猫神社の月夜の奇跡くりんばこの神社には猫がたくさんいる。神主さんの伽羅が猫好きでお守りも猫だ。
今日も今日とて他の猫どもから伽羅を護るのが俺の仕事だ。
(伽羅に触るな!)
体を大きく見せて口を開いて威嚇する。伽羅の膝に座ろうとした猫を追い払う。
伽羅の膝は俺の定位置なのだ。取られては困る。
「国広、また怒ってるのか」
大きな手が抱き上げてくれたので俺は体の力を抜く。伽羅が俺を抱き上げてくれている時は俺だけを見てくれているので本当に嬉しい。
「国広はお喋りな猫だな」
(伽羅は俺が護るからな!)
この気持ちが伝わったらいいのに、ずっとそう願っている。
伽羅は一人で寂れた神社で神主をしている。参拝客も猫くらいだから、静かなものだ。
夜、月を見ると必ず祈る。
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