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    あおねぎ

    @ebnymtst

    APH再熱中 / 春待ち🌻🍔🌻中心 / 🍔右 / 雑食

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    あおねぎ

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    ※Pixivからの移行です。

    まだくっついてないはるまちです。
    92は92名と人名の2つの名前を持っていて、
    人名は基本的に秘密で、滅多なことがない限り使わなかったらどうしよう!という設定のお話です。

    !注意事項!
    ・ほぼ92名表記です。苦手な方はお気をつけください。
    ・ちょこちょこ視点が変わるので読み辛いかもしれません。
    ・このお話はこの世の全ての事象と関係ございません。

    #ヘタリア腐向け
    hetaliaRot
    #春待ち組
    #イヴァアル
    ivaal

    please call my name3日間に渡る世界会議がようやく終わった。
    今回の会議はいつもに増して踊るわ踊る。一生決着がつかないんじゃないかとも感じられた。各国が疲弊し迎えた最終日、このままでは一生会議場を出れない!と、ホスト国・アメリカが半ば強引に意見をまとめ、会議は終結した。
    大役を担ったアメリカには「今回は大変だったな」「お疲れ様!」など多くの国から労りの声がかけられた。実際、流石のアメリカも少し大変だったなと感じていた。それだけ今回の世界会議は荒れに荒れていたのだった。


    * * * * *


    難航した会議も終わり緊張の糸が解け、気心知れたメンバーと打ち上げの名目で会場からほど近い馴染みのバーに雪崩れ込んだのが2時間前。酒が回り、イギリスとフランスが騒ぎ始めた頃、アメリカは自分のグラスを手にそっとその場を離れた。酔っ払ったおっさん達をそのまま放置することに申し訳なさを感じちらりとスタッフに目をやる。その視線に気がつきスタッフはニコッと笑い返してくれた。店には後でチップを多めに渡さないと。
    いつもだったらベロベロに酔っ払った彼らの面倒を見るのは関係も近く、酒も殆ど飲まないアメリカの役目だったが、今日は疲れていたし珍しく酒も飲んでいた(と言っても下戸に加え、アルコールの味そのものが好きではない為ほぼほぼコーラみたいなものだ)。
    飲み会特有のワイワイとした騒がしさも嫌いじゃないが、今日は穏やかに楽しく会話がしたい気分なのだ。誰かそんな会話ができる相手はいないかと店内を見渡す。

    別のテーブルではイタリアとドイツが楽しげに会話に花を咲かせている。彼らに混ざっても楽しそうだが、彼らには彼らにしか分からない話もあるだろうと思うとそこに自分が混じるのは場違いのように感じた。その隣のテーブルでは日本と中国が話している。この2人はアメリカの生まれるずっと前からの付き合いで、ドイツとイタリア同様、2人にしか分からない話があるだろうから自分が入るのは気が引ける。
    普段空気はあえて読まないが、今日は読んでばかりだなとアメリカは自分を褒めてやりたくなった。アメリカ自身が楽しく過ごすのが優先で、結果として空気を読む形になっただけなのだが。
    どうしたものかとカウンターに視線を移すと、端の方で1人ゆっくりと酒を楽しむ後ろ姿に目が留まる。ふわふわとした癖のあるプラチナブロンドに、トレードマークのマフラー。アメリカが密かに想いを寄せるロシアだ。今日は世界会議なので珍しくコートではなくスーツを着用している。スッとまっすぐ伸びる背筋はスケートやバレエを嗜む彼の鍛錬の賜物だろう。普段の格好も好きだが、滅多に見れないスーツ姿のロシアに内心どきっとしながら、至って平常心を装い声をかけた。


