Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    ケフィア

    @on_kefir

    吸死(ロナドラ)とツイステ(監督生夢)にて活動してます。ツイッタではほぼほぼ94ばっかです。主にえちちなのをアップしてます🤤

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 47

    ケフィア

    ☆quiet follow

    前編を支部の方に上げてから、未だ中編を完成出来ない自分のケツ叩きの為に、書いてるとこまでアップしてみます😓

    完成頑張ります💧

    #ロナドラ
    Rona x Dra

    人でなしと人でなしの恋②の途中 ドラルクはあまり夢を見ない。

     それが彼の本質である享楽主義によって記憶の整理を必要としていない故の事なのか、永い時を生きる吸血鬼という生物的なものなのかは分からない。
     幼い頃、両親や祖父、血族の皆や糞ハブラシヒゲ師匠なぞにその疑問をぶつけてみたりもしたが結果は半々で、二世紀を超える年齢となった今も結論は出ていない。
     無論、全く見ないと言う訳でも無い。強烈な体験やストレスといった良くも悪くも精神的に強い衝撃を受けた時などは、それらが夢となって表出する。
     一番記憶に残っている夢は、最愛の使い魔を故郷へ残してきてしまった、あの苦しくも愚かな日々に見たものだったか。ジョンと再会するまでの間、毎日の様に愛おしき○の姿を夢で見て、目覚める度に湿った枕に鬱々としたものだった。
     とは言え己のスタンス上、心労は溜め込まない性質であるドラルクは、かなりの長い間、夢と呼べるものを見ていなかった。

     〝…かった。〟と過去形で表現されている時点で既にお察しの事と存じ上げるが、そんな夢見ぬ吸血鬼は、ここ一カ月程同じ夢を見続けていた。

     最初の頃の夢は、正直夢と呼んで良いものか判断付きかねる、とても曖昧なものだった。
     起床直後に夢の内容が全部飛んでしまった!夢を見た事だけは間違い無いのに!?……となる、そんな感じの夢。
     甘ったるい蜂蜜の中を塵のまま揺蕩っていた様な気もするが、はっきりとした記憶は残っておらず、思い出す事も無かったので、ドラルク自身も大して気にしていなかったのだが……。




    「………最近なーんか………変、なんだよねぇ~。」

     ドラルクは天板に両肘をついたお行儀悪い姿勢のままホットミルクを一口飲むと、ほぅ……と乳臭い溜息を吐いた。
     そんな彼が着席しているテーブルの上には、可愛い〇の権化である愛しき使い魔ジョン。クソゲニストであるドラルクを師と仰ぐ稀有なツクモ吸血鬼死のゲーム。魚類でありながら事務所どころかシンヨコで一番常識魚だと名高い吸血出目金のデメキンさん(IN 移動用金魚鉢)……と、ロナルド吸血鬼退治事務所にて生活を共にしている吸血鬼(とマジロ)が揃い踏んでいる。
     家主が人間で退治人でもある筈のこの事務所において、吸血鬼の比率の方が高い退治人事務所とは如何なものか。変態と吸血鬼がGホイホイの如く集まる魔都シンヨコだからこそ、そんな矛盾と矛盾で狂気を挟んだ様なサンドイッチが成立するのかもしれない。

     この事務所にて主にドラルク主催で行われるこの〝何でもない日のお茶会〟は、主催者の気の向くまま不定期に行われるティータイムの名称(命名:ジョン)だ。時にロナルドやヒナイチなども参加するそれは、手作りの菓子や軽食が振る舞われる事もあり、同居人の面々から好評を博している。
     今夜の茶会の為に囲まれた卓の上にも、ホットミルクやジンジャーチャイ、高級吸血魚餌、血液ボトルといった飲み物と一緒にドラルク特製絶品マカロンも並んでおり、ニコニコとご機嫌マジロが舌鼓を打っている。

    「ヌヌっヌ、ヌヌヌヌヌ?(変って、どうしたの?)」
    『体調でも悪いんですか師匠?』
    「グププ……お主は何時も変だろうが……で、どうした?……事務所に居ついてる、あの黒いやつ絡みか?」

     三者(者?)三様の気遣いの言葉を受け、ドラルクは緩く被りを振りつつ、空になったジョンのカップに生姜を効かせたお手製チャイのおかわりを注ぎ、赤い鱗が踊る水面にポチョポチョと吸血魚用の固形餌を落とす。

    「それ……若造の前では冗談でも言わないでよ、デメキンさん……いい歳した五歳児の放尿音、マジできっついんだから……。」
    「おヌンヌン……。」
    「グプ……あやつ、怖いと厠の戸を閉められないタイプか……。」
    『うわー……成人男性がする事じゃないですね……。』

     シナモンとジンジャーのスパイシーな香りが漂う中、デメキンのさらりとした不穏な発言を下地に、現在ロナ戦打ち合わせで外出中のロナルドに対して一人と二匹と一機は、四者四様、勝手気侭に扱き下ろす。

     因みに、デメキンの言う〝黒いやつ〟とは、家主だけが知らない7人(匹?)目の同居人(人?)である。
     ソレは破格の家賃八千円の弊害により何処から産まれ出でたらしき、正体不明の黒い何か。ドラルクとジョンが事務所へと押しかけるよりも以前から住み着いており、人の精神にダウン系の作用を及ぼす厄介な能力を携えている………のだが、根っからの享楽気質で腐っても竜の一族であるドラルクやその使い魔であるジョンは勿論、それらと生活を共にする事で半ば眷属に近い庇護下に置かれたデメキン、死のゲーム、メビヤツ(本人は不本意)には一切効果は無かった。
     唯一の人間であり、憑りつき先でもあるロナルドに至ってはその存在に全く気付いておらず、更に言えばバランスの取れた食事と(夜型ではあるものの)規則正しい生活、退治人業と作家業で公私共にやりがいの有る日々を送っており、毎日が気力体力で漲っている。
     自分への恐怖心で育つこの手のタイプにとって、そんな人間に憑りつくなど無理ゲーに等しく、下手に手を出そうものなら彼を取り巻く一人と二匹と二機から存在そのものを消滅させられるだろう事は想像に難く無い。

     吸血鬼側からすれば、箸にも棒にも掛ける必要性を感じない程度の存在を許されているだけの脆弱な黒いソレが、享楽主義者にとって悩みの種となる筈も無く、キンデメも文字通りブラックジョークとして話題に上げたに過ぎず、その意図を正しく汲み取ったドラルクは、同居人を謗りつつも迂闊な発言は控える様にとさり気なく釘を刺した。

    「すまんな……グププ……あやつが知らぬと思わなんだ……。」

     聡い出目金もそれとない注意をちゃんと受け取り、素直に謝罪の言葉を述べる。
     表情が一切変わらない魚類に、ドラルクはお気に入りの血液ボトル(山崎さん)から一滴二滴と金魚鉢に酌をしてやりつつ、苦笑した。

    「謝るほどの事じゃないさ……ただまぁ、うん……あのゴリラ、ホントこの手のやつの耐性無いからなぁ……。」
    「ヌヌヌヌヌン、ヌヌシイヌヌ。(ロナルドくん、優しいから。)」
    「グププ……優しいというか、底抜けのお人好しと言うか……。」
    『でもそこがつけ込まれやすいんでしょうね!』

