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    flask_gk

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    flask_gk

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    貴族令息尾形×護衛月島
    月島は護衛する貴族令息の尾形に夜伽を命じられ、渋々従うこととなった。尾形は月島の逃げ道をことごとく封じた。
    ただの性欲処理ではないことに気付いた月島は辞職することを決意。しかし尾形はそれを許さない。
    溺愛されていることを知った月島と尾形の攻防はどちらが勝利するのだろうか?

    なんちゃって異世界ものです。
    細かいことは気にしない方向け。
    謎のノリで書いてます。

    #尾月
    tailMoon
    #金カム腐
    golden-camRot

    俺が護衛する貴族令息に夜伽を命じられ、溺愛された件月島は護衛対象の尾形から言われたことが理解出来ず、聞き返した。どうか聞き間違いであってくれと願いながら。
    「なん、て仰い、ました…?」
    「聞いてないフリがお上手ですね。必死に口説いてるのに、つれない人だ」
    「口説…?」
    「ええ、今晩湯浴みの後に俺の寝所にと」
    「…はい…?」
    「俺が何を望んでいるのか分かるでしょう?月島さん」
    「えっ、と…?夜伽をお望みなら、そういう方を手配致しますので」
    「…」
    「ああ、ご心配なく。ちゃんと口が堅いものを」
    必死に最適案を提案する月島だったが、尾形は無情にもそれを遮った。
    「月島さん」
    「…はい」
    「別に男に抱かれるのは初めてではないんでしょう?アンタは絶対花沢の醜聞になることを吹聴しませんし、丁度いい」
    「…」
    「拒んでもいいですよ。そしたら、アンタの代わりに最近周りをうろちょろしてる女を呼ぶだけです」
    「百之助様、それは」
    「勇作さんの婚約者候補らしいですね?貴族の女が未婚のまま純潔を散らしたら、行く末がどうなるか知ってます?なかなか悲惨ですよね」
    「っ!…りました」
    そんなトラブルになるのが分かりきっていることをさせる訳にはいかない。うら若き令嬢の純潔を守るために、月島は尻を捧げることを決めた。最悪、数日間ドーナツ型クッションにお世話になるだけだ。
    「ええ、分かって頂けて良かった。命令することもできますが、趣がないでしょう?」
    「…」
    「では、楽しい夜にしましょうね。月島さん」

