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    置き場

    すべて妄想です/年齢制限付きは自己責任にてお願い致します。

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    アテンション
    ・K暁
    ・生存if
    ・KK奥さんと離婚済み
    ・同棲したばかりな2人
    ・K→→→→→←←←←←←暁
    普段文字を書かない者です、拙い文章で申し訳ありません

    #K暁

    愛を忘れようとした臆病な鬼の話人を愛することが下手なんだと感じていた

    俺には生涯全てを捧げてもいいと思った女がいた
    俺なりに愛し守り、側にいたつもりだった
    子供が産まれた時、年甲斐もなく喜び泣いた
    小さな命と、懸命に命を育み産んでくれた妻に、
    心からの愛と感謝があった

    いつからだろう
    積み上げた積み木が、音を立てて落ちていったのは
    ガラガラと、止めようとしても次から次へと積み木が崩れゆき
    妻の声、息子の声がその音で掻き消され
    なにも聞こえなくなり、伝えられなくなったのは


    分かっている、俺自身のせいだと
    仕事にかまけて、俺が家族という絆を解いていたことを
    ただ、認めなくなかったんだ
    間違いなく愛していた、2人を幸せにだってしたかった
    2人のために街を、世界を、死ぬ気で守り抜いてきたと思っていた

    結局、そんなのは俺のエゴだったと
    家に帰るたびに嫌になる程感じたんだ
    妻の声も、息子の目線も、誰も俺を見なくなった

    自暴自棄に仕事にのめり込み
    タバコがないと酸素が吸えず、酒がなければ眠ることもできなくなった
    俺たちはただ、他人になるその時を着実に刻んでいった

    認めたくなかったんだ
    息子の好きなものがわからなくなった自分が
    妻の言葉を受け入れたくなかった自分が
    仕事を認められない自分が
    全部、全部、全部!
    認めない周りが悪いと願った
    願ってしまった。

    だから、人を愛することが出来ないんだと
    俺は元々、そういう人間なのだと
    そう考え、人と付き合うようにして安堵を得ていた

    どうせお前も俺を理解できないんだ
    なら近づくな
    お前は俺の事を理解できるはずがない
    なら、俺に、近づくな!

    そうやって、俺は俺を守っていた
    失うことが怖いとは言えない弱い俺
    口から漂う白い煙に全てを込めて、遠くへ吐き出す

    それでいいと
    思ってたんだ

    「KK」

    ガラガラと、窓が開く音と
    深夜に馴染むように、静かに名前を呼ぶ声

    「KK、寒いよ」
    「大丈夫だ、寒くねーよ」
    「違うよ、僕が」

    弛んだスウェットの端を小さく掴み、引く男
    タバコの煙が嫌いなくせに、わざわざベランダに出てくる変な奴
    俺は少しだけタバコを上にあげて、振り返る

    眠そうな顔してるくせに、目がしっかりと俺を捉える
    月の光が白い肌に写り、瞳が光る
    タバコの煙が邪魔に思うくらいに俺はコイツに見入ってしまった

    「…お暁人くんは、俺がいないと寝れないのか?」
    「そうだっていってるでしょ、タバコ消して早く寝よう」

    今度は強く服を引き、目を離さず訴える
    俺は両手をあげ、数回軽くふったあと
    タバコを灰皿に押し付け、暁人の手を服から外す

    「わぁーった、わぁーった。ホラ、布団もどれ
     灰皿片付けて歯磨いたら行くから」
    「すぐだよ、寒いんだから、早く来てねKK」

    ゆっくり腕を撫でて、暁人は寝室に消えた
    俺は撫でられた腕を、惜しいように撫で
    洗面所に向かった

    鏡に映る俺の顔
    老けた髭面の男がこちらを睨む
    アイツの人生を今度は台無しにするのか?
    アイツの人生にオレは必要ないだろ?
    妻と子供の二の舞にする気か?

    勢いよく水を流し、口から泡立った液体を吐き出す
    わかってる、アイツが違う幸せを見つけたら、俺は身を引くつもりだ
    だからどうか、今だけは

    口を濯ぎ、水を止める
    流れる水に浮かび吐いた言葉を込めて
    消えゆく様を眺めながらもう一度鏡を見る

    「年取ると、いらん事に頭を使うな」

    カランと、歯ブラシをしまい洗面所を出る
    すると寝室前に座り込む暁人がいた

    「何してんだ暁人、風邪ひくぞ」
    「KKが来ないと思って」
    「?何言ってるんだ?こんな夜中に出ていくとでも?とんだ変人に思ってたんだな暁人くんは」
    「そうじゃなくて…心が、遠くに行ってる気がして…」