     本人が居ないのを良い事に、好き勝手な評価を下す一人と二匹と一機の顔に悪意は微塵も無い。優しくて底抜けにお人好しで騙されやすいゴリラに対し、それぞれなりの好感を抱いているからだ。

    「……では一体何が変なのだ、同胞?……グププ……。」

     水面より落ちてきた赤い雫をパクリと吸い込み、キンデメはドラルクに視線を向けた。それに釣られたジョンと死のゲームの視線も一緒に受け止めながら、ドラルクはホットミルクを啜る。

    「ん~~……いや、何と言えばいいのか……そうだねぇ、最近えらく夢を見るんだよ。」
    「ヌヌ?」
    「夢ですか?……そういえば前にあんまり夢見ないって、師匠言ってましたね!」
    「グプ……そうなのか?」
    「そうなの、昔から夢って見ない体質でねぇ……。」

     ドラルクはそれぞれ疑問を向ける二匹と一機に、自身の夢事情について語った。曰く、幼い頃から夢を殆ど見ない事。曰く、良し悪しの区別無く精神的に大きな衝撃や圧力を受けた時に限りそれが夢として現れる事……等々。

    『ふむ……じゃあ、師匠が最近の以外で見た夢ってどれ位前の話なんですか?』
    「う~ん、そうだねぇ………ジョンを故郷に置いて離れ離れになっていた時は、再開するまで毎夜の如くジョンを夢見て枕を濡らしたっけなぁ……。」
    「ヌフン!!」
    「グププ……成る程……それは確かにお主等にとって、精神的に大きな圧力だったろうな……では、良い意味での衝撃で夢を見たのは?」
    「良い意味?……えー思い出せるのだと……お母様が司法試験に合格して名実共に弁護士になられた時……かな?」
    『確かにそれはとても喜ばしい出来事ですね、師匠!!』

     それぞれ疑問や回答、感想を述べたところで、そこから生まれた新たな共通の疑問を、代表して赤い鰭を優雅に揺蕩わせたデメキンが言葉にした。

    「……グプ……ここ最近……そんな精神的に大きく揺らぐ様な事など……あったか?」
    「無いね!!!」
    「ヌイヌー!!」
    『ありませんよねー!?』

     変態ホイホイ新横浜(不名誉)において毎夜繰り広げられる変態と変態と退治人達の愉快痛快リアル活劇に対し、愉しい!面白い!が沢山詰め込まれた玩具箱の如き価値を見出しているドラルクにとって、例え巻き込まれて自身が死に目にあったとしてもその程度の出来事では大きく心を揺さぶられる筈は無い(どうせ再生するし)。この享楽主義を突き詰めた権化の様な吸血鬼をよく知る二匹と一機は、本人も含めてウンウンと頷く。

    「まぁ………強いて上げるとすれば………先日ヌヌドラで溜め込んだ石が雲散霧消して、ヤケになって六桁注ぎ込んだ結果大爆死した時……とか?」
    『師匠!それ先月も同じことしてましたよ!!』
    「……いつもの事ではないか、いい加減懲りたらどうだ?……グププ。」
    「ヌエー……。」

     冷めた目で見つめるデメキンと死のゲーム、心配げな眼差しで見守るジョンの視線に、ドラルクはグヌヌと呻く。その至極当然な鋭いツッコミと呆れかえった戒めの言葉の連続コンボ、マジロ印の無償の愛によるトドメが真祖へと連なる心臓にクリティカルヒットし、哀れ(哀れ?)吸血鬼は虫の息を通り越して塵となる。

    『その程度、師匠の鍛え上げられたクソ魂ならATフィールドで弾き返すレベルじゃないですか!」
    「クソタマシイじゃなくて、クソカタマリって読んだ。」
    「ヌンコ。」
    「グプ……メタ発言止めろ………ふむ、他に思い当たる事はあるのか?」

     単にお茶会のネタとなれば……位の軽い気持ちで提供しただけの話題に、何だかんだと親身になって原因を一緒に探ってくれようとする二匹と一機に、ドラルクは少しくすぐったい気持ちでゆっくりと体を再生する。正直嬉しい。ジョンは当然として、他の一匹と一機に対しても手放し難い執着が心の内に芽生えてしまっている事実に、吸血鬼は同族でも無いのになぁ~……と苦笑する。

     故に、言うつもりは無かったこの話題の真の本題が、つるりと口から零れ落ちてしまったのは致し方無いのかもしれない。

    「……いやまぁ、問題は夢を見ること……じゃないんだ……。」
    「グププ………と言うことは、問題はその内容か……?」
    「………さっすがデメキンさん、話が早い!」
    『もしかして夢の頻度とも関係あったりします?』
    「ヌンヌヌヌ?(どんな夢?)」
    「どんなって、えーと………。」

     会話の流れからその内容を尋ねられるのは言わずもがな。分かりきった事ではあったが、ドラルクは思わず言葉に詰まる。何故ならその夢は……

    「うーん………君らにこんな事話すのもアレなんだけどね……ぶっちゃけ淫夢なんだ。」
    「ヌンヌ?!」
    「グプ………早速聞いた事を後悔した……。」
    『師匠!!それマですか?!マ!!』
    「マ!!……なんだよなぁ、これが……デメキンさん腹見せないでよ、もー。」
    「グププ……見せたくもなるわ………って、止めろ!つつくな!?」

     デュクシ!デュクシ!と金魚鉢の水面にプカプカと浮かぶデメキンの白い腹を、ドラルクは腹いせに突っつく。腹だけに……って喧しいわ?!
     グプグプと急いで水底へと避難した出目金をジト目で見る吸血鬼は、同じくジト目で自分を見つめる二匹と一機に気がつき、慌てて手を振り言い訳を始める。

    「待て待て!!べ、別に下ネタとかセクハラとかそんなのでは無いからな?!」

     内容が内容なので色々と誤解されても仕方無いのかもしれないが、これでも本人なりに本気で困っている事だったりする。

    「……最初はね、単にフワフワした甘ったるい空間を塵のまま漂ってるだけ……みたいなものだったんだけどさぁ……。」

     ドラルクは長い溜め息を吐き出すと、夢の具体的な内容について説明を始める。

    「日を追う事に夢の中で自分の体が少しずつ形成されていって……で、気がついたの。あ、なんか体触られてるな?って。」
    『触られてる?……でもそれだけじゃ淫夢とは言わないですよね。』
    「勿論だとも。」

     ーーーーまず初めは顔だった。
     柔らかいけどカサついた感触が顔中に降り注ぎ、幼子の頃に両親から与えられた愛情のこもったキスを思い出した……それだけならば、単に幼かった頃の思い出を夢に見ているのだろうと判断したと思う。だが残念ながらその感触それで終わる事は無く、徐々に口元に集中し始めたかと思うとペロペロと唇の端から端をなぞる様に舐められ、ぐにりとした分厚い舌が口内へと侵入してきたのだ。

    「あーなんかキスされてるなぁ~……しかもディープなやつされてるわ~とか思ってたらね。どんどんエスカレートしてって……。」
    「ヌエー。」
    「グプ……エスカレート……正直続きを聞きたくないな……。」
    「そんな事言わないでよ!?私が一番困惑してるんだから!」