    「やぁ、ロシア。君はみんなの輪に入らないのかい?」
    「僕はみんながわいわいしているのを外から見るのが好きなの。それにアメリカ君だってその輪から逃げてきたくせに。」
    「誰だって疲れているこんな日に、面倒ごとには巻き込まれたく無いだろ。」
    アメリカは肩をすくめながらロシアの隣に腰を下ろす。
    「僕、まだ座っていいなんて言ってないけど。」
    「誰も隣に居ないのが可哀想だから座ってあげたんだぞ!俺はヒーローだからな!」
    「わー、頼んでもいないのに!流石、アメリカ君だね!」
    いつもの様にアメリカとロシアの間には凍てつくブリザードが吹き荒れる。
    その空気を察したまだ理性の残っている近くに座る国々はソロソロと席を移動した。アメリカの言葉を借りるなら、誰だって疲れているこんな日に面倒ごとには巻き込まれたく無かったのだ。

    周りの温度を下げる2人の会話だが、アメリカはロシアとのこういったやりとりも嫌いではなかった。
    ほんの少し前まで、自由と平等、お互いの譲れない理想を振りかざし、世界を二分し頂上を競い合っていた。お互いの国を隅から隅まで探り合い、相手に勝つ事ばかり考えていた。明確な敵意を持って相手を見つめ続けた。そんな冷たい冷たい時代を通してロシアと自分にはどこか似たところがあるとアメリカは感じていた。人当たりがいいように見えて頑固なところ、苛立ちが顔に出やすいところ、甘いものが好きなところ、まだ見ぬ宇宙に夢を見ているところ。自分とは真逆の存在だとばかり思っていたものだから、共通点を見つけ「彼は一体どんな人物なんだろう」と興味が湧いた。観察を重ねる中で、いつの間にか興味は"国としてのロシア"というよりは、"個人としてのロシア"に対象を変え、どんどんと強くなっていった。もっと彼について知りたいと思って、もっと彼と話してみたいと思って、いつかの世界会議で顔を合わせた時、思わず「ロシア、今日一緒にカフェに行かないかい?」と声をかけてしまったのだ。その時のロシアの顔といったら。一瞬表情が崩れ眉間に皺が寄って、それからまたいつも通りの笑顔に戻って。一瞬でも張り付いた笑顔を崩すことができてそれだけでもアメリカは満足だった。だから、少しの間が空いてからロシアが「いいよ、行こうか」と返事をしてくるなんて思ってなくて、「なぁに、その変な顔」と笑われたのだ。この時には既に俺はロシア自身に好意を抱いていたんだろうと思う。頭の中で散々否定したし、受け入れるのには時間がかかった。だって"アメリカ"が"ロシア"に好意を抱くなんて天地がひっくり返っても起こり得ないことだと思っていたから。
    いざ彼と話をしてみると思っていた以上に話が合うし、楽しかった。やはり似たもの同士だけある。
    冷たい時代が終わってもロシアがアメリカに向けるのは冷たい瞳だった。それはたとえ表情が笑っていたとしても。国としてではなく個人として話して、冷たいとばかり思っていたアメジストが暖かく柔らかく弧を描くことを知った。アメリカは特に彼とする宇宙の話が好きだった。宇宙はロマンだ。まだ見ぬフロンティア。同じ場所を夢見る彼の口から溢れる星の煌めきが好きだったのだ。

    1人酒を楽しんでいたロシアが自分との会話に時間を割いてくれたという事実はアメリカの心を暖かくさせた。楽しそうに弧を描くアメジストの中には同じように楽しそうに笑うアメリカの姿が見える。きっとアメリカのブルーアイズにも楽しそうなロシアの姿が映っているのだろう。
    「ロシア。俺、君とのこう言う時間、嫌いじゃないんだぞ。」
    「…僕もだよ、アメリカ君。」
    「ワォ!君が素直なんて、明日は空からウォッカが降るんじゃないかい?」
    「やだなぁ、アメリカ君。空からウォッカが降る訳ないでしょ?」
    「ただのジョークだよ。君ん家は寒すぎてジョークの概念も凍りついてしまったのかい?」
    「うふふっ」「はははっ」
    いつもの冷たいやりとりだが、心なしかロシアも楽しんでいる様に見えた。