    「百之助様、失礼してもよろしいでしょうか?」
    「ええ」
    月島は歴史を感じる重厚な扉を開け、中に入る。ここは尾形の私室で、足を踏み入れることが出来るのは数名のみ。月島も初めてだった。尾形は革のソファに横たわりながら、本を読んでいた。だらしない姿勢だというのに、隠しきれない気品が滲む。場違いすぎて、月島は内心ソワソワと落ち着かなかったが、努めて平静を装った。
    「どうぞ、そこのソファにお座り下さい」
    「失礼します」
    尾形は向かいの一人がけソファを勧め、月島は浅く腰掛ける。
    「何か飲みます?ワイン?ブランデー?」
    「えっと、ではブランデーを少し」
    「お待ちくださいね」
    「あ、自分が」
    「プライベートですから、お気になさらず」
    尾形はサイドテーブルに本を置き、キャビネットの上段からボトルを取り出す。グラスに少量注ぎ、月島の前に置いた。
    「どうぞ」
    「いただきます」
    月島は舐めるように口をつける。高級な味だなとは思うが、この後のことが気になって、あまり味を楽しめない。チラッと尾形の顔を覗くと、目が合い、微かな笑顔を向けられた。不敬にも胡散臭い笑顔だなと月島は思いつつ、グラスを傾ける。食道がアルコールで熱くなるのを感じた。
    「問題なく準備できました?」
    「…は、い」
    「それは良かった。ああ、俺は紳士なんで、すぐぶち込んだりはしないから安心してください。月島さんがちゃんと気持ちよくなれるように可愛がってあげますから。せっかく月島さんが自分の意思で俺とセックスするって決めてくれたんですしね」
    「そう、ですね」
    ほぼ脅迫だろと月島は内心で吐き捨てながらも、尾形の言葉に相槌を打つ。別に前も後ろも初物ではないし、性欲処理の道具として手酷くケツを掘られたこともある。ただ、貴族のご子息を相手にするとなると粗相がないか心配だ。なぜなら尾形が命じれば月島の首は簡単に吹き飛ぶ訳で。もちろん物理的な意味で。
    高貴な血を撒き散らさないように、思春期の令息には閨教育も兼ねて女性をあてがわれることも多い。その女性も後ろ盾を欲する未亡人だったり、高級娼婦だったりで、利害関係が一致した相手となる。ただそういう仰仰しいのを嫌がるものもいて、メイドや平民を手篭めにするものも少なくはない。それに比べたら尾形はマシかと月島は思う。子種を腹に吐き出されたとしても、男である自分は孕むことがない。ほんの少し月島が屈辱を覚えるだけだ。
    それにしても、あの可愛かった坊ちゃんが夜伽を望むくらいまで成長したのかと月島は感慨に浸る。尾形の護衛として仕えるようになって三年だが、幼いころから面識はあった。月島の養父が花沢家の庭師で、住み込みで働いていた。少年だった月島も下働きしつつ、空き時間で花沢家の私兵団に混じり、訓練を受けた。ボコボコに扱かれて、ボロ雑巾のような月島に「大丈夫?」と声をかけてくれたのが、幼い尾形だった。綺麗な格好をしているから花沢の子だと月島は思い、跪いて頭を下げた。ただ花沢家の一人息子である勇作様ではなく、誰だろうと不思議に思ったが。その夜に養父から「尾形百之助坊ちゃんだな。離れで生活してる」と聞き、ああ、あれが妾腹の…と納得した。花沢家の現当主が結婚前に下級貴族の令嬢を寵愛し、子を生した。一応認知はしたが、正妻を娶った当主は母子を疎ましく思い、離れに閉じ込めた。そして子に花沢を名乗ることを許さず、母の姓である尾形のまま戸籍を登録したらしい。
    俺と尾形はすれ違った時に短い会話を交わすくらいの仲だったが、優しい気質のまま健やかに成長して欲しいと願ってた。その後、俺は花沢家を離れ、国軍に三十歳まで所属した。養父が倒れ、余命僅かだと知り、看取るために軍を退役し、花沢家に戻った。そして、養父の死後、尾形の護衛に任命され、今に至る。
    戻ってきて、優しくて可愛かった坊ちゃんが、胡散臭さが漂う男になっていたのがとても衝撃的だった。口を開けば皮肉が飛び出し、自虐的で、人間を利用価値の有無でしか見れないひねくれた性格にならざるを得なかった尾形の環境に同情を覚えた。ただ、最近は「元々こういう奴なのかもしれん」と月島は思うようになってきたが。
    「月島さん、ブランデーもう少し飲みます?」
    「いや、大丈夫です」
    「そうですか。ああ、そうだ、月島さん」
    「なんでしょう?」
    「こういう場でも毒見を忘れずにね」
    「は?」
    毒見?確かに貴族には飲食物を提供した側が毒など入ってないことを示すために先に口をつける習慣がある。つまり先程のブランデーに?
    「今回は別に身体を害すような毒でもないですし、依存性もありません。ちょっとだけ感度が上がって脱力する効果があるくらいなんで。いわゆる媚薬ですね」
    「…え?」
    「懐に入れた人間に甘いですね、月島さんは。そういうところが可愛いですけれど、心配になりますよ」
    「ひゃ…くの、すけ、さま?」
    月島は上手く口が動かないことに気付き、本当に薬が盛られたことを知った。頬を撫でられただけなのに、息が上がる。尾形はクスッと笑って、唇を重ねてきた。 次第に激しくなっていく口付け。薬のせいか、尾形が上手いせいか、はたまたその両方か、月島は翻弄される。
    「そんな物欲しそうな顔しないで。ちゃんと月島さんが満足するように丁寧に抱いてあげますから」
    「んん…っ」
    「ははぁ、想像以上だな」
    「…?」
    「ベッド行きましょう?」
    それから月島は散々啼かされて、何回目かの絶頂後に意識を失った。尾形は切なげな声色で何やら囁いていたが、月島の耳には届かない。色んな液で汚れた月島の身体を尾形は清め、一緒に眠った。そして夜は過ぎていく。

