杞憂「ホ室長」
サンウォンの代わりにイナを迎えに行き、家に向かう途中の車内。イナは思いつめたような顔でギョンフンに呼び掛けた。
「ん?どうしたイナャ」
出会った時よりイナは随分、大人っぽくなった気がする。
「私のこと嫌い?別に、好きってわけじゃなくていいんだけど、私、嫌われてる?」
驚いて、ゆっくり路肩に停車する。
「好きだよ。大事な友達だ」
運転席から乗り出し、目を合わせてそう答えると、イナは細くため息を吐いて、下を向いた。
「それなら、いいけど……」
「何かあった?」
学校の友達の話は、さっきまで聞いていた。サンウォンともこのところはうまくいっているはずだ。音楽教室の仲間とうまくいっていないのだろうか。
「どうしてこの頃、すぐ帰っちゃうのかなって……パパより好きな人ができたの?」
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