    話の盛り上がりがひと段落し、2人の間には落ち着いた空気が流れ始める。落ち着いているが決して気まずい訳でなく、ゆっくりと穏やかな時間が過ぎていく。あの冷たい時代では考えられなかったことだ。2人でカフェに行く様になり、様々な話をする中でアメリカとロシアの関係は少しずつ、確実に変化をしていた。アメリカはロシアとの間に流れるこの穏やかな時間に心地よさを感じていた。

    「…アメリカ君はいろんな人に愛されてるよね。」
    心地よい沈黙を先に破ったのはロシアだった。
    「?急にどうしたんだい?」
    「…アメリカ君っていろんな人に名前、教えてそう。」
    ロシアはウォッカのグラスを見つめながら独り言の様に呟く。楽しそうに話していた先程までと打って変わって、どこか不機嫌そうに聞こえる響きにアメリカはひどく困惑した。


    国の象徴である所謂国象たちは、"国"としての名前とは別に"個人"としての名前も持っている。
    しかし、国の象徴として働く事の多い彼らは国としての名前で呼ばれる事がほとんどで、ごく僅かの親密な関係の国でない限り人名は明かさないのが常識となっていた。
    アメリカも例に漏れずこの慣習に則り、殆どの国に自分の人名を知らせていなかった。アメリカの人名を知るのは兄弟であるカナダ、元保護者であるイギリス、そして小さな頃から世話になっているフランスだけだ。カナダと遊びながらアルと呼ばれる時の朗らかな響きや、イギリスから甘やかすようにアルフィと呼ばれる時の柔らかな響き、滅多に名前を呼ばないフランスからアルフレッドと呼ばれる時の慈愛に満ちた響き。幼い頃からの呼び名はどれも好きだったし、人名を知られても困りはしないが、世界のヒーローを自称するアメリカは常に国のとしての"アメリカ"であり続けたいと考えていた。だから、家族として過ごした国以外、他の誰かの前で個人としての"アルフレッド・F・ジョーンズ"を曝け出すことはそんな彼の性格上、とても難しいことであった。

    「突然どうしたんだい?なんでそんなこと…」
    「だってほら、今回の会議だっていろんな子と仲良く話して楽しそうにしてたじゃない。」
    「まぁ、今回の会議のホスト国は俺だしね。」
    「今日だけじゃ無いよ。君の周りにはいつもいろんな子がいて楽しそう。名前を教えるくらい親しい子だっていっぱいいるんじゃないの。」
    突き放す様な言い方だが、その顔は拗ねた小さな子供の様でロシアには悪いが少し笑ってしまった。アメリカは自分がロシアに抱く感情は好意であることを自覚していたし、ロシアの気持ちにも同じでないにしても良い方向に変化があると感じていた。普段にこにこした表情を崩さず滅多に本性を見せないロシアが、こうも分かりやすく感情を表現してくれたことが愛おしくて堪らない。本心では何を考えているかよく分からないと思われがちなロシアだが、アメリカには何となく何を考え何を思っているのかが読み取れた。口に出さずとも感じ取れる。だって、約半世紀の間ずっと彼と睨み合ってたのだから。

    「俺の名前を知ってる国なんてごく僅かだよ。カナダとイギリス、それとフランスだけ。元々家族だったからね。」
    「…本当に?」
    「ああ。そんな簡単に教えないよ。」
    思わず笑みを浮かべてしまう。
    訝しげな目で見てくるロシアがなんとなく面白い。君、そんなに分かりやすかったっけ?

    「イヴァン。」
    「…え?」
    「僕の名前だよ。」
    分かりやすいと思ったのは束の間。ロシアの口から発せられる言葉にアメリカは目を大きく見開く。
    前言撤回。やはり何を考えているのか読めない男だ。

    「名前…って君、それ、俺に教えていいのかい?」
    「なんでだろうね。アメリカ君には教えてもいいかなって思ったんだ。」
    「…俺以外に知ってるのは?」
    「姉さんとベラルーシだけだよ、バルト三国にも、プロイセン君にも教えてない。」
    バルト三国やプロイセンがロシアに抱く感情はともかく、ロシアにとっては短い間ではあるが同じ家に住む仲間であったはずだ。そんな関係性でも名前は教えない。ロシアの名前を知るのは家族だけ。その事実からロシアにとって、名前を教えるという行為がいかに大きな意味を持つのかを推測できた。顔に熱が集まるのが分かる。ちびちび飲んでいた酒のせいだと心の中で言い訳する。予想してなかった、こんな展開。



