✨「うっ、眩しッ!」
久々に耳にする聞きなれた声に顔を向ければ、やはりそこには見知った人物がいた。
眩しそうに目を眇めて、両腕でできる限り遮断しているようだ。が、しかし、その反応に誰もが不思議そうに首を捻っている。
それもそうだろう、現在地、ファラザードは砂漠国家で確かに陽射しは強い。とは言え、それは魔界の中での話だ。魔界はそもそもとても暗い。
視察という名目で訪れたアストルティアの方が余程陽射しも強かったし、彼女は世界各地を旅する熟練の旅人だ。この場よりも余程眩しい場所など沢山あるだろう。
更に、ファラザード城は昼間であっても灯りを灯さなければいけないほどに薄暗いのだ。眩しい要素は皆無である。
周りの人々は首を捻りつつ、各々の仕事へと戻っていく。元々謎の言動が多い人物なので、いちいちつっこんでいたら身がもたない。
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