」
    灰谷と九井が話しているのを聞きながら防犯カメラを見ているがターゲットは最悪なことに🌸がお気に入りらしい。きたねえツラでニヤニヤしながら🌸と会話を楽しんでいるようだった。
    結局何も伝えることなく当日になっちまった、なるべく早くターゲットを押さえて無事に…そんなことを考えていると動きがあった。
    「ターゲットが動いた、竜胆側にあるエレベーターで上の階に上がるみたいだ」
    全員で上の階へと向かう。兎にも角にも今は任務だ、失敗は許されない。


    「おい、部屋の前まで来たけど鍵かかってるしすげえ静かだ…人の気配がしねえ」
    先に着いた竜胆から嫌な連絡が入る。
    「鍵はこっそり開けておくように女たちに伝えてるから…おい、まさかこっちの行動読まれてたか?」
    九井の焦る声に嫌な予感がする。
    「降りたのはこの階で間違いねえのか?」
    「止まった階はここだった」
    「まさか一旦降りて階段でも使ったか?」
    「嘘だろ…防犯カメラどうなってんだよ」
    「確認してるけどやっぱりこの階で降りてる、ただ廊下の途中のカメラの死角になってるのか映ってない」
    ここには俺と、九井、灰谷兄弟と首領しか来ていない、部下は全員外で待機させている。
    この人数でこの階全部調べるとなるとすぐに助けに行ってやる、というわけにもいかなくなった。
    「くそっ!おい、竜胆!お前ら東側にいんだろ、そっちから一部屋づつ調べろ!俺と首領で西側から調べる!」
    「了解」
    闇雲に探しても見つからねえ、仕方ないが確実な方法をとることにした。


    「おい!この部屋だ!」
    中央付近の部屋、もう竜胆たちが見えてきていたあたりでお目当ての部屋をようやく発見した。
    「首領、行きましょう」
    近くまで行き扉に近づくと確かにターゲットの声がする。
    「いやああああ!!」
    分厚い扉の先から🌸の悲鳴が廊下にまで聞こえてきた。
    「!?」
    「突入しろ」
    首領の冷静な指示で俺はすぐに扉を開ける。
    入って少し廊下を行けば左側に大きなベッドがありそこにターゲットの姿があった。
    🌸は服を脱がされそれでも抵抗しようとシーツを体に当てクッションでターゲットの体を押し返していた。
    「動くな」
    全員で銃を構えターゲットの動きを止める。
    「おい!君たち勝手に…!」
    ターゲットは悪びれる様子もなく、よくも邪魔しやっがて、と喚き散らしている。
    「連れて行け」
    灰谷たちがターゲットを連れて出て行き部屋から出るのを確認すると、静かに泣いている🌸の側へと駆け寄る。
    「おい、だいじょ…「見ないでください!!」
    泣きながら必死に自分の体を隠そうとする🌸に何かされたのか!?と詰め寄るが首を振るだけで何も言おうとしない。
    シーツで隠しているとはいえ、背中は素肌のままだ。寒いだろうと自分のジャケットを肩にかけてやろうとするとパシッと手で払いのけられた。
    「は?」
    払いのけられたことにも驚いたが、それよりも…
    「おい、お前…この背中どうした?火傷か?」
    背中の広範囲、肩のあたりから尻の上あたりまでがっつり火傷の跡がある。
    かなり昔のものに見えるが当時はかなりの傷だったはずだ、そこだけ皮膚が変色していた。
    「おい…大丈夫か?」
    ベッドの前に片膝をついて🌸の顔を覗き込む。
    「だ、いじょ、ぶ…です…気にしないで…」
    クッションに顔を埋め、泣いてる顔を隠そうとしているがどんどん呼吸が乱れてきている。
    「おい、顔上げろ。ちゃんと呼吸しろ」
    無理やり顔を掴んでクッションをベッドの下に放り投げた。
    クッションだけ掴んで投げたつもりだったが、どうやら一緒にシーツまで掴んでいたようで隠していた上半身が露わになってしまった。
    「っと、悪…い……」
    ひっと小さな悲鳴が聞こえたが俺は🌸の腹を見て思考が止まった。
    本来なら肋骨があり丸みを帯びている腹の部分がボコボコと歪んでいるのだ。
    「お前…これ…」
    そっと触ろうとすると弱々しい力で肩を押された。
    「や、めて…見ない、で…!三途さんだけには…見られたくなかった…っ!」
    もう隠すこともやめてうずくまりながらわんわんと大声で泣き始めた。
    今までかっちりと着込んでいたのはこれを隠していたのか…と頭でぼんやりと思いながらシーツを背中にかけてやる。
    「大丈夫、大丈夫だから…」
    そう言って隣で背中をさすってやることしか出来なかった。