    「アメリカ君?」
    顔を赤くしたまま黙りこくるアメリカを不思議そうな顔でロシアは見つめた。
    ロシアもアメリカ同様、相手が何を考えているのか読み取ることができた。ただ、世界から愛され育ったアメリカとは違い、凍る大地で孤独の中生きてきたロシアは誰かを愛するということを知らなかった。彼が欲しいと思ったものは殆どの場合手をすり抜けどこかに行ってしまう。いつも彼のもとに残るのは凍る白銀の大地だけだ。もちろん、家族であるウクライナとベラルーシのことは愛しているが、それとは別の全くの他人を愛したことはなかった。誰かと1夜を共にすることはあってもただ欲を発散する手段である以上の意味は持たなかった。だから、目の前のアメリカと話すと心がどこか暖かくふわふわとした高揚感を感じることや、自分と話すことを楽しいというアメリカの言葉を素直に嬉しく感じたこと、アメリカの人名を知る国が極めて限られているという事実に安堵を感じた理由は分からなかった。理由も感情の名前も分からなかったが、それでも目の前の男に自分の名前を知ってほしいと思ったからアメリカに名前を告げたのだ。
    ロシアにとって、名前とは"ロシアという国"から自分自身を切り離す唯一の手段であった。国としてのロシアは、上司に従順で言われることはそれがどんなに理不尽なことでもなんでも実現してみせた。どんな無茶振りだって応えてみせた。その度に上司は褒めてくれたし、それが国としてのロシアのあるべき姿だった。でも時々、それが堪らなく苦しくやるせなく感じることがあった。そんな時、ロシアに救いを与えてくれたのは名前だ。

    イヴァン・ブラギンスキ。

    個人でいる事を許してくれる名前は、同時に国である自分の宿命を忘れさせてくれる。そんな救いを、よりにもよって最大の敵国であるアメリカに託してみたくなったのだ。
    改めて黙りこくるアメリカの顔を見る。悩ましげに揺れるハニーブロンドとブルーアイズ。本人に伝えたことはないが、愛する太陽に良く似た花と晴れ渡る青空を想起させるそれをロシアは好ましく思っていた。何を考えているのか読み取れないアメリカを見ながら、まるで夏みたいで眩しいなと思った。



    「…アルフレッドって呼んでくれよ。」
    その言葉に、今度はロシアが目を大きく見開く番だった。アルフレッド。綴りで言えばAlfredだろうか。英語圏の男性の名前では無いだろうか。それがアメリカの人名であると察することは容易なことであった。
    「…別に僕が教えたからってアメリカ君まで明かす義理はなかったよ?」
    「勘違いしないでくれ。君が明かしたから明かしたわけじゃない。きっかけはそれかも知れないけど、俺は俺の中で考えて、意味を持って、君に、名前を教えたんだ。」
    いつになく真剣な眼差しでそう言い切るアメリカに、ロシアは胸の奥がきゅう、と締め付けられる感覚を覚えた。
    この気持ちはなんだろう。



    「ねぇ、アメリカ君、」
    「アメリカぁ!どこに行ったかと思えばぁ、端でロシアと何してんだよぉ!」
    ロシアの言葉を遮るように聞き覚えのある声が降ってくる。
    「い、イギリス?!」
    勢いよく後ろを振り返ると、そこには酔っ払って顔を真っ赤にしたイギリス。そしてその更に奥には大笑いするフランスと、申し訳なさそうに縮こまる日本の姿が見えた。その光景を見て何となくの状況を察する。大方自分の姿が見えないと騒ぎはじめたイギリスを俺とロシアの間に入るようにフランスがけしかけたのだろう。そんな状況を日本は必死に止めようとしてくれたのだろう。迷惑をかけた日本には後で謝ろう。

