④ラブホに行く2人「おまえ慣れてンだなー」
「この年齢ならだいたい皆こんな感じでしょ? 進藤先輩だって」
「んー」
どっちつかずの曖昧な返事を僕は聞かない振りをした。あのあと居酒屋を出てホテル街と言われる所へ二人で迷わずに行き、入出口が人目につかない建物へと滑り込んだ。フロントにある部屋のパネルを見上げながら適当に空いている部屋をタッチする。僕から誘ったから部屋代くらいは持ちたいし、まぁまぁグレード良い部屋で。と言っても進藤先輩の方が稼ぎが上なのは明らかなんだけど。
「三階だ。行きましょう」
「あ、会員だったら一割安くなるって」
「……会員なんですか?」
「ンな訳ねェだろ」
他愛もない会話をしながらそのまま目的地へと歩き出す。エレベーターの場所を示す無機質な案内板を見ながら進藤先輩の先を歩く。
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