    「落ち着いたか?」
    10分くらいは経っただろうか、ようやく泣き終わった🌸に冷蔵庫に入っていたミネラルウォーターを差し出す。
    「あ、りがとう、ございます…」
    泣き叫んでいたからか声がガサついていた。
    何も言わず🌸の事を見ていると、聞かないんですか?とか細い声で話しかけてきた。
    「あ?聞いたら話すわけ?」
    そう返すと黙りこくってしまった。
    「こんな仕事してんだ、過去に色々あるやつんなんていくらでもいる」
    テーブルにあった灰皿を引き寄せて煙草に火をつけた。
    「でも、俺にだけは見られたくなかった、ってのはどういう意味か聞きてえな」
    「あっ…」
    口元を手で押さえまた黙りこくってしまった。
    ふーと煙草の煙を吐き吸い終わった吸い殻を灰皿に押し付けた。
    「あの…き、気持ち悪いものを見せてしまってすみませんでした」
    深々と頭を下げてきまずそうに視線を泳がせた。
    「は?別に気持ち悪いとか思ってねえけど」
    「え、嘘だ…」
    ちょっと食い気味に言われちらりと🌸を見ると疑いの目でこちらを見てくる。
    「思ってねえよ、びっくりはしたけど」
    ベッドに座りこんでいる🌸の隣に腰をかけると、ビクリと体が強張ったのがわかった。
    「昔…父親に、虐待を受けていました…」
    そう言ってぽつりぽつりと傷の話をし始めた。
    母親は自分を産んですぐに死んだこと、父親は酒癖が悪く酔っていない時がないくらいだったこと。
    熱湯を背中にかけられたことが何度もありこんな背中になったこと、夜寝ていると酔って帰宅した父親に胸を踏みつけられ肋骨が折れたが、病院には連れて行ってもらえず歪んだままこの形に固まってしまったこと。
    足と指の骨も折れたことあるんですけど、それはよく見ないと分からないくらいには綺麗にくっついてくれたんですよ、と笑った。
    「飯あんま食わねえのもそのせいか?」
    「そう、ですね…ご飯を食べてるとよく怒られて…お腹を蹴られていたことを思い出してしまうんです」
    ヘラッと笑う🌸になんとも形容しがたい感情が溢れてくる。
    可哀想だとか、そんなんじゃねえ…
    「辛かったな」
    そう言って🌸の頭を撫でてやるとまたぽろぽろと泣き出してしまった。
    「あっ…わ、私…ずっと前から、ひっ、さ、三途さんのことが…好きで…ひっく…でも、こんな体だし、一生恋愛なんて、ぅ…無理だし…」
    泣きながら俺を好きだという🌸にどうしようもない愛しさがこみ上げてくる。
    「俺は、別に女に困ってねえ。飯なんか誘わなくても勝手に寄ってくるしな。でも俺から飯誘ったりプライベートでどっか行かないかって誘ったり…お前、いつまで気づかねえフリしてんの?」
    「え…?」
    「お前、気づいてただろ?俺がお前に気があること。自覚があったかは知らねえよ、でも傷を理由に恋愛はできねえって勝手に思い込んでんじゃねえの?」
    🌸の目をじっと見る。
    図星をつかれたか、目の奥が揺れたのが分かった。
    「で、でも…気持ち悪く、ないですか…?」
    「お前、俺の口の両端にある傷気持ち悪いって思ってんの?」
    「え?思ったことないです…」
    「それと一緒だろ、お前が必死に生きてきた証だ。それごと愛する甲斐性くらいあるわ」
    「わ、私で、いいんですか?」
    「お前がいい」
    来いよ、と腕を広げてやると俺の胸に飛び込んでくる🌸が愛おしい。
    背中に腕を回すと今まで抱いた女のようにすべすべとした肌ではない、でも俺はこの小さな体を、この傷を、お前を愛して生きていくよ。



    「さーんーずー???」
    「俺らが取引してる間にナニしてたのかな〜??」
    「あーあーウゼェ!!悪かったな!!」
    事務所に戻る車で散々灰谷にいじられ、後から首領に一発蹴られたが今回のことは全面的に俺が悪いので何も言えなかったーーー。
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