    「…イギリス君。僕、今大事な話をしてるんだけど。」
    今日1番のブリザードを吹かせるロシアに流石のアメリカでも少し背筋がひんやりとした。ただ、酔いが回り無敵状態のイギリスはどこ吹く風でアメリカの肩に腕を回す。
    「アメリカぁ!…お前、おれとはなすのが嫌なのかよぉ…。昔はよかった…。昔のお前はそりゃもうかわいくて、」
    酔っ払ったイギリスはかなり面倒くさい。普段の皮肉やツンケンとした態度の裏側、本音の素直さが出ることは可愛げがあるが、そのまま放っておくと泣くわ喚くわ騒ぐわ魔法をかけるわ、酒癖が良いとはお世辞にも言えない。久々に会うアメリカが黙ってテーブルを離れたことを気にしているのだろう。イギリスをこのままにしておくわけにはいかないし、こんな状況ではロシアと話の続きをするのも難しいだろうとアメリカは判断した。
    「あぁ、もう!わかったよ!イギリス、一緒にあっちのテーブルに戻るんだぞ!」
    イギリスの背中を軽く押し、席に戻るように促す。従うように先にイギリスはテーブルに戻っていった。ちらっと隣のロシアに目をやると、第三者の介入によって話が中断され不満げな顔をしている。今日のロシアはなんとも分かりやすい。

    「…イヴァン、今度は2人っきりで会おう。俺ん家でもいいし、君のとこでもいい。もしそれが嫌なら会議の時でもいいよ。だから、また今度。」
    アメリカは宥めるような小さな声で、耳元で呟いた。
    「…アルフレッド君。また今度。必ず。」
    ロシアの口から紡がれる甘さと名残惜しさを孕んだ自分の名前を聞き、切なさを感じる。なんだかんだ元兄には甘いアメリカだが、今回ばかりはイギリスを恨みたくなった。後ろ髪を引かれる思いを胸にそれじゃあ、と軽く手をあげて場を後にした。


    * * * * *


    イギリス君はいつも僕の邪魔をするからやっぱり嫌い。いつかプチっとしたいな。
    アメリカ君が忘れていったグラスだけがぽつんと残る左隣を見つめる。もう少しお話ししたかったな。
    アメリカ君の家で生まれた茶色い砂糖味の炭酸水なんて別に好きでも何でも無かったけど、隣の熱が消えた寂しさを紛らわすようにグラスに手を伸ばす。
    (砂糖水の何が美味しいんだろう)
    先程までアメリカが飲んでいたグラスに口をつける。
    (…あれ?)


    * * * * * * * * * *


    「あの、アメリカさん。邪魔をしてはいけないと思って必死に止めたんですが…。イギリスさんも悪気があったわけではないと思いますので…。」
    テーブルに戻ると申し訳なさそうに縮こまっていた日本が駆け寄ってくる。海を挟んだ遠い隣人はどこまでも空気を読んでくれる。
    「日本のせいじゃないよ。気にしないでくれ。」
    「気にしますよ…。せっかくお目当てロシアさんとお話しされてたのに…。」
    「…what?なんだって?」
    「え?ロシアさんとお話ししたかったんじゃないですか?だって、」


    * * * * * * * * * *


    「…ウォッカ?」
    甘ったるい砂糖水の奥に飲み慣れたアルコールの風味を感じる。以前、アメリカにウォッカは美味しいのか聞かれた際、「僕にとっては美味しいけど、アメリカ君には分からないんじゃないかなぁ。お子様舌だし。」と返したことを思い出した。その時は確か、アメリカは「アルコール自体美味しくないじゃないか!舌が鈍っているから美味しく感じるんだよ。」と言っていた。
    アメリカ君、お酒苦手だったよね?飲むにしてももっとアルコール度数が低くて飲みやすくて、わざわざコーラで割らなくても飲めるお酒だってあったでしょ。
    秘密を知ってしまった時のような、どこかそわそわした気持ちで、次にアメリカに会った時に絶対理由を聞き出してやろうとロシアは強く思ったのであった。