    何言ってんだ?という気持ちをまま顔に出したオレを察して
    暁人はあーだかうーだか唸りそのまま抱きついてきた

    「寂しがりな暁人くん、布団でいくらでも抱きしめてやるから今は離せ。歩けねぇ」
    「僕はKKが好きだよ、今もこれからもずっと」

    ぎゅうと抱きしめる力が強まる
    俺は少し身体が軋むような気がした

    「…どうした?」
    「ちゃんと言わないと、KK離れちゃう気がして」
    「なんだそりゃ。離れるなんて」
    「真剣な話、茶化さないで。僕、離れないよ、KKが仕事ばっかりしたって、歳をとったって、同じ歩幅で歩けなくなったって」

    僕はずっとKKを愛し続けるよ

    ゆっくり、説くように、嘘偽りなく暁人は言った
    俺は浮いた両手を動かせないまま暁人の言葉を聞いていた

    なんでだ?
    なんでこいつはこうも
    どうして俺なんかを

    じわじわ食道が閉まり喉が熱くなる
    なにか軽い言葉で返してやろうと思うのに
    身体は小さく震え、妻とは違う広い背中を掴んだ

    「悪かったな」
    「いいよ、ちゃんと伝わったなら」
    「伝わってたよ、前からずっと
     俺が捨てちまってたんだ」
    「ばか、ばかKK、ちゃんと全部拾って、受け取って、たくさん返してよ」

    暁人が触れる場所が、冷えた身体に熱を生み出す
    嗚呼、どうしてこうも

    「あったけえな、暁人」
    「うん」
    「お前がいないと、もう生きていけない」
    「僕も、KKが居ないと生きてけないよ」
    「こんな気持ち、妻で最期だと思ったんだ」
    「僕で最期にして」
    「ああ、そうだな」

    俺もずっと寒かったんだ
    心地よい熱が欲しかったんだ
    いいのか、いいんだな

    「こんな俺に、捕まって可哀想だな暁人」
    「KKって結構、自己肯定感低いよね」
    「はっ、根が優しいオジサンなんでな」
    「ふふ、そうだよ、KKは優しいんだ。全部知ってるよ。僕は、KKが頑張ってることも優しい事もぜーんぶ」

    花が咲いたような笑顔を向けて笑う暁人
    胸が締め付けられ泣きそうになった
    いや、泣いていたかもしれない

    「2人で最期まで、一緒に生きていこうKK」
    「ああ、俺たち2人で生きていこう暁人
     愛してる」
    「僕も、愛してるよKK」

    寝室の前、しかも光のない真夜中なんて
    ドラマなら最悪なシチュエーションだか
    俺には生涯で1番最高な場面だと感じた。

    俺は愛おしい人間を抱きしめ、キスをした
    足りないと暁人も俺の頬を包み口を合わせる

    お互いの酸素を交換するように求めるように何度も

    生きてると感じたんだ
    暁人と一緒に、この世界で







    月の光から朝焼けに変わる時間
    隣で眠る暁人にキスをして、俺は頬が上がる顔を止められないまま
    暁人に感謝をした




    「一生愛するよ、暁人」







    ー愛を忘れようとした臆病な鬼の話ー
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    リキュール

    DONE日本ゲーム大賞優秀賞おめでとうございます!(遅刻)
    おめでたいと祝われるK暁です。本編後KK生存if、『黒猫』より少し前。
    愛したくて仕方がないが我慢していたKK×子供扱いされたくない暁人のお話。
    吉事あれば腹の内を晒せ「(おや、ちょうどいいところに)」

    ふわりと浮かぶ猫又が調査帰りの僕たちの元にやってきて尻尾を揺らした。暗い路地裏、夜も遅いこともあって人通りはないため、周囲を気にせずに堂々と触れる。耳元を撫でると、顔を擦り寄せうっとりとした表情でにゃぁんと鳴いた。これを人がいるところでやると虚無を撫でるヤバい人になってしまうので注意しなくてはならない。あれは結構恥ずかしい。

    あの夜が明け、消えていた人たちが帰ってきた。街の活気が戻り再び多くの人が行き交う渋谷になってからというもの、気がついた時には既に猫又たちはコンビニや屋台から姿を消していた。まあ人間がいなくなりこれ幸いと店を乗っ取っていただけなので、人が帰ってきてしまえば返さざるを得ず仕方がないと言えばそれまでで。だからもう会うことは無いのかと寂しく思っていたら、人気のない夜道や路地裏でひょこっと顔を出すようになったのだ。驚いたが、またあの可愛らしい鼻歌が聞けると思うと自然と顔が緩んでしまう。彼らはいつも見つけられるわけではない。気紛れに現れて、たまに撫でさせてくれて、掘り出し物を売買する。この気分屋な感じ、猫はいつだって可愛いのだ。
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