酔っぱらいの戯言「……」
カンダの社を拠点とする国津神達の誘いを断り切れず、酒を数杯嗜み、穏やかに彼らと別れの挨拶を交わして以降、ナホビノは沈黙を保っていた。
『少年、もしや具合が悪いのでは?』
「大丈夫」
アオガミへの返答も素っ気ない。
戸惑う半身への申し訳なさは積もりつつ、しかしナホビノは口を開く訳にはいかない状態に陥っていたのである。
(酔っ払った勢いで……なんて、嫌だよ)
――好き、大好き、愛してる。
常より心中で肥大化する恋情を何度も飲み込みながら、彼は龍脈に望みを掛けて進むのであった。
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