ある晴れた日の昼下がりに、賢者はカインと二人、図書室へ続く廊下を歩いていた。
窓側を歩くカインの方を見ながら歩いていた賢者は、大きな窓から見える中庭で何やら話し合っている二人の魔法使いが目に止まり、思わず足を止めた。
「賢者様?」
カインは突然立ち止まった賢者に問いかけながら、賢者の目線をたどり同じように中庭に目を向けた。
「あ、すみません、ブラッドリーとネロが見えたので。ふふ、あの二人ってなんだかんだ仲良いですよ、ね…」
賢者はそう言ってから、しまったと思った。
カインはブラッドリーとネロの過去を知っていただろうか。特にネロは隠したがっているようだったし…。
賢者は何も言わないカインを恐る恐る見ると、予想だにしない様子に目を見開いた。
2631