    月島は朝早くに目覚め、自宅の粗末なベッドではないことに気付いた。そういえば尾形と寝たんだったと現状を理解する。横を向くと気持ちよさそうに寝ている尾形の顔が目に入った。起こさないようにベッドを抜け出し、点々と落ちている自分の服を拾った。
    早く部屋に戻って、辞職願を書かなくてはと思い、そっと寝室から出ようとする。一刻も早く逃げないとマズイ。
    「月島さん、勝手に帰るなんて酷いですね」
    月島は錆び付いた機械みたいに後ろを恐る恐る振り返る。目を覚ました尾形と目が合った。
    「…いや、百之助様が気持ちよさそうに寝てらっしゃいましたので、邪魔者はとっとと去ろうと」
    「ふーん?」
    「では、改めて失礼します…」
    「辞職願を父に提出しても、意味ないですよ」
    「…へ?」
    月島は尾形の護衛だが、雇用主は花沢家当主だ。使用人を辞職する際は雇用主に届け出なければならない。これを怠ると、刑罰を与えられることもある。間諜の疑いがあると見なされるからだ。
    「手切れ金の一つとして、アンタを父から委譲してもらったので」
    「え?え?」
    信頼できる使用人というのは貴族にとって財産だ。嫁入りの際などに親から侍女を譲り受けることは一般的である。給与を個人財産から出すことにはなるが、慣れない嫁ぎ先で自らの味方になってくれる存在は大きな心の支えとなる。使用人の委譲には本人の承諾は必要ない。なので、月島は自分の雇用主が変わったことを知らなかった。
    「分かってると思いますが、俺はアンタの辞職願は受け取らないですから」
    「…」
    詰んだ。完全に檻の中だ。月島は焦る。まさかここまで準備してあるとは思わなかった。昨晩月島は抱かれながら、尾形の瞳に宿る熱に気付いた。人の気持ちに鈍感ではない月島は、尾形が性欲処理のためだけに自分を抱いている訳じゃないと理解してしまった。次世代に尊い血を繋ぐのが義務である貴族にとって、同性愛はタブーだ。妾腹とはいえ、尾形も貴族のひとり。興味本位ならまだしも、執着されたらヤバいと思い、月島は尾形の元から去ることを決めた。しかし、尾形は先回りして月島に首輪をつける下拵えを済ませていた。逃げ道はないかと月島は思考を巡らせる。
    「あ、の、百之助様も大人になったから、もうすぐ奥様を迎えますよね?その時に俺がいたら、気分良くないと思うんですよ」
    「ああ、俺は妻を娶ることはありません」
    「いや、貴族でそれは許されないですよね」
    「俺は近々貴族籍を抜けますので」
    「え?」
    「俺の商会が隣国で軌道に乗りましてね。この国に居るより、向こうに住んだ方が都合が良くなったので」
    「…なるほど?」
    「貴族のままだと隣国に定住できませんから、貴族籍を返上することにしたんです。隣国では月島さんと同じ平民ですよ」
    「でも、ご当主さまが許さないのでは?」
    「いやいや、勇作さんは花沢家の跡取りとして優秀ですし、スペアは必要ないです。下手したら諍いの元にもなります。それに父にとって俺は目の上のたんこぶですからね。手切れ金を渡して縁が切れるなら、それに越したことはないんでしょう」
    「そうなんですか」
    「はい。いくつか守るべきことはありますが、それでもお釣りがきます。例えば俺の子が花沢家を貶めるために利用されると面倒だから、子を残さないこととかね」
    「え?それは…」
    「俺は妻を迎えるつもりはないですから特に困らないので」
    「…それは一生一人で暮らすってことですか?」
    「いえいえ、月島さんはご存知かな?隣国はこの国と違って能力主義で、血の繋がりはさほど重要視されないことを」
    「はぁ、そうみたいですね」
    「なので、子を持つことの優先順位が高くなく、同性同士でパートナーになることも珍しくないです。法的にも認められてますしね」
    「んんん?」
    「だから隣国なら俺と月島さんは家族になれるってことです」
    「………へ?」
    「いやぁ、意外と時間がかかってしまいましたけど、ようやく全て整いました」
    「あ、え…?」
    「本当はパートナー契約の届け出を提出してから初夜を迎える予定でしたが、我慢出来なくて…。紳士失格ですね」
    「………」
    怖い、尾形の言っていることが何一つ理解できなくて怖いと月島は震える。尾形は月島の護衛対象であって、それ以下でも以上でもない。尾形のことは嫌いではないし、幸せになって欲しいと思うくらいの愛着はあると月島は思う。しかし尾形が月島と家族になるために色々準備したと言われても、正直困る。
    「月島さんは困ってる顔も可愛いですね」
    「あの、俺に拒否権は…?」
    「ないですね」
    「…ですよね」
    自明の理だった。分かってた。月島は遠い目をしながら、宇宙の果てについて考える。現実逃避とも言う。そんな月島に尾形はキメ顔で壁ドンをした。決して隣の住人による音での抗議ではない。乙女の憧れのアレだ。
    「もう逃がしません」
    「ひぇっ」
    月島は乙女ではないため、壁ドンで迫られてもドキドキしない、寧ろ恐怖で悲鳴が漏れた。月島が屈強な男でも、権力には敵わない。それを兼ね備えている尾形に執着されるのは命の危機を感じる。どうにか壁ドンから逃げ出した月島はこの先どうすべきか頭を悩ませたが、どうにもならなかった。
    月島は何重にも張り巡らされた檻に囚われ、尾形の重い愛を毎日注がれる。激しい攻防は続いたが、月島は少しも懐柔されない。意地と意地のぶつかり合いが続いた。ある日「百之助様は俺のこと好きなんですか?」と月島が問いかけた。尾形はプロポーズのような言葉を何度も口にしたが、月島へ愛の言葉を伝えたことがない。月島は単純に気になったから聞いただけだ、他意はなかった。すると口八丁手八丁で人を丸め込むのが生きがいの尾形が顔を赤くして、「あー」とか「うー」とか意味のない言葉しか喋らなくなった。その尾形の姿を見た月島は雷に打たれたかのような衝撃を受け、衝動が赴くまま「百之助様、好きです」と告白した。尾形はぴゃっと小さく飛び跳ねて、さらに顔を赤くする。こうして攻守交替したふたり(注:攻めと受けの交替ではない、書き手は右固定厨なので)は隣国に移住し、法で認められたパートナーとなった。
    尾形は以前と変わらず、月島を繋ぎ止めるために努力(や裏工作や賄賂や弱味を握るための子飼いの育成)を惜しまない。溺愛に溺愛を重ね、尾形はヤンデレにメタモルフォーゼしかけたが、月島がそれを阻む。愛されるより愛したい気質の月島は、尾形に愛を伝える。その度に尾形は顔を真っ赤にし、口をもごもごと動かす。そして幸せを噛み締めるように小さく笑う。それを見るのが月島は好きだ。可愛い尾形と一生添い遂げるために、月島は無駄に広い人脈を活用し、露払いに余念がない。時折月島に会いに砂漠の国の眉毛が特徴的な褐色イケメン第二王子がお忍びで来たり、孤児だった月島をマイ・フェア・レディの如く育て、養父に預けた背景にケシの花を背負うイケオジ枢機卿が婿イビリに来たりするが、概ね平穏な日々だ。…いや、月島の腰は平穏とは言い難いかもしれないが、幸せならOKですという言葉に尽きる。尾形も月島も離れる気は一ミクロンもないのだから。
    さて、この話もここらでおしまい。首輪をつけられたのは果たしてどっちだったのか?…答えは貴方のご想像にお任せということで。
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    flask_gk

