ばらばらになる(短編まとめ)吹っ飛んだ
わ。
状況に不相応な腑抜けた声が出た。ひゅっ、と息が詰まるような恐れをあらわにしてしまえばそれこそ現実として受け入れる事と変わりはないのだと身体が咄嗟に防衛本能を働かせたからかもしれない。一瞬の硬直の後やるべきことをはっきりと思い出す。数えないと。間違いがないように。
六。十七。二十九。
遠くの方で、沢山の人の悲鳴が聞こえる。空を切り裂くような音も。でも全部が別の世界の物事に思えて現実感が希薄だった。そのうち何も聞こえなくなって静寂の中、ただ数を数え続ける。そういえばジョンはどこにいったんだろう。ずっと抱きしめていたはずなのにな、おかしいな。
九十四。
数えなきゃ、数えなきゃ。足りなくなったら困るから。
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