     徐々に大胆な動きへと変化したその手は、全身どころかあらぬところまで触れてきて、些細な事で簡単に塵となる体を絶妙な力加減で撫で回してくる。凹凸と言えば肋の抉れしかない薄い胸板を撫でさすり、敏感な突起はクリクリグリグリとぷっくりと腫れるまで摘ままれ舐め回されたし……

    「……現時点だと、陰部やお尻もね……うん、弄られまくってる。」
    「ヌアーー……。」
    『うはーー……。』
    「引かないで?!ドン引きは止めて?!………ぶっちゃけ……愛撫……というか、開発されて……るっぽい?」
    「グププ………死んでもよいか……?」

     死ぬなそなたは美しい!!……と某有名台詞を微妙に真似た叫びを上げながらデメキンの腹プカを阻止すべく金魚鉢をグルグル回転させるドラルクに、主人想いのマジロは気遣わしげに尋ねた。

    「ヌヌヌヌヌヌ、ヌヌ、ヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌ?(ドラルク様、その、夢の相手は誰なの?)」
    「あー………それがね、何故か夢の中では目が開かなくて……分からないんだ。」

     そう、夢の中のドラルクは目を開けることが出来なかった。聴覚、嗅覚、触覚……視覚以外はフィルターが掛かったかの様にぼやけていたが、一応知覚は出来た。しかし視覚だけは、どれだけ切なる祈りを念じてみても、眼輪筋が筋肉痛になるレベルで瞼を上下に動かそうと試みても、無駄な努力に終わった。

    「………ってな感じでね。体も動きゃしないし、身動き一つ取れないって訳。」
    「ヌエー。」
    「……なるほど……グププ。」
    『金縛りってやつみたいですね……あ、違うか。夢の話ですもんね。』
    「うんまぁ、夢の話……何だけども……それがねぇ…。」
    「ヌ?」

     瞼どころか体全体も指一本動かせない。何をされても抵抗どころか身動ぎすら出来ず、いつもなすがままなのだ。それどころか……

    「……夢……だけじゃなくて………なんか、その……現実の私の体も……開発が進んでる……っぽい?」
    「ヌアッ?!」
    『は???』
    「はぁ???」

     こんな下世話な話にも口では何やかんやと言いつつ心配してくれている二匹と一機に、今更隠し立てても詮無き事だと腹を括ったドラルクは、真の本題部分も洗いざらいぶちまける事にした。

    「夢の中でキスされてるなぁ?って気がつき始めた位かな……。」

     最初は目が覚めた瞬間だった。夢と現の境界が曖昧なぼんやりとした思考の中、自分の身体に些細な……本当に僅かな違和感を感じた。それが何かよく分からないまま夢でなぞられた部分を確認するも、身体にはなんら痕跡は残っていなかった。当たり前だ、夢の中の出来事なのだから。
     しかし自分に触れる手の動きがどんどん卑猥なものへと移行するのと比例し、違和感は確信へと変わっていった。夢の中で弄られたそのまま、現実の体も造り変わっている事に気がついたからだ……長い吸血鬼生でその存在を特に意識した事の無い乳首が少しずつぷっくり敏感になっていくし、自慰行為をした訳でも無いのに朝起きるとちんちんが夢精したみたいに妙にすっきりしている。決定的だったのは、自身は勿論他者に見せた事すら無い筈のお尻がちょっとした接触等の刺激で甘く疼いている事実に気がつき……流石のドラルクもこれが夢の中だけでは無く、明らかに現実でも性的な弄りを受けている事実を認めざるを得なかった。

    「……気のせいかなぁとか、逆に気の迷いとかじゃなく本当に何かされてると仮定して原因を探ってみたりもしてみたんだよ、これでも。」

     すぐ脳裏に浮かんだのは第三者の侵入や、気がつかぬ間に催眠、魅了を使われた可能性。変態が特盛の街シンヨコでは、可能性が一番高いのはこれらだろう。
     そう推察したドラルクはドラルクキャッスルマーク2の隅々を見て回り侵入の痕跡等が無いか探してみたり、外出する際は同居人に気取られぬ様こっそりと出入り口や窓の目立たぬ位置にロナルドの髪の毛や縮れ毛を貼り付けて(掃除してるとボロボロ落ちてるし銀色で目立ち難い)、帰宅した時切れたり外れたりしてないかで留守宅への侵入が無かったかの確認をしてみたりと試してみた……が、結果は振るわず。そもそも第三者の侵入云々はメビヤツやキンデメの存在、野生の勘が鋭いゴリルドがいる以上難しいだろうし、催眠や魅了が効きにくい自分に対してこうまで悟られずにそれらを施してるレベルの能力持ちの奴がもし存在するなら、いくら何でも自分や彼等、床下のヒナイチや頻繁に訪れるダンピールの半田とか気が付きそうなものである。

    「グププ……確かに、メビヤツや我々の監視を潜り抜けるのは容易ではないか……。」
    『あ、ロナルドさんのお友達のダンピールの方に確認して貰うってのは?』
    「ロナルドくんが不在の時にセロリトラップ仕掛けに来た半田くんにそれとなく聞いてみたけど、私達以外の吸血鬼の気配も残滓も何も無いって言われちゃってる。」
    「ヌーン……。」

     ……となると。犯行は外部の何かしらでは無く、内部の仕業となってしまう。そう結論付けた二匹と一機の脳内には、自然とある人物の名が浮かび上がる。

    「ヌヌヌヌ……ヌン……?(ロナルド……くん……?)」
    「………………だよ……ね?」
    「……そうなるな…………グプ……。」
    『それ以外……無いですよね……。』

     既にドラルクも同じ結論を出していた。状況を省みると、それ以外の推論は成り立たないのだ。それに……

    「………最近ね、若造の視線がね……何というか……こう、粘っこいと言うか………気のせいだと思いたいんだけど。」
    「……気のせいではないだろ……それに貴様らの距離感も、この所おかしい……グププ……。」
    『あっ、やっぱり?』
    「ヌッヌリッヌ???(やっぱりって???)」
    『いやぁ~、やけにパーソナルスペースが近いなぁと思ってたんですよね!」
    「あ~…………死のゲームもそう思う……?」

     ドラルク自身、夢での違和感を覚え始めた位から同居人が向ける熱っぽい視線には気が付いていた……妙に近い、バグった距離感にも。
     例えばジョンと、ついでに五歳児の為の食事をこしらえている時。目の前の調理に集中していると、気配を消したロナルドがいつの間にやら背後に張り付き、ドラルクの手元をジッと見ているのだ。その度に驚き死し、私の背後に立つなと怒れば、ゴルゴかてめぇはと返しつつも結局料理が完成するまで子泣き爺の如く離れない。そんなやり取りがほぼ毎日繰り広げられており、最初こそ邪魔だの何だのと邪険にしていたドラルクもすっかり慣れてしまい、細腰を抱える太い腕にすら気にならなくなってしまっていた。

    「あと……なんかベタベタ触れてくるのも増えた様な……?」
    「あれをベタベタの一言で片付けるのかお主……グプ……。」
    『さり気なくお尻とかに手の甲とか掠らせてますよね?』
    「ヌヌヌヌヌヌヌ、ヌンヌーヌヌヌヌヌ?(ドラルク様の、反応見てるよね?)」
    「ゴリラが変態に進化しとる!!」