    DOODLE貴族令息尾形×護衛月島
    月島は護衛する貴族令息の尾形に夜伽を命じられ、渋々従うこととなった。尾形は月島の逃げ道をことごとく封じた。
    ただの性欲処理ではないことに気付いた月島は辞職することを決意。しかし尾形はそれを許さない。
    溺愛されていることを知った月島と尾形の攻防はどちらが勝利するのだろうか?

    なんちゃって異世界ものです。
    細かいことは気にしない方向け。
    謎のノリで書いてます。
    俺が護衛する貴族令息に夜伽を命じられ、溺愛された件月島は護衛対象の尾形から言われたことが理解出来ず、聞き返した。どうか聞き間違いであってくれと願いながら。
    「なん、て仰い、ました…?」
    「聞いてないフリがお上手ですね。必死に口説いてるのに、つれない人だ」
    「口説…?」
    「ええ、今晩湯浴みの後に俺の寝所にと」
    「…はい…?」
    「俺が何を望んでいるのか分かるでしょう?月島さん」
    「えっ、と…?夜伽をお望みなら、そういう方を手配致しますので」
    「…」
    「ああ、ご心配なく。ちゃんと口が堅いものを」
    必死に最適案を提案する月島だったが、尾形は無情にもそれを遮った。
    「月島さん」
    「…はい」
    「別に男に抱かれるのは初めてではないんでしょう?アンタは絶対花沢の醜聞になることを吹聴しませんし、丁度いい」
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