「俺の恵方巻きを食べないか」
「鬼は外、結!!!!」
「痛い」
「避けろよ!」
「じゃあ殴るな」
「だ、だって。久々に会ってそういうのは…引く」
「?俺なんか変なこと言ったか」
「は?俺の恵方巻き…たべろって」
「うん。良守のために頑張ったんだ」
「なにを」
「良守によろこんでほしくて、具をあれこれ入れたら巻くのが難しくてさ」
「なっ!ほ、ほんもの…だと」
「偽物、食べさせるわけないでしょ」
「そうだよな!はは、なんだ…そうか、そうだよな…」
「あぁ、そういうこと?」
「どっどういうことだ!!?」
「さては俺の手料理が嫌なんだな」
「はぇ?」
「兄貴が手で握った寿司なんて、ばっちくて食えないか」
「へ?」
「酷い弟だ…」
「えっ、えぇー?兄貴、泣くなー!んな事言ってねえだろ!」
「泣いてない」
「目から汁出てるよぉ…」
「だって、思春期怖くて」
「やめてぇ…兄貴はいつもカッコよくいてぇ」
「じゃあさっさと食えよ。俺が真心込めた、恵方巻き」
「おごっ!?おごごっ!」
「こら、しゃべるな。口から離しちゃいけないんだぞ。あと南南東を向け」
「ふご、うーぁ!」
「無茶言うな?仕方がない…よいしょ」
「ふぎぉ!?」
「んー、こんなもんか」
「ンッう…ぅ」
「こらこら。そんな顔するな」
「ふーぅ」
「おいしい?」
「うぅ」
「うん、おいしいか。よしよし」
「んぐっ。もぐ」
「食欲すごいな」
「ぷはっ!もうなんだよ!しぬかとおもった…」
「殺すわけないだろ」
「信用ならん」
「酷いなぁ…こんなに思っているのに、さ」
「だって!お前の愛は、いつもわかりにくいし」
「お、米ついてる」
「んぉ!食うな!」
「ところで、その寿司の礼についてだけど」
「へ?なんの話し」
「なんの話しって、お前それ食ったよな」
「…まさか」
「俺がタダで施しを与えるとでも?」
「結!」
「危ないことするんじゃない」
「痛っ!なんで避ける!」
「さっきお前避けろって言ったろ」
「〜うるせえ!笑顔がうるせえ!」
「結」
「ほぎゃあああああ!出せ!くそ!」
「なに?出ようと思ったら出れるでしょ、このくらい」
「くっそぉー!あったりまえだ!出れるに決まってんだろ!ふぬぬぬ」
「はは。その顔見れただけで俺けっこう満足しちゃったかも」
「はぁ?!てめぇ何言ってやがる!もっと欲を持て!気をしっかり持ちやがれ!」
「なに、その欲って」
「え?そりゃあ〜その。ご奉仕させたりとかっ!」
「へえー。おまえそんな趣味あったんだ?」
「ちっちが!例えばの話し!」
「他には?」
「他!?それはーあれだ。くんずほぐれつを強要したりとか?」
「おまえ…さては俺のこと相当好きだな」
「はぁぁ!?なにをいってやがるのかコイツ!」
「だってほら。えろいなこと、したくてたまらないって顔してる」
「してるかボケなす!!帰れおたんこなす!」
「帰らないよ」
「はっ!そ、そう…?ふーん、そっそうか。帰らないか」
「くっ、めちゃくちゃ受け入れちゃってる。そんな期待するなって」
「してない!」
「ん?ちゅーくらいしとくか」
「しない!」
「しないかぁ…残念」
「〜ッおれからは、しない!」
「……口尖ってるぞ?」
「●&▲■𓀡 𓁿フ シャーッ!!!!」
「痛っ」
「フンッ」
「まったく。いつになったら懐くんだか」
「チッ。なでるなッ!」
「よしよし」
「子供扱いするなーっ!」