     ドラルクは大声で叫ぶと勢いのまますっかり冷めてしまったミルクを乱暴に煽り、盛大にむせて塵となった。一人と二匹と一機によるディスカッションによりほぼ確定してしまった結論は、色々な意味で大きな衝撃だった。
     ヌー!!と愛しの使い魔の嘆きを受け、吸血鬼はナスナスと体を再生しつつ長い長い溜め息を吐いた。

    「そもそもだ!……そんな事して、バカ造は何がしたいんだ……?」

     いくら自他共に認める(他は両親や一族しか認めていない)ウルトラキュートなドラドラちゃんと言えども、実態は骨と皮だけのガリガリなおっさんである。おっぱいをこよなく愛する、良く言えば純朴な童貞であった筈のあの若者が、何をどうすればこんな特殊性癖持ちへとクラスチェンジしてしまったのか想像すら出来ない。どこぞの変態吸血鬼から催眠でも受けているのかとも考えられるが、それなりの期間経ている現状、ギルドの連中やVRC、吸対が見逃し続けているとは到底思えない。

    「ポンチの能力とかじゃないって事は、ロナルドくんの意志でやってるワケだよね?!……手段は分からないが、人の体を勝手に弄り倒して開発するって何?!幾ら書類上は備品登録してるって言っても酷くない?!!」

     これ程の労力の無駄遣いは他に無いだろう。おっさんの尻をコソコソ耕して何が楽しいのか?!……怒り心頭とばかりにプンスコするドラルクの脳裏には、ガリガリのおっさんの尻を開拓するのに情熱を燃やしているゴリラで占められていた。なんかウホウホ言いながら楽しそうに開墾してる。
     そんなドラルクの姿に二匹と一機は一瞬視線を合わせた後、信じられないものを見る目で目の前のプンプンと頬を膨らませている吸血鬼に視線を向けた。

    『師匠……それ、本気で言ってるんですか?』
    「えっ???」
    「お主………マジか………グププ。」
    「な、何その憐憫の眼差し?!」
    「ヌヌヌヌヌヌ……(ドラルク様……)。」
    「ジョーーン!!私のジョーーーン!!!」

     それぞれなりの呆れ顔で見つめられ、その視線の意味を全く理解出来ていないドラルクに対し、新横浜常識枠であるデメキンが口を開いた。

    「グプ……老若男女種族問わず同意無しの性行為は、この国において犯罪行為になる……それは例え恋人関係や夫婦であってもだ……。」
    「犯ざっ?!……いや、うんまぁ……そうだけど……?」
    「お主が今の現状がそれに該当するのは……わかってるのか?……グプ……。」
    『方法とか理由は抜きにしても、色々とアウトですよ師匠!』
    「ヌンヌン!!」
    「え、えーっと………だから酷いなぁって思ってるけども……???」

     なかなかの剣幕で責める様に詰め寄られ、吸血鬼は降参とばかりに諸手を上げた。こけた青白い頬に冷や汗が一筋流れる。その顔に浮かぶ感情は困惑のみで……全く理解していない様子のドラルクに、二匹と一機は再度視線を合わせ、大きく溜め息を吐いた。

    「グププ………理不尽に性的な行為を強要された場合………普通は強く激怒するものではないのか?」
    「いやいや!!だから酷いなって怒ってるじゃないの私!」
    「酷くない?ってレベルの話では無いと言ってるんだ馬鹿者……グプ。」
    「ヌンヌン!!!」
    『それに師匠は別にゲイとかバイじゃないですよね?……男でありながら同性の同居人から知らない内にそんな事されてたって知ったら、気持ち悪いとかそんな風に思うもんなんじゃないですか?』
    「えっえっ?!……いや、気持ち悪いとかそんなの……だってロナルドくんだよ?そんなの別に……。」

     ドラルクは、それ以上言葉を続ける事が出来なかった。

     ………確かに、自分は〝項の綺麗な女性が好き〟と公言している純然たるヘテロセクシャルだ。美しいものは好きで、それが同性であろうが好ましいとは思うけれど、あくまで鑑賞的な意味合いを超える事は無い。
     ドラドラチャンネルで生放送配信してると「その細くて長い指にちんちんよしよしされたい!」などと下品なセクハラ発言をかます阿呆も一定数いる事も知っているが、そんな事ガリガリのオッサンに言われても困るし、普通に気持ちが悪いとしか思わない。
    (そんな輩は畏怖民からフルボッコにされ、ジョンからブロック処理される迄がワンセット)
     けれど………色々と試行錯誤し、あらゆる推論から導き出した答えを受け止めた時……その犯人である同居人に対して、嫌悪感や忌避感等の感情は一切湧かなかった。彼らの言う通り、普通は怒ったり悲しんだり……嘆いたりするのだろう。もしその相手がロナルド以外の誰かだったりしたら……きっと自分はショックで死んでしまい、再生すら困難となるかもしれない。

     では何故、ロナルドならば嫌な気持ちにならないのか?………答えは、一つしかない。

    「私……もしかして、ロナルドくんの事……好き、なの……?」

     それに対しての返しは、徹底的に一貫していた。

    「すぐに気がついたわ……グププ。」
    『師匠!!今更過ぎて草生えます!!』
    「ヌン!!」
    「ふえぇ……。」

     何言ってんだコイツとばかりに呆れ顔を向けられた吸血鬼は、萌キャラの様な声を漏らしサラサラと静かに砂となった。あまりの衝撃とショックに、なかなか再生出来ないままドラルクは思考に沈む。
     
     長い長い吸血鬼生で好奇心と享楽主義からそれなりの経験をしてきたものの、正直恋愛と呼ばれる関係を築いた事は無い。人間、吸血鬼問わず美しい女性に対して男としての性欲を抱いた事は有れども、恋愛感情へと発展した事は全くと言って良いほど無かったし、誰かを愛する楽しさや喜びはジョンさえいれば、全てにおいて満ち足りていた……筈だった。
     だが、不可抗力と言っても過言では無い怒涛の流れでこのロナルド退治人事務所へと転がりこみ、ロナルドと過ごす退屈なんて無縁な日々を積み重ねていく内に、彼の者は愛しき使い魔に迫る程にドラルクの心の内を占める存在へと昇華されている事に気がついてしまった……こんな無体な真似をされても、何だかんだと許せてしまう程度には!

