FRAME/ワイン、チーズ、チョコレート :私が苦しみながら生きる話※暴力を連想させる描写あり ワイン。
素足で踏み潰した残りを飲み尽くすもの。
チーズ。
脳みそと同じ硬さのもの。
チョコレート。
銀紙越しに割れば、こんな風だったのかなって思う。
妹の死体を思うさま飲み食いして、今日も朝から逃れる。
妹の、グチャグチャになった内臓と折り曲げられた骨はどちらも人の手でやられたものだったらしい。
それを聞いたのは、朝、新聞を取りに出た私を待ち受けていた記者を名乗る人からだった。嘔吐した私を何枚か撮ってその人はどこかへ消えた。嘔吐した私の写真がどこかに載ったのか、またはそういう記事が出回ったのかどうか、私は知らない。
小さい町で被害者ヅラして生きていくのは意外と楽だ。被害者の会の集まりは二回行って、会場が遠いからとそれきりにした。ただの刺殺とか交通事故ごときで私より不幸そうな顔をする人間を見ているとイラつくから行っていないだけだけど、本音は誰にも言わないことにしている。
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