    * * * * * * * * * *


    「アメリカさんがバーカウンターまで行って注文してされるのは珍しいなと思いまして、つい目で追ってしまったんです。コーラで割るお酒が沢山ある中で選ばれたのはウォッカ。その後ロシアさんと長く話し込んでいらっしゃったので、今日はロシアさんとお話ししたい気分だったのかと…。」
    日本の言うことは当たらずとも遠からずだった。
    ロシアがいつも飲んでいるからウォッカの味が気になって、興味本位で飲んでみたのは少し前の事だ。初めて飲んだ時はストレートで煽ったものだから喉が焼けるようで。俺は慌ててGoogleで飲み方を検索し(どんな分からないことでも大概Googleは答えてくれるからね!)、コーラで割ると飲みやすいことを知り、研究を重ね『ほぼほぼコーラ、そこに少しのウォッカであればまぁ飲めないことはない』という黄金比に辿り着いた。「今日はアルコールを飲もう」と決めて思い浮かんだのは研究を重ねたウォッカのコーラ割りだったし、ちびちび飲むうちにロシアと話したくなって心の中で今日は穏やかに楽しく会話がしたいんだと言い訳し、彼のトレードマークのマフラーを探したのだ。
    参ったな。俺、そんなに分かりやすいかな。
    日本にどうやって言い訳しようか、それとも白状してしまおうか。イギリスやフランスは気づいているのか。ロシアと会おうと約束したがいつ会おうか、名前まで教えてしまってどんな顔をして会えばいいんだろう。ぐるぐる考えてもどれも良い考えが出てこない。それもこれも全てウォッカのせいにしようと決め、成り行きに身を任せることにしたのだった。
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    あおねぎ

    DONEAFJ君、お誕生日本当に本当におめでとうございます…!
    お誕生日の日のイヴァアル。殺伐は消えてしまった、甘々です。
    4th of july7月4日 23:45。
    アメリカは楽しかったパーティの余韻に浸りながらぼーっとスマートフォンを見つめていた。明日は休みだ。どうしても誕生日の次の日は休むと心に決め、仕事を前倒ししてなんとかもぎ取った休みである。本来であれば大好きな映画を鑑賞したりゲームをしていたかったが、そうもいかない事情があった。
    なんでかって?少し時を戻そうか。


    それは10時間と45分前のこと。
    盛大な花火と共にアメリカの誕生日パーティが始まった。色々な国に囲まれて賑やかにわいわいするのが好きなアメリカは、勿論のことながら自分の誕生日パーティが大好きだった。
    分厚いステーキに5段重ねのハンバーガー。これでもかとチーズをかけたピザにチリビーンズを乗せたホットドッグ。チョコをかけたドーナツ、カラフルなケーキにクリームをたっぷり乗せた色取り取りのアイス。アメリカの大好きな食べ物がたくさん並ぶテーブルは心踊る。華やかな装飾も派手な花火もアメリカ好みでわくわくさせてくれた。みんなが自分のために集まってくれるのも嬉しいし、色々な国とおしゃべりするのも楽しい。それに自分の誕生日パーティに集まった国々が自分と関係ないところでも楽しそうに笑っている光景が好きだった。実際、集まった国々は楽しそうに過ごしてくれてたので(途中から姿が見えなくなったイギリスを除けば)、アメリカは毎年のことだがパーティを開いて良かったと心から思った。
    3770

    あおねぎ

    DONE※Pixivからの移行です。

    まだくっついてないはるまちです。
    92は92名と人名の2つの名前を持っていて、
    人名は基本的に秘密で、滅多なことがない限り使わなかったらどうしよう!という設定のお話です。

    !注意事項!
    ・ほぼ92名表記です。苦手な方はお気をつけください。
    ・ちょこちょこ視点が変わるので読み辛いかもしれません。
    ・このお話はこの世の全ての事象と関係ございません。
    please call my name3日間に渡る世界会議がようやく終わった。
    今回の会議はいつもに増して踊るわ踊る。一生決着がつかないんじゃないかとも感じられた。各国が疲弊し迎えた最終日、このままでは一生会議場を出れない!と、ホスト国・アメリカが半ば強引に意見をまとめ、会議は終結した。
    大役を担ったアメリカには「今回は大変だったな」「お疲れ様!」など多くの国から労りの声がかけられた。実際、流石のアメリカも少し大変だったなと感じていた。それだけ今回の世界会議は荒れに荒れていたのだった。