     これまで一度も抱えた事の無い、くすぐったくも甘酸っぱい想いを突然目の前に突きつけられてしまった現状に、ドラルクは再生しては砂になるのを繰り返し、そんな主人の惨状にジョンはヌーーー!!?と悲しげに鳴いた。
     ウゾウゾと蠢く砂の周りをヌーヌーと転がり回る主従の姿に、見かねたデメキンが声を掛けた。

    「グププ……しかし、お主の方は兎も角……ロナルドの思惑がわからんな……。」

     その言葉に、吸血鬼はするりと体を再生させ椅子に座り直し、マジロもピタリと動きを止めた。

    「……いやもう、ほんそれ!!」
    「ヌヌヌヌ!!」

     ドラルクはバンっ!と机を叩き、反作用で死んだ。

     確かに指摘通りだった。ただの性欲発散なのか、ドラルクと同じ想いを抱えているのか。しかしどちらの説で仮定したしても、相手は至上唯一のキング・オブ・童貞だ。国語辞典で〝童貞〟と引けば、【1:まだ異性と肉体関係をもったことがないこと。また、その人。ふつう男性にいう。】の次に【2:ロナルド(本名:木下日出男)のこと。】と表記されるし、英和辞典で〝cherry〟と引けば、【桜。また、サクランボウ。桜桃。】の次に【2:ロナルド(本名:木下日出男)のこと。】と記載されるレベルの童貞王である。更に付け加えると、〝お人好し〟で辞書を引いても同じ結果となる筈の善性の塊の様なあの男が、こんな無体で理不尽な真似をするのだろうか?

    「グプ……それはまぁ、確かに……。」
    「ヌヌーン……。」
    『ひ、否定出来ない……。』

     ドラルクの弁に、二匹と一機は肯定しか出来ずに頷くしかない。

    「そもそも、あのロナルドくんだよ?……自己肯定感が最底辺の善良と善良を捏ねて固めた様な馬鹿正直で、長い付き合いのムダ毛フェチットさんや腕の人達友人連中や、血の繋がった最も親しい筈のお兄さんや妹さん相手でも、我を通す事なく自分以外を最優先にするお人好しがさぁ……。」

     褒めてるのか扱き下ろしているのか分からない内容に、ジョンと死のゲームがウンウンと同意する中、デメキンだけは頸椎0の首を捻った。何か引っ掛かりを覚えたからだ。それが何なのかを考える為に、小さいけれども優秀かつ回転の早い脳味噌でドラルクの言葉を反芻してみて……ハタと気がついた。

    「グププ………でもそれは、同胞のみに限り適用されてなくないか……?」

     デメキンの言に、一人と一匹と一機は硬直する。それぞれの脳内で吸血鬼金魚の言葉の意味を消化しているのだろう。
     時間にして数分程の時を要した後、まず初めに口を開いたのは可愛さの権化でありながら聡明さを兼ね備えるジョン、次いで死のゲームだった。

    「………ヌヌヌヌ(確かに)………。」
    『そ、その通りですね……。」

     彼らの出した結論に、数瞬遅れでドラルクが反応する。

    「は?……はぁあぁああぁ~???い、いやそんな事ある訳……」

     咄嗟に出た否定の言葉は、頭の中を駆け巡る走馬灯の様な日頃の同居人の言動にすぐ尻つぼみとなり……

    「………否定できん………!!」

     肯定となって一人と二匹と一機の間に、古き良き時代のTV番組に出てくる売れないアイドルのたわわなパッションフルーツの如く、ポロリと落ちた。

     ……思い返してみれば、吸血鬼退治人事務所の看板を掲げながらも、性癖迷子になった変態吸血鬼相手にも何だかんだと言いながら真摯に対応するお人好し過ぎる程のお人好しであるロナルドが、文字通りの五歳児かな?と疑うレベルの我儘を押し通す相手は、今ココにいる古き血を継ぐ家柄だけは由緒正しい高等吸血鬼以外他は無い。正に唯一無二である。

    「……あの愚かな人間が備品登録しているからと、性欲を解消する為だけに同胞の人権を無視した犯罪行為をしていると考えるよりも……単にお主にがっつり惚れており、惚れた腫れたと若気の至りからくる性欲の暴走と、そんな手前勝手な行為もお主相手なら許してもらえると無意識下に思いこんでいる故に……と、考えた方がしっくりくる……グプ……。」
    「ヌエー……。」
    『うわー……。』

     デメキンが述べた推測に、ウゲェ顔のジョンと死のゲーム。そしてドラルクは体の端々をスナスナしつつ頭を抱える。

    「………嫌だけど!嫌なんだけども!!……納得しちゃうのが本気で嫌………てかさぁ?いくら手近にいるとはいえ女性相手や普通の男性よりも色々と手間も暇も遥かに掛かるガリガリ砂おじさんの尻に発情するってどうなの?しかもこの私だよ??おかしくない???尻なんか耕したら即砂だよ????砂漠でバナナ栽培する様なもんじゃないの?!若造って、おっきいおっぱい大好きだったよね??どうしたゴリラ?頭おバグりあそばせた???」

     混乱を極めるドラルクは現在の心情をノンブレスで言い切った。しかし答えは出ない。

    『……砂漠でバナナは止めろ……なんか生々しい……グププ。」
    『師匠、アウトです。』
    「おしり。」

     代わりに容赦の無いツッコミとアウト判定と超キュートな舌足らずの〝おしり〟を喰らい、自称ガリガリ砂おじさんはワッ!とテーブルに突っ伏した。哀れを催す姿に、真夏の水溜まりの様な生暖かい眼差しが注がれる。
     主人至上主義のマジロは艶やかな黒髪をヌシヌシと撫でてやり、ドラルクは「ジョーン!!私のジョーン!!!」と小さな手に縋りつく。

    「そもそも……。」

     愛しき使い魔から慰められ多少メンタルが復活したらしい吸血鬼は、ムクリと顔を上げると不貞腐れた様に頬杖をつき頬を膨らます。

    「一体全体どーやって……人の尻でフロンティアスピリッツを燃やしてるんだ、あの男?」

     そう……一番の問題はそこであった。自分の体がそういった行為にとことん向いていないのは、ドラルク自身が一番誰よりも理解している。男の身であるだけでも女性を相手とする以上に色々と段取り等が面倒臭いのに、ましてやこの死にやすい……というか死にまくる体質。どのような手段を用いればバレずに事を為せるのか、皆目見当が付かない。

     考え込む一人と二匹と一機の間に沈黙が降りる。彼らの頭上に無数の?マークが乱舞して見えるのは、けして気のせいでは無いだろう。

    「それに……これまでの夢の流れで、最終的に行き着く先は挿入だよね……?」
    「グプ……挿入って言葉がもうなんか嫌……。」
    『生々し過ぎて勘弁です師匠!!』
    「ヌヘェー……。」
    「黙らっしゃい私だって嫌だわ?!……でもね!!君らだって散々見てるだろ?!あのヤバいブツを!?!」

     日頃、否が応でも全裸になる機会が多く、また生活面に置いても男同士の気安さから風呂上がり等の際に自らちんこを晒け出す事に何の躊躇いも抱かない男だ。同居の面々は、日常的に彼の者の逸物を目にしている。通常時でも人並み以上のサイズであるロナちんが、フルバーストとなった時の規格外さは想像に難くない。
     そんな凶器を人の尻に無断で押し入るとか不法占拠と変わりねーじゃねーかと、ドラルクは怒りと恐怖に身を震わせた。

    「アレをだよ?!あの馬鹿デカいやつを尻に入れるとかさぁ!?……あ、想像するだけで何度も死ねる……。」

     高等吸血鬼のプライドなど遙か彼方に放り投げ、半べそになりながらドラルクは静かに砂となる。だって普通に怖いんだもん!!

