Like a dog,Daydream Believers ライカの名をドラッグに付けたのは間違いだった。
そう思っていた。
あの人が、その名を叫ぶ声を聞くまでは。
ラ イ カ !
予期せぬ鼓膜の振動にびくりと身体が震え、ライカが駆ける音がする。
静か過ぎる故の幻聴の類か
微睡むうちに眠っていたのか
ライカに何らかの識別装置が付いていることは看過していたものの、わざわざ、こんなところまで探しに来るなんて。
存在することすら知られずに、自身でさえ出自を知らない引退した悪党を。
そんな、もの好きはいない。
それでもどこかで、選ばなかった道の先にあったかもしれない何かを夢想しては、照れを伴う温い虚しさを鼻で笑って、自分に呆れた。
信じた自分が馬鹿だったと思いながら、老いて死ぬのも悪くない。
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