疑惑の情事 ベッドで情事が終わってひと息ついて。
さて、行きずりで何も聞かずにセックスしたんだから、と連絡先を聞くかまたはこちらが名乗るか、て俺が迷っていたら、さっきまで俺の上で腰振ってた金髪の男は、用は済んだとばかりにベッドから出て、脱ぎ捨てたパンツを履き出した。
安いそーゆーホテルの、安っぽいベッドがその勢いで軋んだ音を立てる。まさかもう帰るとか言わないよな。
「なあ、」
「代金は置いておく」
「ちょ、」
金髪の男は、綺麗な顔に見合ったそのゴージャスな体にさっさと衣服を身につけると、ホテル代には少し余るくらいの紙幣をサイドテーブルに置いた。
「楽しかったよ。君、慣れてて上手いんだな」
「もう帰んのかよ!?」
五分前にはその男らしいけど悩ましげな声で、散々気持ち良さげに喘いでたなんて想像もできないくらい、もう身支度がきっちりできてる。手櫛で長い髪を直して腕時計をつけたら、約一時間前にバーで誘った時の様子とあまり変わらない。
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