    「……だからこそあの男は、同胞の尻を開発してるのではないのか?……グプ……。」

     再生しようとする度にそそり勃つチョモランマ(標高8,849m)を脳裏に思い浮かべてしまい、恐怖心で身を崩すドラルクと、そんな主人をヌーヌーと慰める使い魔を交互に見て、デメキンは水面に腹を浮かべた。

    「ンギョワーーー!!開発とか言うなーー?!!」

     ドラルクは、頭と両手のみを再生させ悲鳴と共に頭を抱えた。解ってた!!解ってはいたけれど!!……それを言葉にされた精神的破壊力は抜群である。

    「……現実を認めろ同報……貴様の尻の命のカウントダウンはとうに始まってる……グププ。」
    「尻の命のカウントダウンって何さーーー?!?!」
    「ヌヌヌヌヌヌーー!!(ドラルクさまーー!!)」

     ウワーンと泣き崩れる姿は、彼が置かれた状況を鑑みれば大袈裟とは言い難く。知らぬ内に尻を開発されちゃってる事に対しての怒りや恐れは、惚れた腫れたと別の話である。
     そんな哀れを誘う師の姿に、死のゲームは慰めと励ましと、これ以上気落ちせぬ様にとの気遣いから、勤めて明るく声を掛けた。

    『師匠!!嘆くよりもまずは対策ですよ!!』
    「えぐ、ヒグ………対策………?」

     普段、五歳児だのゴリラだのとあれほど煽り散らかす同居人と遜色ない様相で、エグエグと愚図る200才越えのおっさん……絵面的になかなかキツい。主人への愛溢るるマジロは別として、魚類とゲーム機はほんのちょっとだけウンザリした気持ちとなってしまった。が、外見にだけは軸足を置くタイプのこの男が恥も外聞もなく泣き喚くのは、自分達と気易い関係故の表れだとも重々承知している。
     みっともなく垂れた鼻水を可愛い使い魔にチーンしてもらい急に冷静さを取り戻し、照れ隠しで態とらしく咳払いをする吸血鬼に、一匹と一機は今後の具体策についての提案した。

    「そう……今、大事なのは……あの男がどのような方法で同胞の尻を耕しているのかを解明する事じゃないか?……グプ。」
    『そうですよ、師匠!!それさえ解れば、こっちだって色々対策出来るじゃないですか!!」
    「ヌーヌヌ、ヌヌヌヌヌヌヌヌヌヌ!(そーだよ、それだよドラルク様!)」
    「な、なるほど確かに……でも、だけど……どうやって?」

     第三者と仮定していたとは言え、思いつく限りの原因究明は既にドラルク自身で終えている。となると残された手段は、直接ロナルドに問い詰める……となる訳だが。

    「……もし本当に犯人が若造だったとしたら、問われた時点で簡単にボロをボロボロ出すとは思うんだけど……。」
    『確かに嘘が苦手なロナルドさんなら、師匠から聞かれた瞬間奇声を上げて天井突き抜けたあげく、動揺のあまりマイクロビキニでポールダンス位踊っちゃいそうですけど……。』
    「君、結構酷ないか?」
    「グププ……だがもし完全なる濡れ衣だった場合……。」
    「ヌッヌヌーヌ?(だった場合?)」
    「……君、最近夢の中で私のお尻耕してない?……なーんてイミフなこと聞いてくる、ただの痛々しい勘違いおじさん……。」
    『ですね!!』
    「それな……グププ……。」
    「ヌヌヌ……。」
    「ですよねーー?!」

     顔を強張らせてドン引きするイマジナリーロナルドの姿に、再生しかけていた体は脆くも崩れ落ちた。

    「グプ……色々と哀れ……。」

     可哀想な子を見る目でビクンビクンする砂を見つめていたデメキンだったが、場を仕切り直そうと豪奢なドレスを連想させる赤い鰭を揺らめかせ、ピシャンと水面を揺らした。

    「兎に角……今言った以外のやり方で探るしかあるまいて……グプププ。」
    「だ、だけどさぁ……どうやればいいのか皆目見当が……。」
    『そこなんですよねー……。』
    「ヌゥ……。」
    「せめてヒント!!ヒントが欲しい!!!」
    「グププ……んなものは無い……。」

     一人と二匹と一機の頭上に、マイムマイムを踊る勢いで?マークが乱れ飛ぶ。
     そんな中、無い物ねだりとは分かっていながらも駄々っ子の様にヒント!!ヒント!!と再生させた両腕を振り回し喚き散らすおじさん吸血鬼を宥め賺す吸血金魚というなかなかシュールな光景を前に、死のゲームがポツリと呟いた。

    『ヒント………そうか、ヒント……。』

     その口振りに何やら妙案でも思いついたのかと、デメキンが期待を込めて声を掛ける。

    「どうした?……本当にヒント的なものでも浮かんだのか?……グプ。」

     死のゲームは自らの液晶画面で!マークがポワポワと飛び出るエフェクトと可愛らしいビックリ顔のイラストを表示させる事により、デメキンの問いに対し是と答えた。それを見ていたドラルクは、なかなかあざと可愛いなぁ~ドラドラチャンネルでグッズ収益狙えないかなぁ~?と密かに思った。

    『直接のヒントでは無いんですけど!!それに繋がりそうな方法を思い付きました!!』
    「な、なんだね???勿体ぶらないで早く教えたまえ!!」

     己の貞操のピンチからくる焦りに、ドラルクは小さな筐体を容赦なくブンブンと振り回し続きを急かす。必死過ぎる師の様子に、死のゲームは汗マークを画面中に表示させ答えた。

    『ちょっ!!揺らさないで師匠!?……えっとですね、ロナルドさんのパソコンの検索履歴を覗いてみては如何でしょうか?……と思ったりしたり……?』

     ーーーーピシャーン!!一人と二匹の間に衝撃の稲妻が走る。

    「そうだ……それだ!!!でかした死のゲーム!!」
    「ヌヌイ!!ヌッヌヌヌィーー!!(すごい!!あったまいぃーー!!)」
    「グププ……なるほど……。」

     解決の道筋が見えなかった状況で齎されたこの打開策は、全員にとっての一筋の光明であった。良く言えば素直、その実単純な思考回路の持ち主のあの男ならば、何らかの形でパソコンに痕跡を残していてもおかしくない。
     デメキンは感心した様に胸鰭を持ち上げ、ジョンは割れんばかりの拍手により死のゲームを称え、ドラルクは興奮の余り手にしていたツクモ吸血鬼を天井に向けてぶん投げ、危うく床に落としそうになった。
     ドラルクはバタバタと足音を立て事務所へ移動したかと思うと、ロナルドが退治人としての事務作業や作家としての執筆業で愛用しているノートパソコンを手に、元の席に座り直した。

    「どれどれ……?」

     全員で閲覧出来る様に配置したパソコンをパカリ開くと、すぐに明るくなった画面にはパスワードフィールドが表示されていた。どうやらスリープモードにしていたらしい。

    「あれ?……パスワードなんて、前に見たときは無かった筈だけど……?」
    『ロナルドさんにもセキュリティー意識ってあったんですね!』
    「君、サラッと毒吐くな……。」
    「……日頃の行いの結果だな……グププ。」
    「くそっ、ゴリラの癖に生意気な?!お茶目で愛嬌あるイタズラかましただけなのに!?」
    『お茶目って師匠……画面いっぱいに吸血セロリが無数にウゴウゴしてるスクリーンセイバーとか、セロリ好きでも裸足で逃げ出すレベルでしたけど……。』
    「グプ……やっぱり原因お前じゃないか……グププ。」
    「ヌヌーヌヌヌ(自業自得)」

