体は小さい方だが、小魚や小柄な栗鼠、鼠くらいなら
頑張れば自力で狩れる優秀な妖精の猟犬。
(罠は勿論、腕前もそこそこ強い。)


ある日、狩れそうな子栗鼠を見つけて仕留めようとしたら
親栗鼠に反撃され
羽を痛めて飛べなくなり
さぁどーすっかな〜
ってナイフ片手に応戦してたら
どこからともなくクローが来て
一撃で親栗鼠を仕留める
(ついでに弱ってた子栗鼠も)


無駄のない身のこなし、力、に魅入った猟犬。

自分と同じ妖精だろうが背丈が他のやつより抜きん出て高い
その妖精に
猟犬は一目惚れし
俺をお前の雌にしてくれ！！
と、懇願した。



一方クローは
そろそろ自分の雌を見つけたいと色んな森を旅していた。

雄として優良物件なクローは
留まった森の妖精達に幾度となく求婚された
可愛らしい見た目
綺麗な羽
森1番の美貌、歌声
確かにどの雌も魅力的ではあったが、イマイチ
「自分の雌」としては傍に起きたいとは思はなかったので
全部断ってきた。

他の雄達には
何が不満なのか、皆自慢出来るほどに美しい雌なのに
と、非難されたが
ピンとこないものは仕方ない。
綺麗だとは思うが、そそられないのだ。


そんなこんなで
次の森へと来たクロー。

そこでもありとあらゆる
美しい雌に求婚されたが結果は同じ。

「この森にも、私の求めてる雌はいない､､､か」


時期的にもぅすぐ冬がくる。
今年の冬はこの森で越すことになりそうだと思い
適当な木の根元に簡易巣を作り
木の実や果実を拾い集め、小魚、栗鼠などを狩り
冬が来るのを待っていたクロー。


ある日、獲物である栗鼠を狩るため
あまり来たことのない奥の方へ散策しに来ていた。
目当ての栗鼠を見つけ、追い詰めた所で
遠くから、か弱い鳴き声が聞こえ、たかと思うと
目の前の栗鼠が自分を見向きもせずに
鳴き声が聞こえた方へもぅスピードで逃げていった。


後を追うクローの目に飛び込んで来たのは
さっきまで自分が追い詰めていた栗鼠が
子栗鼠を背に庇い、小さな何かに向かって威嚇し反撃する
光景だった。

小さな何かは、おそらく同じ妖精の雄なのだろう。
手には小さなナイフを持っていた。

あんな小さなナイフでは親栗鼠は狩れないだろう。
後ろの子栗鼠ならまだしも。

どうしたものかと、視線を同族に向けると
このピンチの中、笑って構えていた。


目の前のピンチをいかにして切り開こうか
逃げる気などはなからない
そう言う目をして笑っていた。


その顔を見た時、あの妖精が欲しいと思った。
見た目からして雄だが、どうにか雌になっては
くれないだろうかと、思った。

気がつけばクローは
一気に栗鼠に近づき、仕留めていた。
一瞬で栗鼠との間合いを詰め、無駄と躊躇いの無い一撃で
親栗鼠を仕留めた、ついでに弱っていた子栗鼠も。


子栗鼠はあの子に渡しますか
などと考えていたら
後ろから思いっきり服を引っ張られ
何事かと振り向くと
目を輝かせた雄の妖精が
「俺をお前の雌にしてくれ！！」

と、言ってきた。

「……へぁ？」



こうしてクローは
一目惚れした雄の妖精(これから雌にする)と
獲物2匹を手に入れた。