蝶の輝きは黄金と共に①公爵家の当主のリッパーと
妖精族出身の明瞭
明瞭8歳の時に湖で
ひとり休息してたリッパーの
ヴァイオリンの音に惹かれて
ついうっかり木から滑り落ち湖に落ちる
溺れかけた明瞭をリッパーが助け
そのまま妖精族の村まで連れてってやる
リッパーは公爵だが、テンタクル族でもある
妖精族は希少種故、初めは警戒されたが
明瞭を助けてここまで連れて来てくれたと知り
なんやかんやあって以後
リッパーと妖精族は友好な関係に
そして明瞭とは月に1度
満月の日に
出会った湖で1日休息がてら
一緒に過ごすことか日課に
貴族の仕事に腹の探り合い
時には権力や地位でのいざこざに
うんざりしていたリッパーにとって
月に1度のこの日が
何よりの楽しみであり
安息の地であった
明瞭は助けて貰った日から
ずっとリッパーに惚れている
その証拠に明瞭には『羽』が既に生えている
8歳の時
溺れかけた明瞭をリッパーが
助けてくれたその日
明瞭の背中には
蒼く藍く、村一の綺麗な羽が生えた
(光輝く鱗粉には金色も混じっていた)
リッパーは妖精族の羽が
どうやって生えるかを知らない
羽が生える原理を
明瞭20歳の誕生日の日に族長から暴露され
《妖精族の羽は、本人が心に決めた人が出来た時》
明瞭の羽は12年前の
溺れかけて助けて貰った日に生えたらしい
突然の暴露話に呆然としてるリッパーに
明瞭が改めて告白
「ずっとずっと、12年前のあの日から
リッパー公爵様をお慕い申してました。
公爵様、大好きです」
「……はぁ、、、先に言われてしまいましたね
公爵ともあろう私が情けない、、、」
リッパーは己の不甲斐なさに嫌悪したが
今すべきことはひとつ
明瞭の前に立ち
片膝をつき
左の手をとり
甲にキスをしながら
「私からも言わせてください
明瞭、貴方を愛しています
この先の未来
私の隣で笑ってくれませんか?」
そう言いながら
自分の一部で作った金の指輪を
左手薬指にそっとはめる
テンタクル族の者が
自分の体の一部で作った贈り物をする
それ即ち、求婚の証
この日明瞭の羽には
蒼く藍く美しい輝きとは別に
黄金色の模様が浮き上がり
纏う輝きが増した