     ロナルドを弄り倒す為ならば己が警官の立場すらも躊躇い無く利用する男・半田桃(確かロナルドの友人だった筈)協力の下で仕込まれたそれは、30分間何も操作しないと発動する仕様となっており、画面中所狭しと蠢く吸血セロリが一斉に威嚇行動をする様は、揚げルド一歩手前で原稿に勤しんでいたにも関わらずついつい居眠りをしてしまったロナルドを、天井に突き刺さる勢いで飛び上がらせるには充分な威力だった。

    『良い手だと思ったんですけど……パスワードが必要なら諦めるしかないですね……。』

     折角の良案だったのに……と、ショボンと気落ちする死のゲームだったが、ドラルクは液晶に表示された眉根を寄せた顔を一撫ですると、自信満々に薄っぺらい胸をトンと叩いた。力加減はちゃんとしたので、死ぬことは無かった。

    「いや、ここは私に任せたまえ!ハヤシライスを弱いカレーだとかリンゴのコンポートを病弱なリンゴだのと宣う、あの単純馬鹿ゴリラが考えるパスワードなんぞ、この私に掛かればチョチョイのチョイで突破してくれるわ?!」
    『さっすが師匠!!』
    「ヌヌヌヌヌヌ、ヌッヌヌー!!(ドラルク様、カッコいー!)」

     使い魔と弟子からの拍手を受け、腕捲りをしてパソコンに向かう高等吸血鬼を、吸血鬼金魚は生暖かい虚無の眼差しで見つめていた。

    「さて……先ずはド定番中のド定番!!誕生日!!…………ちっ、ダメか!となれば……。」

     あの物覚えの悪い男が頻繁に使用するパソコンのパスワードに、複雑な単語や数字の羅列を使用するとは考え難い……ロナルド本人の誕生日、ジョンの誕生日、彼の兄妹の誕生日、退治人仲間や友人達(半田とカメ谷)の誕生日、果てはロナルトウォー戦記の発売日や初版日等々……。

    「~わからん!!まさか初恋の人の誕生日……とかじゃないだろうな?!」

     何度も入力する事で表示された、パスワードを忘れた際の救済ヒントは〝誕生日〟の一言だった。つまり正解は数字のみとなる訳なのだが、思い付く限りを次々と入力してみても、どれもこれも結果が振るわない。
     綺麗に撫でつけた前髪をガシガシと掻き回しウンウンと唸り続けるドラルクに対し、二匹と一機は首を傾げ互いに目を合わせると、それぞれで疑問を口にした。

    「ヌヌヌヌヌヌヌ、ヌンヌーヌヌ?(ドラルク様の誕生日は?)」
    「グプ……あやつの誕生日の次に入力すべき数字では無いのか……?」
    『てかそれで確定じゃないですかね???』

     そも先程の話し合いの結果、ゴリラな退治人は同居のクソ砂おじさんにアチュアチュラブ♡であると結論(仮)が出ているのに、何故???……との視線を向けられ、当の雑魚おじさんは慌てた様に顔の前で手を振り否定する。

    「ややや、ないない!!それは無い!!だってあの、玄関開けたら二秒で暴力なロナルドくんだよ???……本当に私にラブラブキュン♡ですだったとしても、それは無いでしょ?!」
    『サ○ウのごはんみたいですね!!』
    「九割がたお主の身から出た錆だろ……グプ。」

     ドラルクはほんのり頬を染め、いやーまさかなーそんな訳がーと誰に聞かせてるのか分からない言い訳めいた事を呟きつつ、言われるがままに西暦込みで入力してみた。

    「……………うを、マジか!?」

     ッターン!!と、芝居がかった動作でエンターキーを押すと、アレほどダメです!!ダメです!!と入力する文字列をポンポン跳ね除けていたパソコンに、見慣れたデスクトップ画面があっさりと表示された。

    「……夢見る童貞にとっての好きな人間の誕生日など、鉄板も鉄板だろうよ……グププ。」
    「ヌヌヌ~!(だよね~!)」
    「えぇ~……そうなのぉ~……?」

     何はともあれ、無事最後の関門を突破出来たのは喜ぶべき事実である。
     ドラルクはホーム画面にある持ち主がいつも利用しているブラウザーソフトのショートカットアイコンをダブルクリックし、閲覧履歴にアクセスした。

    「えーっと……どれどれ……?」

     ズラリズラリと出てくる履歴の大半は、原稿執筆の為の資料を集めをした痕跡や、事務や経理に関してを調べたりしたものだった。合間合間にちょこっとだけエッチな映像や画像が混ざってしまうのはご愛嬌である。

    「あれ?……なんか、お姉さんのおっぱいがサイズダウンしてる気が……?」
    「お主の所為だろ……グプ。」
    『師匠の所為ですね!!』
    「ヌンヌン!!」
    「え~………。」

     スレンダーでエッチな年上吸血鬼と済し崩し的に同居してイチャイチャ♡みたいな感じの、どこぞの高等吸血鬼を彷彿とさせる様な内容ばかりの閲覧歴は敢えてスルーし、ドラルクはマウスホイールを回転させ下へ下へとスクロールする。

    「う~ん……無いなぁ~……。」
    「まぁ……お主もこのパソコンを覗き見る事を知ってるから、警戒して自分のスマホを使っていたのかもな……グププ。」
    『そうかもしれませんね……取りあえず師匠が夢を見始めた辺りまでは確認してみたらどうでしょう?』
    「ヌーヌヌ。」

     取りこぼしが無い程度の速さで閲覧履歴をチェックするドラルクだったが………その手がふと、止まった。

    「あ………もしかして………これ………?」

     死のゲームのアドバイス通り、まさにドラルクが夢を認識し始めた丁度一カ月程前、大御所検索サイト・ヌーヌルでの検索履歴にそれはあった。

    「……時間、停止………時姦………?」
    「ヌヌン?」
    「グププ……なんだそれは……?」
    『結構な頻度で検索してるみたいですね……?」

     恐る恐るクリックし、検索結果を辿ってみる。すると出てくるわ出てくるわ、あからさまにR-18的内容を伴ったホームページの数々。画像検索に切り替えてみれば、肌の露出度が高めの画像や動画のサムネが大量に表示されたそれは、この国のエロスに対する尋常なまでの情熱により生み落とされた、星の数程あるエッチ☆コンテンツの中の一つだった。
     時姦について詳しく解説されたサイトによると、超常的な能力やアイテムを用いて時間を停止させ、それにより抵抗も反応も出来なくなった特定または複数を相手と性交に及ぶといった、強姦モノやNTRに近しいジャンルであると説明されており、そういった解説ページ以外にも時姦を題材とした作品を公開しているSNS等々に、ロナルドのアクセスした痕跡もあった。
     一人と二匹と一機は無言のまま、ロナルドが閲覧したと思しき箇所を次々と斜め読みし、一通りの情報を取り入れた後、パタンとパソコンを閉じた。