    * * * * *


    難航した会議も終わり緊張の糸が解け、気心知れたメンバーと打ち上げの名目で会場からほど近い馴染みのバーに雪崩れ込んだのが2時間前。酒が回り、イギリスとフランスが騒ぎ始めた頃、アメリカは自分のグラスを手にそっとその場を離れた。酔っ払ったおっさん達をそのまま放置することに申し訳なさを感じちらりとスタッフに目をやる。その視線に気がつきスタッフはニコッと笑い返してくれた。店には後でチップを多めに渡さないと。
    8289

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    あおねぎ

    DONE※Pixivからの移行です。

    まだくっついてないはるまちです。
    92は92名と人名の2つの名前を持っていて、
    人名は基本的に秘密で、滅多なことがない限り使わなかったらどうしよう!という設定のお話です。

    !注意事項!
    ・ほぼ92名表記です。苦手な方はお気をつけください。
    ・ちょこちょこ視点が変わるので読み辛いかもしれません。
    ・このお話はこの世の全ての事象と関係ございません。
    please call my name3日間に渡る世界会議がようやく終わった。
    今回の会議はいつもに増して踊るわ踊る。一生決着がつかないんじゃないかとも感じられた。各国が疲弊し迎えた最終日、このままでは一生会議場を出れない!と、ホスト国・アメリカが半ば強引に意見をまとめ、会議は終結した。
    大役を担ったアメリカには「今回は大変だったな」「お疲れ様!」など多くの国から労りの声がかけられた。実際、流石のアメリカも少し大変だったなと感じていた。それだけ今回の世界会議は荒れに荒れていたのだった。


    * * * * *


    難航した会議も終わり緊張の糸が解け、気心知れたメンバーと打ち上げの名目で会場からほど近い馴染みのバーに雪崩れ込んだのが2時間前。酒が回り、イギリスとフランスが騒ぎ始めた頃、アメリカは自分のグラスを手にそっとその場を離れた。酔っ払ったおっさん達をそのまま放置することに申し訳なさを感じちらりとスタッフに目をやる。その視線に気がつきスタッフはニコッと笑い返してくれた。店には後でチップを多めに渡さないと。
    8289

    kuragechu

    DOODLE“你好,美国。”

    正如电话里所说的那般,这个俄国人真的来探望自己了。手里抱着伏特加,甚至贴心地提着一袋麦○劳。

    他没想到发生那样的事件发生后第一个接到的电话是来自俄罗斯的,线路由白宫转到了他屋里。听筒里传来俄国人一如既往软绵绵的嗓音。只是美国几乎没怎么听清其中的内容,被飞机引擎震坏的耳膜只能获取到一些单词。他也像机器人一般重复着“谢谢”、“没事”、“还好”。在对着最后一个疑问句做着肯定回答的时
    God bless America“你好,美国。”

    正如电话里所说的那般,这个俄国人真的来探望自己了。手里抱着伏特加,甚至贴心地提着一袋麦○劳。

    他没想到发生那样的事件发生后第一个接到的电话是来自俄罗斯的,线路由白宫转到了他屋里。听筒里传来俄国人一如既往软绵绵的嗓音。只是美国几乎没怎么听清其中的内容,被飞机引擎震坏的耳膜只能获取到一些单词。他也像机器人一般重复着“谢谢”、“没事”、“还好”。在对着最后一个疑问句做着肯定回答的时候,对方的音调明显变得更高。

    「太好了,那几小时后我就过来,对了你们的领空已经开放了吗?」

    当意识到自己做了怎样一个决定的时候,已经没有反悔的余地了。他撑着头绝望地坐在办公桌前,桌上成堆的文件夹着硝烟的涩味。床上应该是他该去的地方,上司也这么劝他,给他放了假。
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