    「…………これだろ、多分。」

     喉を雑巾みたいに絞られた様な声で、ドラルクは引きつった結論を述べた。

    「グププ……いや、だが……いくら何でもこれは……。」
    「うん、言いたい事は分かる……確かに有り得ない、とも思う……でも。」
    『確かに……師匠が置かれてる状況を考えると、これなら説明が付くとは思いますけど……。』
    「……じゃあ何故夢に見るのか?とか説明出来ない部分もあるけど……真夏のプールみたいに生温いエッチしか受け付けない筈のあの若造が、このワードを単発で検索してるって事実に確信めいたものを感じるって言うか……。」
    「ヌシヌヌ……。(確かに……。)」

     時姦ものあるあるの〝時間停止を解除すると、それまでの快感がまとめて襲ってくる〟……的なものがなかった事に安堵するも、気にするとこそこじゃないと、ドラルクは内心で一人ノリツッコミした。
     まさか実在する訳が???とは四者四様に戸惑うも、これならば現状に対しての説明が付いてしまうのもまた事実で。もし本当に時間を停止する能力やアイテムが存在するならば、使い方によっては地球滅亡の危機に繋がるトンデモない………と、そこでハタと、ドラルクは思い至った。

     そのトンデモ無い物を創り出しかねない、トンデモ無い人物が己の身内にいる事を。

    「まさか………御真祖様?」

     ドラルクの一言に、残りの面子がハッとなる。

    「ヌッ!?ヌヌッ!!(えっ?!でもっ!!)」
    『確かに師匠の御真祖様なら可能かもしれないですけど……。』
    「グプ……しかし……いや、否定はし難いな……。」

     そう、と仮定してしまえば何もかもの辻褄があってしまうのが、竜の一族現当主にて吸血鬼の開祖、真に旧く真に死ぬ事の無い、存在そのものが理不尽と規格外の塊、別名リアルチート……ドラルクの祖父である。
     いやいやまさかまさか……と思いながらも、ドラルクはスマホを手に取り、着信履歴から〝ジジイ〟と表記された目当ての番号を探し出すと、躊躇いつつ発信ボタンをタップする。

    『ハロー孫、お暇?。』
    「御機嫌麗しゅうお祖父様、暇じゃないです。」
    『暇じゃないの?』
    「暇じゃないです。」
    『残念。じゃあ願いは何だい?どんな願いも一つだけ叶えようか?』
    「なんでこの流れで願いを叶える方向に……もしかしてドラゴンでボールなやつ見ました?」
    『あれ面白いね。』
    「確かに不朽の名作ですけども。」
    『七つの竜の玉作ろうか?竜の一族だけに。』
    「いりません。」
    『世界中に散らばった竜の玉集めたら、何でも願いが叶うよ?』
    「止めて下さい、それ自分が神龍として出るつもりでしょ。」
    『バレたか。』
    「そんな荒唐無稽な様で実現可能な話は置いておいて、少々お聞きしたい事が……。」

     呼び出し音の2コール目が鳴る前に電話口に出たと思ったら早々にトンでもない提案をぶちかまされ、彼の者の直系の孫はもう通話切っちゃおうかなって気持ちでいっぱいになった。スピーカーにしていた為、他の面子もこの会話を余すとこなく聞いており、全力でドン引きしている。
     だがここで会話を終えてしまえば解決の糸口が遠退くばかりと、ドラルクは頬をひきつらせ強引に本題へと移る。

    『聞きたいこと?ドラ○ンボールの作り方とか?』
    「ドラゴン○ールって言っちゃってますけど?!……いや、それはどうでもいいんです。そうではなく……えーとその……単刀直入にお聞きしますが、お祖父様……時間を止めるアイテム的な物って作った事ありますか?」
    『あるよ。』
    「やっぱりあるんかい?!」

     実の祖父とは言え、血族の頂点である真祖の返答に対し、礼儀なんぞすっ飛ばしたツッコミを反射的に入れてしまったドラルクだったが、すぐに気を取り直して会話を続ける。

    「えーと……因みにそれは、どういった物で……?」
    『ドラルクが生まれる前の話だから、そうだね。500年位前に作ったかな?懐中時計の形をしていて、リューズの部分を押すと時間が止まるよ。』
    「マジか……それで、その懐中時計は、今どこに?」
    『わかんない。』
    「わかんない?!そんな世界を破滅に導きそうな危ない物の居所がわかんない?!?!」
    『だいじょーブイ。ちゃんと保険は掛けておいたから。』
    「保険……?」
    『そう、保険。〝時間を停止するもの〟って認識を持たない者が手に入れても、何も起きない様に術式仕込んであるから。』
    「なる……ほど。つまり何も知らない状態でそれを入手したとしても、ただの懐中時計と変わらないって事ですか?」
    『いぐざくとりー。』
    「その事を知っている者はお祖父様だけですか?」
    『いや。私とドラウスと、昔から付き合いのある友人が数名程かな?』
    「………お父様ですか………まぁ、お祖父様の御友人でしたら、例えそれを手にしていたとしても、悪用などは為さらないでしょうが……。」

     このジジイと友人であるならば、竜の一族を敵に回す事がどれだけハイリスクノーリターンなのかは重々に理解していだろう。それにお祖父様が信頼して教えたであろう相手ならばひとまず悪用される心配は無いか……そう、ドラルクは受け取った。

    『あっ。』
    「あっ?……どうされましたお祖父様?」
    『百年前位に、友人の一人から手紙来てたの思い出した。』
    「手紙?」
    『うん。〝なんかヨーロッパのどっかの古道具屋であの懐中時計売られてたぞwww〟って感じの手紙。』
    「軽い!!流石お祖父様の御友人!!?」
    『えへん。』
    「褒めてませんが?!……じゃあ、今はその御友人の手に?」
    『そうじゃないかな。』

     そこでドラルクは思い出す。丁度一ヶ月前、同居している退治人が下等吸血鬼退治の最中に出会ったという、高等吸血鬼の話を。同行はしなかったので詳細は聞かなかったが、その日リクエストでこしらえた唐揚げをモグモグとがっつくロナルドからの報告によると「結構古い吸血鬼みたいだけど、変態だったから瞬殺してやったゼ!!暴力って素晴らしい!!」との事だった。
     暴力賛美の件は心底どうでもいいけれど、今思い返すとあの時のロナルドはどこかおかしかった。何がどうとは説明出来ない、僅かな違和感。正直を美徳としているゴリラが嘘を付いたとは考えにくいが、アレでも海千山千の吸血鬼と対峙する一流の退治人である。咄嗟の腹芸なぞ他愛無いだろう。
     その吸血鬼とやらがどの程度古く、どの程度の変態だったかは子細不明。しかし、身体への違和感や夢が始まった時期と照らし合わせれば、ロナルドが出会ったと言うその男こそが御真祖様の友人であるのは明々白々だった。

    「お祖父様、良ければもっと詳しく教えて頂けませんか?」


    Tap to full screen .Repost is prohibited
    🙏🙏🙏🙏🙏👍👍👍👍👍👏👏👏👏😭💒🌠🌠🌠🌠🌠🌠🌠🌠👏👏👏👏👏👏👏👏👏👏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works